第3話 転生したのは私だけではないらしい

それから8年がたち、私は18歳になった


本来なら女性は結婚するお年頃

でも、私は男の娘!

神様の采配か遺伝子の関係かまな板ボディーに172cmというでかい女になってしまった

だから余計に男っぽい

泣きたい。164cmの出るとこ出て引っ込んでいるところは引っ込んでいる体に戻りたいよ




まぁ、そんな私にも大きなことが降り掛かってきた

それは何と!何と!!

北にあるヒメラルギー王国が宣戦布告してきたのだ。そんな訳で私は騎士家の息子なので戦争に参加することに


んなわけで転生前は戦闘狂だったし?殺しまくろうかな?とはそうは行かないんだよね


これでも私の方には沢山の希望や未来が乗っている

父に『もしも俺が死んだ時は何としても絶対に生き残れ。お前はバハムートの血を引いているのだから』と言われてしまった

オマケに生きなきゃ領地を守れない。その上、一族の未来もかかっているきた

そこまで来ると生きなきゃいけないて言うことはよ〜く分かる

だから私のすることは絶対に生きること






そんな訳で話がぶっ飛んでしまうけど今、戦場に来ている

父が上手く話をつけてくれたおかげで私は後方支援部隊に配属された(戦いだがった(泣))

まぁ、そんな地味な仕事でも完璧にこなしている


するとエドワードに肩を叩かれた

「ん?エドワード。どうしたんだ?」

「リゼル様。お仕事は慣れましたか?」

「ああ。ちょっと物足りない気はするけどそれも一族のためなら仕方がないな」

「ええ」

「父上はどうだ?元気そうか?」

「はい。元気に過ごしておられますよ」

「そうか。それにしても俺が後方に回る代わりに前線に行くなんて·····」

「··········。それは仕方がありません。リゼル様もユゼル様も優秀でありますから」

「そうだな」


「そういえば敵軍について詳しくご存知ですか?」

「んー·····、いや。行政や軍編成は知っているが王族についてはあまり詳しくはないな」

「そうですか。なら、お教え致しましょうか?知っておけばなにかに役に立ちましょう」

「ん」


「前王は病気の悪化から王位を譲渡し、王太子だったイヴァン王が王位に着きました。歳は24歳でとても美しい方だと聞いております。妃はおらず独身だとか」


なるほど若いイケメンかつ優秀でお妃はいないと。うん。モテ要素満載ね


「そうか。イヴァン王の容姿はどんなものか聞いているか?」

「ん?ええ。容姿は銀髪にサファイヤ色の瞳をしていると」

「なるほど」

「即位はされて5年が経つと聞いてます。とても優秀な王だと貿易で来た外国人が言っていたとも」


貿易をしている者が褒めちぎるほどの優秀な王。そして即位して5年が経つ。それは私を不安に陥れるには十分な要素だった


というのも、優秀な王というのは政治の舵取りが上手く、国の基盤が完成しているということでもある

また、5年という時間は国民の信頼性を築くのには十分な時間である。そのため信頼が高く、不満が少ない

そうなると軍全体の士気はとても高い

そして、トドメと言わんばかりにこの国は6年前に始まった戦争をつい4年前に終わらせたばかり。その上、相手は50年近く戦争はしていない

それは相手の人的物資や食料、お金が沢山あるということ


これはつらい戦いになりそうね·····


私は深刻そうな顔をきっとしているだろう

エドワードが心配した顔で私の顔を覗いた

「リゼル様?」

「ん?あ、すまない。つい考え事をしてしまって」

「いえ。そんな」

「この戦いは辛いな」

「はい…···」



それから数日とたって、前線部隊が戦闘を開始した

私に来た報告は『父が死んだ』というものだった


私は草原にたち、しばらく顔を伏せ目をつぶる

そして前を向いた


お父様が死んだということはこの戦いは負けということ。

お父様、必ずや生きてみせます。たとえ敵軍に下ろうとも



すると私は本部から会議に出るようにと伝令兵が来た


私は会議に参加した

すると早速、父とは交流関係にあったローガン卿に声をかけられた


「アラウド卿。父であられるオーウェン卿についてはとても残念です」

