15話 奇襲事件


次の日となった


私は表に出るので正装に着替えた

この正装。白と金が基調だから私の黒髪と赤い瞳に合わないんだよね。どちらかと言うとイヴァンとかエドワードとか色素が薄い感じの方が似合いそうなんだよね

普通にこの容姿だと悪目立ちするだけなんだよね



そう思いながらも大聖堂に向かうんだけど

その間にも聖騎士や修道士、修道女。そして他の下々に見られるんだよね


私は大聖堂の披露バルコニーに向かう

これが初めての大聖公のお披露目だ

今までの疑問が明らかになる時だ

そのせいか2日という短い時間でありながら山ほどの人が集まったという

それほどまでに謎が多いとされているんだとしみじみと理解した


私は大きな門が開かれると教皇と共に前へ出る

すると歓声が上がる


私は民衆を大きく見回す

しばらくするとその歓声は止まる

その合図とともに演説を始めた


演説は完璧だったと思う

民衆の歓声が最後になると大きくなったからだ

気の所為かもしれないけどそう思いたい

私の役目はとても重く辛いものであるから


するとすぐ下の庭に黒い影の塊が生まれる

私はそれを見て察した

これは闇魔法のひとつ。代償魔法による魔獣召喚だ。それを見たほとんどの人や騎士が驚きで固まっている


それを見て察した私は大声をだす

『ここから逃げて下さい!!!!!』


その言葉で聖騎士や民衆がハッと気付き、逃げ始めたり、対処をし始める

するとメルヴィルがすぐに駆けつけ、私を守るようにそびえ立つ。そして当たりをよく見渡している


すると黒装束の集団が突如として現れる

人数にして100人

圧倒的に多いし私たちを殺しにかかっている



今、剣はマーヴィン卿とイヴァンに預かってもらっている。私の剣は普通の剣とは違うからだ

剣がない状態でこの場を一時的に抜け出せない環境。これは悪環境だ

私はイヴァンに通信魔法を使って連絡を取る

『イヴァン』

『分かってる。すぐそこへ向かう』

『うん。頼むよ』

『ああ』


「メルヴィル。短剣を貸して」

「あ、はい」

メルヴィルは短剣を私に渡した

私は短剣を手に構える


実の所、私は短剣の方が剣より得意だったりする

おかしいと思うけど。本当に魔物狩りとなると短剣の方が小回りが効くので楽なのだ

だから短剣ばっか使ってたら剣より上手くなってしまった


私を切り殺そうと来る集団を返り討ちする

ざっと5人は殺したと思う

この際、感情は無にした


その時、巨大な魔獣によってイヴァン達がこれ以上、バルコニーに近づけない状況であることが分かった


「イヴァン!!!剣を投げて!!」


イヴァンは鞘に入った剣を投げつけた。私はそれを綺麗に受け取り、剣を抜いた

私はお得意の魔法と剣術を組み合わせた攻撃で教皇を守る形で敵をなぎ倒していく



イヴァンはと言うと『マーヴィン卿と同等の腕前だ』と聞いた通り、魔獣を倒したと思ったら黒装束を次々と倒していく



そしてこの奇襲事件はヒメラルギー王国の活躍で重役を失うことなく終わった



その次の日、私達は会議に参加することとなった

というのも昨日の奇襲事件について話し合いをする必要性があるからだ


私は早々と席に着き、会議が始まるのを待つ

するとフレイド大司教総括が私をちらりと見た

私は見られたことを気にせず書類を見ている


その一連を見たあと、仲のいいハワード大司教に声をかけられた

この人は優しくてのったりしてる上に優秀な大司教だから色々な人から癒し的存在にされたり尊敬されたりしている

私もハワード大司教にはとてもお世話になった



「バハムート大聖公。お怪我がなくて良かったです」

「ええ。幸いにも。メルヴィルがよく守ってくれたお陰です」

「それなら何よりです。やはり主神はバハムート大聖公を恩恵しているのでしょう」

「いえ。それは教皇様の恩恵が私にも降りかかっただけですよ。私は恩恵されるほどの器ではありません」

「そんなこと言わずに……」

「それよりもハワード大司教。今はヒメラルギー王国の大聖堂に赴任したと聴きました」

「おお。流石はバハムート大聖公。お耳が早いですのぉ」

「いえ。そんなことないです。ヒメラルギー国王に直接聞きました」

「そうでしたか」

「ええ。これからは度々会えるようになると嬉しいです。ハワード大司教は私にとって先生でもありますから」

「ほほほ。バハムート大聖公程の方に先生となど…。これは嬉しいことを」

「謙遜しなくても……事実のことですよ?」

