第19話 『それが今世の私が出来ること』
私ことリゼルは私の処遇が決まるまで少なくとも1ヶ月はかかると予測してる
というのも国際会議が半年後だからだ
私の処遇で国際的にヒメラルギー王国の方針が決まる。そしてその5ヶ月で準備やら体制が決まる
私の予想だと。多分、協会に譲渡することになると思う
理由としては
元フランソリワ王国領という温暖な土地を得たからだ。それに大陸で最も大きな国土を誇る上にフランソリワ王国という食物がよく育つ平坦な土地はこの国を潤し、国力を増幅させる
元フランソリワ王国領という土地を利用し、自国の持つ強さを生かしつつも成長させ、圧倒的頂点となった時に大陸を制覇する方が安全
要は私を保守することでわざわざ泥船に乗ることも。いま、統一する危険性を持つ必要性もない
フランソリワ王国領を得た時点で決まったも同然
フランソリワ王国領を守りきり、我が物にするのが彼らの仕事
だから私たち一族は血を守り、そのしかる時を待つまで
ということで、そんなわけで
渡される結果になれば外国を観光することもできなくなる。だから、今のうちに観光しとこうと言うことさ
そんなことを言うつもりは無い
まぁ、イヴァンが気がかりだけど
恋というものは悲劇がつきもの
いつか私の先祖が結ばれるのであれば悪くは無い
それまでに批判派を片付けとくのが私の役目
私は夜空を見てそう思ったのだった
★★★★★★★★★★
次の日、私は観光をしている
今来ている場所は、翡翠魔石洞窟という場所
ここは色とりどりの魔石と翡翠がある変な洞窟だ
魔力と立地やらが作用してこの幻風景を表現している
「凄いですね。王都の近くにこんな素晴らしいところがあったなんて…」
メルヴィルはあまりの絶景に感嘆しているらしく
道中、危なっかしい
「1度、魔法書に絵と共に書かれてあったのを見たことがあってね…。ずっと気になってたんだ」
「なんというか。さすがですね。それにしても不思議です」
「ああ。不思議だよな…。話によればヒメラルギー王国は魔脈が濃いらしくてね。珍しい現象が多い国とされているんだ」
「へぇー…」
「メルヴィル。お前は観光をしたことは無いのか?」
「1度だけ。幼い時に…」
「そう。旅は長いからな。時間ができなければ中々行けない代物だしね」
「はい……」
「さてと次は『魔石から生えてきた桜』かな?」
「魔石から生えてきた桜?ですか?」
「ああ。『
「不思議ですね」
「ええ」
するとメルヴィルが足を止めた
どうやら見た感じなにか報告があったらしい
普通なら近衛騎士は離れることはないのだけどこの場合はしょうがない
「行ってくるといい。最悪、破壊魔法を使えば済む話だ」
「……はい。分かりました。すぐ終わらせてきます」
「分かった」
するとメルヴィルは走って居なくなった
私は目的通りに『蒼桜』を目指す
私は小高い谷を超えると不思議な空間に入った
青光る桜の周りには赤光る桜が寄り添うように生えている
そのまわりには色とりどりの
この空間は不思議だ。異質ではない何かを感じる
すると突然、肩を叩かれた
わたしはビクついたあと、勢いよく後ろを振り向いた
そこにはイヴァンがいた
周りを見たけど誰もいない。1人みたい
「リゼル。どうしてここに?」
「え?あ、ここに珍しい桜が生えてると書物で読んだことがあったから気になって……」
「いや、なぜ一人でいる?」
「メルヴィルが急に仕事ができたみたいで。残業させるのは可哀想だと思ったから行かせたんだ。イヴァンは?」
「なるほど。俺も似たような理由だ。会議を予定していたのだが、急に大事な仕事が出来たと言われてダメになってな。それで暇だから見に来ようとしたらイーサンが婚約者と約束があると聞いてな。ここに行くように言ったんだ」
「そうだったんだ」
私たちは見合っていた視線を桜の方に向けた
「不思議だな」
「そうね。不思議ね」
「赤く光る桜は初めて見た」
「やっぱり普段は蒼桜しかないの?」
「ああ」
「なら、余計に意味深で怖いね」
「そうだな。まるで俺たちを表しているように見える……」
「男女がいるからかもしれないね」
「……たしかに。そうかもしれないがそれだけでもない気がする」
