12話 私の専属騎士さん


私は先日話した通りに、マーヴィン卿と共に馬で聖教国に向かっている




突然だけどさ

なぜバハムート教のバハムート神の一族である私たちがアイテール教を信仰しているのか

それは大規模な宗教戦争を避けるためにしているんだ

バハムートは強大かつ実在している神だ

現実主義者によく信仰される。特にバハムートの大陸の守護神でもあるせいかアイテール神と同等に信仰されているわけ


まぁ、血族が生まれたせいで大陸は緊張状態だったのさ

んだから、孫の代に生まれる『最も血の濃い者』をアイテール神に信仰をすることで宗教戦争が回避出来るとみんな思ったわけ

それでわたしが大聖公になったんだけどさ


どうやら、以前に言ったように戦争を起こしたいヤツらがバハムートは神ではないとか何とか言うさ。批判派が居て。聖教国は緊張状態な感じなのさ


ほんとにヤダヨネ……

はぁ……。せっかくフランソリワが落ちたんだから少しくらい休ませてよ。泣きたい……





マーヴィン卿が突然止まった


「ん?どうにかしました?マーヴィン卿?」

すると黒い服を着た男たちが現れた

恐らく批判派のアサシンか盗賊かどちらかだと思う

まぁ、殺すことには変わらないけどさ


「クロム卿。どうしますか?」


「んー。聞いてみます?『ここで破壊魔法で粉々になるか。するとも何者なのか言うか』って」

「え?破壊魔法って粉々になるのですか?」

「ええ。そうですよ。ただの肉と骨と血の山になるんですよ」


すると明らかにマーヴィン卿は顔を顰めた


ははは。そうだよね

普通に人前では見せないようにしてるんだよね。

けっこうグロテスクだったし

うーん。どうせ破壊魔法なんだから細胞レベルでさ。破壊して欲しいよね。なんで血肉が崩壊するのさ。まぁ、この時代に細胞とか分子とかDNAとか分かるわけないんだけどさ

だいたい、近代から現代にかけて見つかったものだし


「あー……。そこんところは開発した祖父に文句言ってくださいね?基本的には身体負荷がかかったり、竜になってしまうので使わないようにしていますけど。面倒臭い時は使います」

「え?バハムートになっちゃっていいんですか?」

「あー…。この位は大したことじゃないんで。それに進行を少なくしているだけであまり変わらないのも事実ですし」

「なんか色々と不自由な体ですね」

「まぁ、しょうがないですよ。生まれたらこんな体だったわけですから」

「確かに」


「それでなんの御用ですか?」

すると鉄仮面を被った人が前に出てくる

その人は私に向かって平伏した


「お初にお目にかかれてうれしく思います。バハムート大聖公」

「……は?いや、どちら様で?」


は?いや、知らんがな。というか鉄仮面?