「そんな……。ですがこれからもバハムート大聖公と付き合いが出来るとなると昔に返ったみたいで嬉しいですのぉ。ほほほ」

私も笑い返した



すると教皇が来たので話は中断となった

その後の話し合いは着々と進んだ


この事件はフレイド大司教総括が起こしたものでは無い。勝手に配下達が起こしたものだ

あの時、チラッとみたが、普通に戸惑ってたし困っていた

それに私に食いにかかる態度はこの際してこなかった

そこから見るに大司教総括はきっとこれを起こした奴等を擁護しないだろう。自分と聖公を危険に晒したのだ。生きる価値もない。彼ならそう考える


私達はフレイド大司教総括に徹底的に問い詰めたりすることはしなかった

大司教総括は本気で私を殺したい訳ではない。殺したらその後が面倒なのは承知しているだろう

それを見て考えると不可解な攻撃だ

下手に問い詰めて痛い時にやられるのはなるべく回避したい。だから無視した


そして特に問題なく話し合いは終わった



その後、礼拝を受けるのだけど。何故かイヴァンも元々予約していたらしく被った

私達、2人して礼拝を受ける

この礼拝。何故か分からないけどする度に神様に声かけられるんだよね


私は聖水が流れている円の真ん中に座る

するとすぐに意識がなくなった。なくなったと言うより熟睡している方が当たりかもしれない

今は目の前がモヤモヤしている。少しずつそのモヤモヤは消えていくだろう


すると声をかけられた

『おお!元気か?』

『ええ。元気ですけど?』

『そうかそうか』


完全に視界が開けた。真っ白な空間

そして逆立ちして腕立てしているダンディーな男性


なんかいつも思うんだけどさ

カオスなんだよ。

それも30代~40代の人が上半身裸で、ドアの目の前で筋トレしてましたなんて、普通ないでしょ!民間軍事会社のトレーニング室でもなかったわ


『なんか…、元気ですね。ははは』

『おう!筋肉は笑顔の源だからな』

『はぁ……』


あー。本物の脳筋?ニンニク好き?筋肉ダルマ?

とりあえず、○○筋肉来たわ。普通にこの世界の神様ぶっ壊れてるでしょ.....


『おっと。そうそう。隣にお前の運命の人がいるな』

『えー……。ここで運命の人だったなんて知りたくないんですけど』


まぁ、そんな気がしてたけどさ。普通にここで言わんといて。信託とかさ神様ぽく言って欲しかったわ


『おっと。言ってしまった。見ててうずうずしてな』

『うずうずしないでくださいよ。筋肉ダルマが悶えている姿。普通に変ですから』

いや、想像しちゃったんだよね。身体中が寒気に襲われたわ


『そうか?』

『うん』

『うむ。改善を試みる』

『そうしてください』

『それよりもバハムートは元気か?』

『ええ。元気ですよ。祖母を可愛がっています』

『そうか。それは何よりだ』

『んじゃ、そろそろ戻らないとなんで』

『おう。元気でな。過酷な道のりだとは思うがな』

『うん。神様こそ元気で』



私は意識を戻した

すると至近距離にイヴァンの超絶美形の顔がある

「うわぁぁあああ!!?!!?!??!?!」


私は驚きに驚きまくって普通に倒れた

イヴァンはと言うとまだ起きないと思っていたらしく驚き戸惑っている


「あー……。その、済まない。寝ている姿が綺麗だと思ってな」

「普通、至近距離で見つめる必要性あります?」

「一体どうやったらこんな美人が出来上がるのか不思議でな」

「いや、それは神様に聞いてくださいよ」

「あー……。聞けたらいいんだが……」

「はぁ……。全く」


私はため息を着いたあと、彼を見た

申し訳なさそうな顔をしている。珍しく失態をしてしまったらしい。なんか少しやり返せた気がした


「それよりもここを出よう」

「ええ。同感です」


私達は礼拝室から出たのだった




※※※※※※※※※※※※


その後、予定通り滞在したあと、帰国した



予定外なこともあったけど無事、生きて目標を達成出来たので良かったと思う


そんなわけでさ。1ヶ月+1週間分の仕事に追われているんだけど

このいくつもの書類の山を見せられたら泣きたくなる

まぁ、後方支援部隊の仕事&フランソリワ貴族の対処を任されてしまったせいなんだけど

誰か手伝って欲しいよ……(泣)

イヴァンのクソッタレ









読んで下さりありがとうございました

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