9話 G(ゴキブリ)戦法
それから軍隊隠れんぼと言うなの訓練をしているのだけれども、どうにもイヴァンが見つからない。おかしいほどに
そういや、あいつ暗殺者だったからなぁ。影に潜むの得意なわけだし
コソコソしてるの大好きみたいだし…
なんかこの感じだとGを思い出すんだけど
台所を姑息に走り回る気持ち悪い.........
うん、思い出したくないから忘れようね
もしもあまりにも見つからない時はG野郎とでも言ってやろうか
いちいちちょっかい出してくるからそのくらいの反撃は許してくれるっしょ
そんなわけで私は会議に参加すべく、領主部屋に脚を運んだ
まぁ、皆さん、豪華ですね
個性がいつも爆発しておりますねぇ
本当にそれくらい凄い
この前も言ったと思うけどヤのつく仕事の人に海賊。貴公子に優しい近所のお兄さん。気の難しそうな人から脳筋野郎。ダンディーなおじさんにお医者さんまでいる
凄いねぇ。現実世界に行ってきて欲しいわ。それもイケメン勢揃いなの。なんなの?世泣かせじゃねぇか
んなわけで可愛らしくお菓子を食べながらお利口さんに待っていた彼らを見て、私は吹きそうになるのを堪える
そして誤魔化すために作戦について話をすることにした
「さて、皆さんが揃ったので、作戦についてお話しましょうか」
全員、もぐもぐしながらうなづいた
うぇー。リスが大量!
ん?リス?うさぎ?ハムスター?ペンギン?ハシビロコウ?あー。シャチ?ラッコ?キツツキ?
まぁいい。口に沢山放り込む動物にしか見えないんだけど?
うん。面白いんだけど
みんなお菓子を食べているのはなぜ?いや、普通になぜ?
皆さんってスイーツ男子なんすか?
まぁ、男の人がスイーツ食べないは偏見か……
すまんのぉ
「えーと、ですね。簡単に言えばフランソリワ軍が現れたらちょうどいい感じに戦ったあと、ステルス魔法で使って分散して、上手く敵軍を惑わし交わしながら王都にたどり着く作戦です。訳して『
するとイヴァンが吹き出しそうになるのを必死に堪えているけれども耐えられず笑ってる。みんなは不審な目でイヴァンを見たあと、私の方を見た
これはイヴァンしか分からないと思う。異世界にはゴキブリなんているのかわかんないけどここには居ないわけだしね。分かんないと思う。実際、台所のゴキブリみたいなことやってるし
「そのために隠れんぼをさせられてたのか」
「そうですよ?」
「それにしてもなぜ隠れる必要性があるんだ?あぁん」
「まぁ、理由としてはフランソリワ軍の特徴ですね」
「フランソリワ王国軍の特徴?」
「ええ。前の会議にて聞きましたよね?『ヒメラルギー王国軍の持ち味、特徴はなんですか?』と」
「ああ。そんなことを聞いていたな」
「それは何を意図しているか分かりますか?」
するとみんなしてマーヴィン卿をみる。マーヴィン卿は口をもぐもぐさせたまま、考える人のポーズをとった。そして飲み込むと私を見た
…ありゃまぁ。何が起きたの?マーヴィン卿がお菓子食べてるなんて想像できなかったんだけど
「全くもって分かりません」
「単純ですよ。フランソリワ王国軍を倒すにはそれがないと無理だからですよ」
「え?」
「フランソリワの持ち味は圧倒的な連携力です」
「連携力か……」
「ええ。連携力は度重なる戦争によって培った力です。だからあの時、小隊だけしかいなかったのにいつの間にか敵が大軍になっていたのはその連携力が高いからです。普通であれば索敵陣形は弱みでしょう。なので普通は残党探しに使うものです。それをどこから現れるかわからない敵に対して索敵陣形をし、圧倒的な連携力でカバーしているんです。だから追い詰められているんです」
「……」
「そんな軍です。だからどの軍も落とせなかった」
「我々は相手してはいけない国と戦っているということなのか?あぁん?」
「ええ。普通ならやめといた方がいいですね。ですが、今回は別の話です。フランソリワ王国軍は2年前に立て続けに2つの戦争をしていた。そのせいで疲弊している上に手に収めるには格好の時期です。その上、フランソリワは大切なものを失っている」
「大切なものって、まさか……」
「ええ。エドワードの想像通り、父です」
「どれくらい凄いんですか?クロム卿」
「うーん。正直いって、あの人は英雄だったから……。いるだけでもう、英雄がいるから大丈夫だと思って突進していくくらい凄かったですよ?アラン卿なんて小便かいて逃げるんじゃないですか」
「……あの時のことは謝ります。だからもういじらないで欲しいのです」
「うわぁ…ー。それはえぐいなぁ。ガハハ」
「その上、あの連携力なので脅威なわけで……」
「はぁ……。なんというか恐ろしいぜ」
「ええ。なので今が丁度いい狩り時でしょう。これを打診した人は素晴らしいですね。会ってみたいですね」
「父が打診したんです」
