10話 私に適うやつはこの国にはいない

私たちは侵略を開始した


私は元々の部隊……後方支援部隊にいる


そして後で悔やみに悔やんでる。だってクソ…ことイヴァンがいるんだもの。嫌に決まってる

こいつちょっかい出せそうならばすぐ出すんだもん。普通に疲れるし捕まえられないから腹が立つ



それも3つの軍に分ける時にこいつと一緒に行かされるんすか?エドワードでいいじゃん。こいつと一緒に行軍するならさぁ

絶対、こいつがなんか言った!!

あー。やっぱり裸にして吊るしときたいわー

まぁ、こいつの場合。私の魔法も効かない上にその前に絶対逃げるでしょ。こいつ 。

だってゴキブリだもん




さて、次はなんの悪さをしてくるんだろうねぇ

本当に転生したら性格まで変わっちまったみたいだよ。あいつも、私も




大きく背伸びをした

「うっ……、はぁー…」


すると目の前にグレン卿が現れた

「クロム卿」

「ん?なんですか?」

「クロム卿は陛下に狙われてるみたいだぜ」

「ん?ええ。ゴキブリ野郎に狙われてますね」

「そうか……。あぁん??」

「ええ。ちょこまか動く気持ち悪くて、生殖能力の高く、逃げ足がとても早い、茶色い虫の事です」

「うーん。それはゴブゴブだぜ」

「ゴブゴブ?」

「ああ。ゴブリンに似て生殖能力が高く、すばしっこくて気持ち悪い緑色の虫だぜ。ハハハ」

「うーん。それは確かにゴブゴブですね」

「そんなに陛下はゴブゴブではない気がするのだぜ」

「え?そうですか?咄嗟にきては意地悪されて、やり返そうとしたら颯爽といなくなってるんですけど?」

「それはクロム卿にだけだろう?あぁん?普段は無駄な行動は控える方だぜ?あぁん?それにコソコソ行動するような方ではない。いつも大胆かつ優雅で美しい方だぜ」


……。あー。そうなるんだ。とりあえず疑問文は全部、『あぁん?』がつくのね。すごいなぁ。よく言えるわ。やっぱり、ジャレッド卿。個性強し


「うーん。まぁ、確かにいつも同じ場所にいるし。その点、ゴブゴブではないですね」

「そうだろ?あぁん?」


「そういえば警護は離れていいんですか?」

「陛下は強いから大丈夫だぜ!」

「あー……。うん。なんか知らないですけど、あの人に魔法なんて効かないですからね。あんな化け物知らないですよ。本当に。あぁ、腹立つ」

「まぁ、あの方は選ばれし者だからしょうがないんだぜ」


選ばれし者か

その言葉は嫌という程聞いたし、嫌という程実感している

だからその言葉の重みがどれだけの心に重さを与えるのかも知ってる

私とは重みの大きさは違えども、イヴァンも同じ苦情を味わってるんだなぁ


「………選ばれし者すっか」

「ああ。そうだぜ。陛下は何百年に1度の逸材とも言われてるんだぜ?」

「あー……。それは凄いですね……」

「ああ。俺たちをきっと高みへと連れて行ってくれるぜ」

「……ええ」



すると通信魔法が来た。頭に情報が流れ込んでく

私は目を瞑る


『敵と会敵しました。敵は小規模です』

『了解です。分裂を可能にするために準備をしときましょう。第1軍は前線に集うように。第2軍は歩兵部隊の方に。第3軍は後方支援部隊の方へ来てください。その他、敵の怪しい点があったらその都度報告をお願いします。最終的な指示ははマーヴィン卿にお任せします』

『分かりました』

『では行動を開始してください。なるべく静かにバレずにお願いします』





例の軍隊隠れんぼが効いたのか、予想よりも迅速かつ静かに集結出来た


「うへぇ。本当に疑問だよ。なんで脳筋とゴキブリ野郎と一緒なの……」


イヴァンは悲しそうな嫌そうななんとも言えない負の表情をしている。というかしょぼくれてる。相当、嫌らしい。ざまぁみろ。ちょとした意趣返しだ!


「ゴキブリ……」


そしてアダム卿は相変わらず馬鹿ですぐに突っかかろうとする

「お前っ?!?脳筋って言わなかったか?」

「はぁ……。脳筋以外に何があるわけ?フンコロガシとでも言ってやろうか?」


「ぶっ!!!」

イヴァンが吹いて笑ってる。それも相当笑ってる。うん。我慢しようとしてもバレてるぞ!