「それはこの二株の桜しか知らないんだよ。なぜ、ふたつして混ざらず咲かずに生えているのか」
私たちは沈黙した。そしてずっと桜を見る
この桜は見ていて飽きない。なぜなのかは分からないけど飽きないんだ
いや、この時間が惜しいの。イヴァンは忙しい。ヒメラルギーのこともフランソリワのことも。色々な仕事が押し寄せてくる
きっと、まともに会話できるのはこの時間だけ
2人きりでいられるのもこの時間だけ
惹かれてしまった時から別れの時までタイムリミットは決まっていたんだと思う
だからそこ、この最後の機会に私の言葉を伝えることにした
「ねぇ、イヴァン」
「なんだ?」
「きっとこれがまともに会話できる最後の機会だと思うの」
長い間合いがあった。きっとイヴァンも察してくれたみたい。苦しいくて悲しいけど会えるのは嬉しいのはきっと恋なのだと思う。ファーストキスの時によく分かった。予想以上に慌てる私を客観的に見て考えらばね……。
私は見繕った笑顔をイヴァンに向ける
「……なぜそう思う」
「だって私はバハムートだもの。この国に私は災難を産むだけ」
「それは……」
「私はね。イヴァンには生きていて欲しいの。危険にはいて欲しくない。確かに一緒にいられないはキツい。でもね、生きていればなんかの機会で再び会えるでしょ?だから……」
「……だからわざとふたつの問題点を出すことでお前を切り捨てると言う方法を強めさせたのか?」
「そう。元々、見えていたことだしね。そうなるとは思っていたの。それにまた転生したら会えるかもしれないでしょ?それに子孫がいつか私たちの悲願を叶えてくれる。きっと…」
「……お前は残酷すぎる!!」
イヴァンはとても辛そうな顔をしている
「ごめんね。イヴァン」
「だから、わざわざ港町によったり。観光をしたり。あの時、俺から離れようとはしなかったのか……」
そう。港町によったのもその理由。廊下事件が起きる前に立ち去ると言う判断をしなかったのもその理由
私は聖教国の人間になる。私という高貴な存在は国外には出れない。出ただけで命の危険性があるし攫われたら困る。だから、出ることは余程の限りがなければありえないのさ
「だからイヴァン。『愛してる。来世でまた会えたらその時は結婚されてやる!』とだけ残すさ」
「……またか。でもお前らしいな」
「それが私だからね」
「ああ。来世でまた会えたら今度こそ取り逃しはしない」
「怖いなぁ。英語下手なアサシンズクロウに狙われてしまう」
「そのことは忘れてくれ」
「忘れはしないさ!魂に刻んどくから」
「ああ。色仕掛けができるくせに男性経験のないブロードクイーンを諦めたりなどしないとな」
「んなっ!?ひ、酷い」
「愛してる。リゼル。いや、『
私は瞳孔を大きくさせた後、繕い笑の涙を零した
「うん。待ってるよ。さようなら。『
イヴァンは時間が来たらしく立ち去って行った
そんなに時間が無いことは分かっていた
だからこそ辛辣にもつらい。泣きそうだ
でも、泣いてしまったら来世で会うことを否定することになる
だから泣かない。泣いたりなどしない
運命の糸があること望むだけ
★★★★★★★★★★
それから1ヶ月近くが経ち、私の処遇が決まった
私は聖教国に受け渡すことにするらしい
元凶は切るべき。その意見はサーマン公らが纏めイヴァンへと届いたみたいだ
私は今、聖教国に向かっている
私は小さく見える王城を見た後、馬車のカーテンから手を離したのだった
楽しい日々だった。でも、これは終わり。神様からのお恵みだったんだ。山ほどの人を殺した私に与えられたほんの少しのお恵み
これからは大陸をヒメラルギーをイヴァンを守るために尽くそう
そしていつか。いつか、会えた時、苦しまないように。私たちの希望を叶えてくれるであろう彼らのために動く
…ーそれが今世の私ができることー…
読んで頂きありがとうございました!
ここまでが言わいる前置きです。これからが本当のお話。リゼルとイヴァンが今後どうなっていくかお楽しみあれ!
女が騎士ではダメですか? ー異世界転生したらバハムート(破壊竜)の孫でしたー 響鬼 霊子 @Hibiki_Lay
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