第4話 イヴァン王に忠誠を

捕まった私は今、捕虜が置かれる天幕にいる


うん。あいつイヴァン王のせいで捕まってしまった

あー。ふざけんなっ!逃げさせてって視線で送ったらヤダってなんなのあいつ?

というかこの手錠!ふざんけんなよ!取ろうとしたら電流が流れるなんて!

今は中世と近世の間くらいなんだからさぁ。縄にしとけって!



まぁ、分かるよ。一応、騎士だし?情報も多く持ってるしね

でも捕虜用天幕の中を覗いて見たら

あら?ローガン卿にメイソン卿、フレディ卿までいるではありませんか!

私なんかよりも濃厚な情報を持ってる人いるじゃん!!!



それにこれは小難しい話なんだけどさ


今の国政や国王に対する信任度は低い

戦争が敗戦することなく終われば間違いなく不満を持った貴族や民が反乱を起こそうとする

そうなると頭にあげる人が必要だよね?

誰にするとなったら1番上に立たせたいのは間違いなく脅威的な力を持つバハムート一族のアルディバラン家に話が上がるわけ

それも確実に王になってしまう

だから、その前に王族は火種を消すために一族を、特に私を狙っている


そんな状態でさ。わざわざ伝報しに行くやついる?普通なら何がなんでも生きるよね?行ったら死ぬのわかってるんだもん


さらに言えばだよ

捕虜にしても祖国を取り戻したいと言う奴がわたしを使って建て直そうとしたらどうすんの?だったらこっそり隠れて暮らしてもらった方が断然マシだと思うんだよね……

はぁ……。なんでバハムート破壊の竜の孫として生まれたんだろう……。(泣)


はあぁぁぁ………




天幕外から2人ほどの足音が聞こえてきた

すると天幕に入ってきた騎士が私の手錠に繋がる鎖を持つ

私は彼らに言う通りについて行く

そこには大きな天幕が張られてあった

すると天幕に入るように騎士が促すのでそれに従う


そんで中に入ってみると

あらまぁ、個性が大爆発してるではありませんか!?

えー、まず。柴犬にドーベルマン。海賊にヤクザ。優しいイケメンから気難しそうな人まで

そこにダンディーなおじさんと神々しい王様まできた

これはもう、すき焼きでよくある、しみしみの味が濃い豆腐並みに濃いわ

そんな人達に視線が一気に私に集まっているんだから、微妙な気分になるわけよ


そして周りを見渡す

その中にエドワードの姿があった



やはりエドワードは密偵だったみたい

捕まる前に話していた感じさ。

なるべく客観的にいようとはしていたみたいだけどさ。イヴァン王を敬愛しているのが丸わかりなんだよね。だから密偵かなって思ったんだ

まぁ、そう出ないといいなぁと願ってはいたけどダメだったかぁ……



私はしばらくエドワードを見たあと、奥に鎮座するイヴァンを見つめる

すると状況把握をしたのだと分かったイヴァンは話し始める

(イヴァンはずっと笑っています。狂気)


「まず名前から聞こう。お前の名前はなんだ?」

「それを知って何がわかるんだ?」

(リゼルはイヴァンに大して怒っているのでツンツンしています。可愛い)

「それをお前に教える義務はない」

私はボソッと言葉を吐いた

「……はぁ。女が苦手のくせに……」


「別に聞かなくてもわかるんじゃないのか?あんな派手なことしたんだから気付いているもんだと思ってたけど……」

そう言って私はイヴァンを見る

すると全ての視線がイヴァンに向く

彼は沈黙をとった

「まぁいい。俺の名前はリゼル・アラウド・アルディバラン。アルディバラン騎士侯爵家の一人息子さ」


するとザワザワとし始める。

やはりバハムート一族で有名なのは他国でも同じみたいね


「それで、なんの用ですか?ヒメラルギー聖王国、国王イヴァン・アレクサンドラ・クラウド・ヒメラルギー」

「………」


するとイヴァンの笑顔が一瞬消えた。それを見た私はニヤリとさせたのは誰も知らないも思う

「あー。エドワードが名前しか知らないって言ってたからか……。まぁ、嘘だけど。大体、将来的に王国騎士団の総長を務めるであろう人物が知らないわけないだろ。全く、あんたはアホなのか……」


すると男がが立ち上がり私の襟を掴み寄せた

「っ?!!?お前!!」

「イーサン。やめろ」

「ですが陛下……」

「彼の言うとおりだ」

「……」


私は空気を読み、話し出す。エドワードにしっかりと視線を合わせて

「エドワード。お父様が死んだのはお前のせいでも敵のせいでもない。この惨めでクソッタレなフランソリワの王族野郎が主要貴族と共に画策したんだ。バハムートの一族は本来なら王族よりも高貴な存在だからな」