バレバレだ!アダム卿が馬鹿で良かったなぁ!


「な、なんだそれ」

「ん?その名の通り牛糞を集めて転がす小さな黒い虫さ。お前に似て足腰が怪力だからな。丁度いいんじゃね?」

「んなっ!?!俺は糞など転がさいぞ!」


「うーん。じゃぁ、アリ?」

「ぶっ!!!」

また、吹きやがった。こんなに吹けるなら吹き矢でも吹いてろ!!


「アリ!?!?」

「うん。アリさんて怪力だよね……。何倍もの食料を持っていくし。それに小さいところがあんたの心の器の小ささとよく似てるよ」

「んなっ!?!俺はデカい心の器の持ち主だ」

「へぇ……ー。それで悪さをしたせいで私にキレられて川にぶん投げられた人が言う話?」

「………」

「うん。それでいいんだよ」

「お前、年下なのにムカつく」

「へぇ…ー。国まで帰してやろうか?やろうと思えばできるけど?」

「……。殺す気か」

「うむ。それでよろしい。私しか道を知らないんだから。静かに着いてきてね」


「俺を笑いで殺そうとするな。リゼル」

「あんたはしらん」

「酷いなぁ。まぁ、可愛いから許そう」

それを聞いたアダム卿は顰めたあとため息を着いたのだった




すると通信が来た。私はその合図に従う

そして私たちは上手く分裂をする。そしてステルス魔法を駆使して敵を惑わしながら行軍する


それをしながらあっという間に5日で着いてしまった

予定より早すぎるんだけど




まぁ、イヴァンって有名なアサシンだったから隠れたりステルス魔法を使うタイミングが完璧すぎなんだよ……

本当に腹が立つわ。女慣れしてなくてよかったよ。本当に

ん?そういえばなぜモテるのに女慣れしてないんだろう?

まぁ、なんかあったんだよ。奴にも

うん。なんか知らんけどさ




すると第1軍からの通信がきた

『到着しました』

『分かりました。今はもう遅いので明日、『ツナマヨの集い』に来て頂いてもいいですか?』

『分かりました』



朝が来た

約束通りにツナマヨの集いと言う店に行ってみるとマーヴィン卿とジャレッド卿、セドリック卿が個室にいた

3人はご飯を食べていた。それも口いっぱいにほうばってる

私たちはその席に座った


「あ、来たようだぜ」

「ふう……。お久しぶりです。皆さんお食事中みたいですね」

「ああ。行軍中はなるべく、兵士に摂る時間を取らせて騎士たちはなるべく食わずに動いてたからな」

「あ、そうなんですね」

「それにしても一番乗りだと思ったら陛下の部隊が一番乗りだったなんて……」

「まぁ、隠れたり騙すのが上手いんですよ。陛下はゴブゴブなので」


「ぶっ!!!」

「ふっ!!あははは」

するとマーヴィン卿は飲んでいた水を吹き出し、セドリック卿は膝を叩いて笑っている

「何がなんでも酷くないか?」

「いえ。確かに腹立つので」

「………」

イヴァンは再びしょぼくれてる


「それよりアダム卿が陛下やリゼルさんを困らせたりしないか心配でした」

「その点は心配ない。クロム卿が全部、川にぶん投げるぞと脅しをしたお陰で何とかなった」

「あー……。すごい速さで川送りになってたらしいですね」

「あれは死ぬかと思った。本当に怖かったですよ!」

「死なない程度にしたおかげで大丈夫だったでしょ?」

「でも、あれは普通のやつならチビってるぞ!」

「ああ……。そんなに凄いなら見てみたかったぜ」

「ん?ゴブゴブと戦っているところを見てなかったのですか?」

「いや、あの時は下に回っていたぜ。イーサンとな」

「あ、そうなんですね」

「ああ」

「なら、捕虜を問い詰める時にお見せしましょうか?」

「ほんとですか?それだと助かります」




すると通信が来た

恐らく第2軍が到着したみたい


『着いたぞー』

『そうですか。なら、ツナマヨの集いに来て頂いてもいいですか?』

『おう、いいぜ。ガハハハ』




しばらくすると、グレン卿にエドワード、アラン卿にハーバード卿が来た


「おう!久しぶりだな」

「そうですね暑苦しい人を久しぶりに見ましたよ」

「暑苦しいか。そうだな!ガハハハ」


えー。認めちゃうの?