うーん。信者でもなさそう

信者は手の甲にバハムート紋のタトゥーが彫られてるわけだし

可能性としたら聖騎士のお告げを聴いた人が送ったかその本人か…

まぁ、あとは批判派野郎が会議に出られないようにするためかな


「……」


ん?冷や汗をだらだらとかいているね

まぁ、それが普通だと思う

バハムートに強大な力や気配であったり威圧感でやられることはよくあるし

もちろんその私もよく見る光景だったからさ

てか、ヒメラルギー王国軍がケロリとしている方がおかしいわけだし


「うーん。ヒメラルギー王国軍がおかしいだけか」

「そうですか?」

「ん?ヒメラルギー王国軍てさ、私の気配とかでやられたりしないよね。イヴァンの気配がすごいからかな?」

「あー。多分そうですね。あの方は守護神が憑依しているみたいなので」

「ふーん。それで、あんたらはなに?批判派の奴らではなさそうだけど?」


「……」

仮面の男は顔を上げて私の方を見た。そして仮面を取り、私と目線を合わせる

するとまぁ、爽やかクールイケメンさんでした。青髪に紅色の瞳が映える男の子。嫌な予感しかしない



「んー。イケメンさんか。あの鬼畜野郎とは違う種類ですね」

「そうですね」

「……え?」

「えっと。んで、後ろの奴らは何か言うことないの?」

「……」



あー…。これでようやく話がわかった

話さない=死を覚悟している


つまり

こいつらは私が聖教国到着を遅れさせたいんだ。

そうすりゃ、死んだことになるわけだしさ

命を持ってしても遅らせたいんだね

なるべくは死にたくないから無言なわけか

まぁ、大方、無能とか言われて追放くらいそうな騎士と密偵たちなんだろうけど

鉄仮面の男は強いみたいだから。批判派から無実の罪を着せられて一か八かで来たんだろう



「なるほどね。会議に遅らせるためか。そんなに死んだことにしたいんだ。馬鹿だよね。ほんとに。特にあの女従姉妹たちは」

「従姉妹?」

「あ。知らないですもんね。私には従姉妹が2人いるんですよ」

「なるほど」


すると目の前が赤黒い光に包まれる

私は驚き、辺りにいる人たちを見る

マーヴィン卿が驚いたり、周りの人が唖然してないのを見て私だけに見えるみたい

その光が収まると、私は彼の異変に気付いた

おでこに魔法陣が描かれている。腰には剣がある

多分、彼は気づいてないんだろうなぁ


あーーー。聖騎士に選ばれちまったか

可哀想に。バハムート大聖公の騎士になると山ほどの人に声をかけられるからね…

女性によく囲まれるようになるよ……

批判派には命を狙われるわ、信者には文句は言われるわで面倒臭いと思うよ……


「はぁ……。鉄仮面の男」

「……」

「あんた運がないよ。ほんとに」

「……は??」

「どうやらバハムートの騎士に選ばれたみたい」

「え?」

「あ、後ろの野郎共は死にたくなければ去ることをおすすめするよ。今なら可哀想だから殺さないよ。無駄な血は流したくないタイプでね」

すると彼らはへっぴり腰になりつつもその場から去った

彼は周りを見て行かないようにと視線を送ってるが無駄なようだ

私の方を睨んだ


「あ、嘘だと思うなら腰に身につけている剣でも見てみたら?」

男は剣を見て1分ほど固まり、私の方を見たあと、また剣を見ている

「え?」

「まぁ、私の騎士に選ばれし者にしか現れない剣らしいんだけどさ」

「……」

わたしを再び睨んだあと、剣を抜き斬りかかりに来る

どうやら、私の騎士になるくらいならば死を選ぶらしい


「ごめんね。利用させてもらうよ。私はある意味、残酷な人だからさ」

私は空間支配魔法で突撃してくる彼を避けたところで捕らえて、おでこに触った

すると魔法陣が発動し、赤黒い光とともにおでこの魔法陣は消え失せ、瞳にバハムート族の刻印に付け足して盾と剣が描かれた刻印が瞳に刻まれた


彼は唖然と立っていた

マーヴィン卿も同様、驚いているらしい

私はと言うと契約のせいか竜人化してしまった




「何が起きて……」

「分かりやすく言えば、近衛騎士の契約を結んだということだよ」

「んなっ……」

「そりゃ、近衛騎士なんてそうそう見つかるもんじゃないし。次現れるのに10年~20年はかかるわけだしさ。それにあんたは俺の運命の歯車のひとつだと思うんだよね。ここで生かすか殺すかで運命は変わるわけだし」

「貴様のような邪神者に……」


彼は怒り奮闘らしく私に本気で斬りかかりに来た

目を赤くして

余程の信徒みたい。神の声でも聴いたのかな?


「我に従属せよ」

彼の行動が止まる。そして動けずにいるらしい

「っ?!?!!」

「そんなわけでこんな感じでさ。自殺も俺を殺すことも秘密を言うことも出来ないからさ」


私を鉄仮面の男は睨んだ

「なんだこの禍々しい力は……」

「禍々しくないよ?というかバハムートの力とは関係ないし。神様のご意志でそういう風にしてくれたみたい」

「なんか可哀想ですね」

「しゃーないですよ。批判派野郎の味方なんですから。だいたい過激派の野郎共は神託が1度も聞こえたことがないから過激に妄想をして大陸の守護神を認めない訳ですし」

「……神託がきこえるのか?」

「聞こえるけど?ていうかバハムートって元々は人で力が凄すぎて無理やり主神の守護神にさせられた訳だし。俺も半神半人だからたまに声かけられる」

「「………え?!?!!!??」」

2人して固まったあと、頭にハテナやビックリマークが連呼されている



うん。別な神様に見えるけど同じだよ

主神の守護神は山ほどいるよ?

聞こえんだけで『え?あんな奴が?』てなるから


「爺ちゃんが凄すぎて別に捉えがちだけど。一応、グレイ大陸と南グレイ大陸の守護神だから。教皇様が仰ったと思うんだけど?」

「………。あー…。なぜ俺はあれほどバハムート教を嫌ってたんだ?」

「んー。本当は別の世界線の神にならないかと声をかけられたらしいけど。人としてこの地で死にたいと言って断ったが故に脅威だから寿命付きの守護神にさせられたらしい。可哀想だよね」

「なんかすごいな」

「神様になると無限の時間と世界線を歩くことになるからね。無限の時間=空虚で楽しみのない時間だからね。『死んで記憶を無くした状態で人生スタートさせた方が幸せだよね?』て言う理由らしい」

「言われてみれば確かにそうだな」

「そんなわけだから一応、邪神じゃなくて、ちょっと変な守護神」

「そんなわけだから物騒な物はしまってこの服に着替えて」


私は魔法で服を作ろう。白と金が基準な服だが、鎧の胸あたりには赤と黒のバハムートの刻印が刻まれている


「汚れないし破れないし魔法陣が幾らでも刻める。近くの町によって服でも着替えてて」

「………はい」

「うん。お利口になった。はぁ……。説明めんどい」

「それは私にはどうしようも出来ませんからね」

「確かに。長い話に付き合わせてしまってすみません。マーヴィン卿」

「いえ」




私たちは町に行き、早馬を買い取る

その間、彼ことメルヴィン・サイラス・ユガルドは私の渡した服に着替えたのだった








2日空けてしまってすみません

読んで頂きありがとうございました(*^^*)

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