膨大な物語の一部がふいに具現化した緻密なbooknookのような一篇

圧巻の小品。文句なしの星3つ。
これがコンテストのテーマに合わせて書かれた作品かというほどに作り込まれた世界観。
SFでありながら、そこに息づく人々の生活が感じられる。主人公のこれまでとこれからを想起させる台詞や独白が絶妙。
この作品の外に広がる大きな世界のほんの一部を覗き見ることができるような贅沢な味わいがある。
語られるタイトルの意味からは作者の含蓄を感じられ、たった二文字のお題からそんな展開が出来るのかと毛根ごと脱帽した。
KAC2021参加者全てに読んでもらいたい。この作品に出会えたことに感謝。