えー……。まぁ、常に笑ってるいる上に熱血が私の所まで来てたから暑苦しいとは思ってたけどさ

流石に食わなくない?

えー。こんなに突っかかるマーヴィン卿らしくないわ


「ザッカリー卿。途中、情報収集はできた?」

「ええ。出来ましたよ」

「本当に?それは助かりますね」

「いえ。そんなことは」

「ううん。それがあるだけでどれだけ助かるか……。あ、それで情報は?」

「あ、はい。どうやらアルディバラン家が滅んだことでバハムート教が王都や都市を荒らしているらしく、そのせいで国王への不満が増加しているらしいです」

「そう。他には」

「これはリゼル様。個人の話になりますが……」

「別にいいよ。それくらいは」

「バハムート大聖公が死んだと批判派が言いふらしているらしく、そのせいで教皇様が沢山の批判を受けているみたいです」

「そう。それは芳しくないね」



「ふむ?バハムート大聖公は死んだのでは無いのか?だってクロム卿のお父君であるのだろう?」

「……詳しくはここではお話できません。進行が終わったらお話し致します」

「分かった」

「助かります。……それと陛下に2つほど許可を頂いでも?」

「ん?なんだ」

「1ヶ月ほど聖教国に行ってもよろしいでしょうか?」

「ん?ああ。構わない」



「もう1つは誰か一人を借りてもよろしいでしょうか?」

「ん?ああ。いいぞ。誰がいい?」

「マーヴィン卿で」

「マーヴィン卿?なぜなんだ?もしかしてマーヴィン卿まで狙ってんのか?お前」

「はぁ。馬鹿ですか?そんなのも分からないんですか?単純ですよ。バハムートの血縁者に地位の低いものを宛てがうということはバハムートの血族を下に見ているということになるからですよ。そうなれば批判派に責められやすくなるんです」

「………馬鹿じゃないし」

「グレン卿。……どうやったらこんなバカが生まれるんですか?」

「ほんとですね。こんな奴と悪さしてたなんて思いたくないですよ」

「すまんな。ガハハ」

「はぁ……。こうなったら帰国したらみっちり教えますから」

「ええ!??!?嫌だァ!!!!」

「うむ。しょうがないな。ガハハハ」

「そうですね」

「クロム卿のスパルタ指導。凄そうですね」

「イーサンの野郎、大丈夫か?あぁん?」

「大丈夫だろう。頭がパンクするくらいだから」

「だからしっかり勉強させるようにと宣告したのだがダメだったか……」



「あ、話がズレてしまいましたね。それでなんですが、ザッカリー卿には申し訳ないのですが明日の昼頃に潜入をお願いしてもよろしいですか?」

「ええ。可能です」

「それで私たちは夜になったら進行します。その際はマーヴィン卿に指示をお願いしますね」

「はい」

「ほかの部隊は特に目立った行動やヒメラルギー人だとバレる行動は控えると共に、敵軍の情報が取れましたら報告をお願いします」

「ええ」

「では、私からは以上です。各自、潜伏場所に戻りましょう」






次の日となり、エドワード達は潜伏を成功させた。その後も特にふざけた行動でバレたりすることも無く、予定通り深夜の2時を迎えた



私たちはデカいくて赤色と大きな石レンガが目立つ王城の前にステルス魔法を使用して灯りを使うことも無く大軍が立っていた

敵城はあかりが全て消えている

奇襲作戦の時刻にはピッタリの時刻だ

私は後方部隊で陛下の隣に立っている



すると通信魔法が流れ込んでくる


『行軍開始!!』

その言葉と同時にステルス魔法解除と5つの城門が開き、大軍は松明に火をつける。そして進行を始めた



突然現れた敵に敵軍は慌てふためいている

それが自軍の進み度合いが早いことでよくわかる





私に適うやつはこの国にはいない

そんなの昔っから知ってた

私たちを裏切ったことでこの国はもう終わりが見えていたのさ





それからというのも、マーヴィン卿が暴れてくれたおかげで予定より早くに王城は陥落した

私たちは王城で戦うことも無く、王を刺し殺したのを見るだけだった



ざまぁみろ。我々に手を出した運命さだめ









読んで頂きありがとうございます(_ _)

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