「なるほど。となるとマーヴィン卿のお父君。ヒメラルギー王国騎士団総長は策士みたいですね」
「ああ。あの方は策士だ。だからマーヴィン卿を策士にしようとしている。よく叱っている所を見かける」
あー。なるほどね
そこの前、魔物狩りに行く時にモジモジしていたからなんだろうと思ったらそういうことだったんだ
多分、マーヴィン卿は戦闘狂だ。その上、策略は嫌いではないが得意ではないし好きでもない
そんな人を後方に行かせて策略させてたなんて可哀想だなぁ。ストレスも結構溜まってそう
その上、あのクソ野郎のせいで可哀想な目に……
うん。これからは沢山の敵を倒して死体の山でも作ってもらおうか
「ふむ。マーヴィン卿。この戦いで今までの鬱憤を晴らしてください。あ、なんなら死体の山でも築いていいですよ?」
「「「えっ?!!」」」
みんなして私を見る
「えっ……?いいんですか?!」
マーヴィン卿が目をキラキラさせている
次はみんなしてマーヴィン卿を見た
「「「ええっ!??!?!!?!」」」
「マーヴィン卿。我慢していたんですね」
「ええ。なんたらグレン卿やアダム卿を下げてもいいですよ?」
「「「「は?」」」」
完全にみんな口を開けて唖然としている
「え?それもいいんですか?」
「ええ。だって本当は前に出て戦う方が性に合うのに、お父君や軍の諸事情で後ろに下がっていたのでしょう?」
「ええ。そうなんですよね。本当は戦闘狂なんですが……」
「やはりそうでしたか。まぁ、これからはどうぞ前に出て戦ってください。私も前に出る方が好きだったんですけどね。なんせ面倒臭い物が沢山ありすぎて前に出れなくて……」
「そうですか。残念です」
「ええ。なのでマーヴィン卿は是非とも
「いいんですか?!」
ついにはマーヴィン卿は席からたった
うん。完全に今の私と昔の私を足して2で割った感じだわ。マーヴィン卿は
私はたっぷりの満面の笑みをマーヴィン卿に返した
「はい」
「あっ。話がズレてしまいましたね。そういうわけで、その連携力を壊す方法はあります」
「方法?」
「多分ですが、『魔法』が1番のヒメラルギー王国の特徴ではないでしょうか?」
「確かにそうかもしれない。ヒメラルギー王国は魔法適性者が多い上に、能力が高い人がゴロゴロといる。その上、研究は他の国より一足先に進んでいる」
「魔法が強いなんて知らなかったぞ?ガハハ」
「グレン卿の場合は知ろうとしないからだぜ」
「ガハハハ。そうだな」
「……あ。だからアダム卿がバカなのか」
「今バカに……。んぐっ〜!!」
「とりあえず空気を読みましょうねぇ?」
大人しいアーチー卿がアダム卿の口を手で塞いだ。意外とアーチー卿は手が出るタイプなのかもしれない
「とにかく。魔法が長所は大きな武器です。きっとこの強さは他の国には無理でしょう」
「そこまで褒められると困るぜ……」
「ああ。同感だ」
「そういうわけでそれで出来上がったのが今回の作戦です」
「なるほど。それで、王都付近にたどり着いたどうするんですか?リゼル様」
「王都付近にたどり着いた後ですが。ステルス魔法を使ってバラバラになってバレないように王都に入ります。その後に、スラム街で夜になるまで待機します。その間に密偵部隊を王城に入らせ、夜に城の門をなるべく多く開けて貰います。その後、スラム街から出て王城を奇襲する。そうすれば為す術もないはずです」
「上手くいくのか心配だぜ……」
「連携力が高いのだろう?すぐ来られないといいが……」
「そこんところは皆さんの騙す技量にかかります。ですがまぁ、軍を3つに別れさせますし、何よりも個々の小隊の連携力を鍛える目的で軍隊隠れんぼをさせているんです。たとえ分裂してもしっかりと目的地に合流して王都に向かうなどのことをして集結出来れば問題ありません」
「要はバレないように動いて予定通りに王都に集結すればなんでもいいということか?」
「ええ。行軍予定は多めに盛って、10日間です。それまでにお願いしますね」
「ああ。もちろんだぜ」
「そこは我らがすべき事だ。安心するといい」
「はい」
「それでですが、道に迷わないためにも地図を配るのと。一応、連絡手段も取っときましょう。各小隊に通信魔法を教えてください。アラン卿」
「ええ。分かりましたよ。やります。はぁ.....全く。陛下並に扱いが雑ですよ.....」
「では、私からの作戦についての話は以上です。部隊を3つに分けるのは私ではなく、皆さんにお願いします。他の騎士について把握出来ていない点が多いので」
「ああ」
※読んで頂き有難うございます!
Gを出してしまってすみません。不快でしょうが、実際、Gみたいな作戦だったので…
お食事中の方。すみません
もっとマシな作戦名もありました。錯乱型揺動作戦とか。でも面白くないのでやめました
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