「………」


泣きそうな顔をしている

いつも父のことを本当に尊敬していたいた気持ちは本当だと知ってる。あの目を見て分からない人はいない

だからエドワードは、戦争を起たせいで父を殺したのだ思っている。そして問い詰めている

エドワードの心中を見なくとも分かる。それぐらいは

伊達にも13年は関わってたんだからさ

だからこそ言ってあげなければならない

お前には罪がないと


「それに元々、戦争が起きたのもお前のせいではない。フランソリワが上手くロジリアやヒメラルギーと外交が出来なかったからだ。この腐った国など気にする必要性はない。滅ぶべきにして滅ぶ国だ。だからお前は悪くない。悪いのはフランソリワ王国の野郎共だ」

目を大きく開けて出てきた涙を吹いたことは見なかったことにしてあげよう

「リゼル様……」



私は視線をイヴァンに戻した

「それで?私をどう処分するつもりなんです?」

「……なるべくならお前を騎士として迎えたいのが本心だ。お前を殺せばバハムートに喧嘩を売ることになる。その逆もしかり」

「へぇー。ならもしも反逆したり暗殺しに来たらどうするんです?一応、俺はフランソリワの人間ですけど?」

「お前が俺を殺す?そんな事など出来るわけがないだろう?お前は女なのだから無理だろう。まぁ、暗殺しに来たら逆に襲ってやろうかな」


みんな、唖然としている

まぁ、それが普通の反応だと思うよ

だってまさか男だと思ってた人が女で。それも騎士をしているなんて前代未聞だし

と後になって思う私


「んなっ!?!!??!!こいつ、必死に私が嘘を着いているというのにホントの事をいいやがった。ふざんけんなよ!!」

「やっと本性を出したか」

「んなっ!?!本性って……。私は元々こうだけど?!大体さ。ジェイドの野郎が言葉遣いにうるさいんだよ。それを治していたら回りくどい言葉遣いになっただけだし!」

「そうかそうか。元気がいいなぁ。威勢のいいやつは楽しみがいがありそうだ」

「んなっ!?!!?!!??」


「ん?エドワード。どうしたんだ?震えるな」

「陛下!今すぐ私を斬り殺してください!リゼル様でもいいですから!!」

「ん?なぜ殺さないといけないの?」

「私はリゼル様に手以外、触れました。なので殺してください」

「ん?別に殺すことないと思うが?教える時に体触らないなんて無理だろう」

私もその言葉に頷く

「ですけど!!」

「だから私、別に気にしないって。それに禍々しいわがまが気持ちがあるような触り方じゃなかったし。何より、男って偽ってたわけだし」

「ですが……」


はぁ……。めんどくさいなぁ

んー……。ん?そういやエドワードってお菓子が大好きだよね?

あー。ならそれを出させれば羞恥心で……

うん。反応面白そうだし。そうしよう

ニヤニヤさせている私を見てイヴァン達を含め何が起こるのか警戒している


「なら今持っているお菓子を出して」

「えっ?」

「聞こえなかったの?お菓子を出して!」

するとエドワードは恥ずかしそうな顔をして頷く

「……はい」

そう言ってエドワードがお菓子を出し始めたのを見た彼らは驚いている


「おまっ……!お菓子好きだったのか?」

「これは意外ですね。まさかここにもスイーツ男子がいたとは……」

「まさか密偵部隊隊長にこんなギャップがあるとは……」

「おお!味方がまた1人増えたぞ!」



「さてと。話を戻そう」

するとみんながシーンと静まり返った

まさに飼い主に『待て!』て言われて静かに待っている犬のよう


「それでリゼル、私の国の騎士として働かないか?少なくともバハムート一族だからといって迫害もしないし、女だからと言って騎士としての権限をとったりしない。男同然で扱う。それに大陸制覇を成すためにはお前の力が欲しい。どうかこの国の騎士になって欲しい」

「ひとつだけ付け足してもいいですか?」

「ん?ああ」

「領地をそのまま継承してもよろしいですか?あの土地はバハムートが住まうには適した土地なのです」

「ああ。それくらいは構わない」

「ありがとうございます」







その後、諸々と話し合った結果、私は男としてしばらく扱うこと。女騎士を認める旨が通ったら女だったことバラすことになった

その間、私はここに居るものは絶対に私が女であることを口外しないようにと厳命された



私は今、イヴァンの前で跪き、剣を差し出している。それをイヴァンは受け取る

そして剣先を私の肩に乗せた

忠誠の誓いを見に来た騎士たちが私をじっと見ている


「我、リゼル・アラウド・アルディバランはヒメラルギー聖王国を守る剣と盾になると共に、ヒメラルギー聖王国、国王イヴァン一世に忠誠を誓います」

「そなたの忠誠、しかとを受け取った。そなたのような素晴らしき騎士の忠誠の代わりにクロムナイトの名を授けよう」

彼は剣を私に差し出す

私は立ち上がり剣をもち剣を掲げた



すると魔法がどう作用してなったかは分からないが辺りが白い光にみちたのだった

これは本来の忠誠の誓いでは起きないことだった

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