「ローガン卿。ありがとうございます。父の意思は私が継ぐつもりです」


すると他の卿らも揃ったらしく会議が始まった

その内容は殿しんがりについて


早速、擦り付け合いの始まり

私は黙ってそれを聞く。私に振る人はいない

父の死が彼らのせいによるものだから。だから何も言えないのだ


「殿ですが、メイソン卿がしては?」

「なぜ俺なのだ?ケイレブ卿」

「理由は明確です。オーウェン卿を見捨てたからです」

「見捨てた?それは違う。あの状況であの大傷をおったオーウェン卿を助け出すなど無理に近い」

「ならば、フレディー卿はどうだ?何もしてなかろう?」

「なっ!?なぜ私なのですか?別に何もしていない訳ではありません。後方支援の仕事をしっかりこなしております!そういう、ローガン卿はどうです?お強いですし、生きて殿できるのでは?」

「私が足を怪我していると知ってそんなことが言えるのですか?フレディー卿」

フレディー卿は青ざめた顔を伏せた


長々とそんな事ばかり私はつい溜息を着いてしまった

「……はぁ」


男気のないヤツら。父を見殺しといて罪悪感はないの?

バカバカしい。そんな奴に殿、務めさせてもただ、無駄死にするだけ。それならやってやるのが1番か……


「なら、私がしましょうか?少なくとも私は後方支援部隊にいました。部下も戦ってはいないので疲弊はしておりません」

すると皆して嬉しそうな顔をしている

私はまた、溜息を着いた


「お願いしてもよろしいのですか?アラウド卿」

「ええ。長々と男気もない擦り付け合いを見てるよりもさっさっと私がやった方が早いですから」

「アラウド卿!あなたはアルディバラン家の一人息子なのですぞ?」

「ローガン卿。私が死ぬような男だとお思いですか?」

「………」

「1つ、お願いしても?ルイス卿を補佐につけてもよろしければ」

「ええ。構いません」

「では、アラウド卿がということで…」


会議が終わったので私は天幕から出た。するとローガン卿が松葉杖を着きながら私のところに来た


「アラウド卿!何を考えて……」

「これは私の考えです。馬鹿どもに殿して全滅させられるよりも私がやった方がいいと思ったからです。それに私の魔法は空間を支配する魔法。殺せるものは居ないはず…」

「………」

「……もしも私が死んだ時は、従妹のノアリエにこの国を脱するようにと伝えてください」

「わかった。アラウド卿。必ずや伝えよう」

「ありがとうございます」







私たちは夜中に撤退を開始した

夜中ならばこの国の土地勘がない敵に追いかけられないだろうということらしい



私達は馬に乗り、殿をする

これがエドワードと最後の会話かもしれない。だからこそ私はエドワードに声をかけた


「エドワード」

「なんですか?リゼル様」

「すまないな。巻き込んでしまって」

「いえ。私はリゼル様の師ですから」

「そうだったな」

「リゼル様。もしもの時は逃げてください。あなたはバハムートの血を引く者。何としても生きなければなりません」

「ああ。わかっている。だから後ろにしてもらった」

「ならばよろしいです」


この際、こいつをからかってみようかな?この颯爽としたイケメンを蹴散らす機会はもう無いかもしれないからね


「お前、昔、俺の事を可愛いと言わなかったか?」

「へ!?!?」

エドワードは焦って馬から落ちそうになる。それを落ちないように支えてやる


慌てよう。そんなに恥ずかしかったのか?

まぁ、常に頼れる師であろうとしているからってそんなにまずいことか?


「『へ?』ではないだろ。あれ、しっかりと聞いていたからな」

「な、何を仰っていらっしゃるのですか?」

エドワードはキョトンとした顔をしている。それでも気まずそうな顔を隠しきれていない

「誤魔化しても無駄だ。その時の意趣返しだ」

「………」

「今、俺の事を子供だと思わなかったか?」

「いえ、思ってないです」

そう言って真顔に戻る


私はフッと鼻で笑った

嘘が着くのが下手くそのくせに。嘘をつく時必ず、瞬きが多くなるんだよね

「ふっ。顔に出やすいやつ」

「いま、なんて言いました?」

「なんも言っていない。嘘つくのが下手だなとは思ったけどな」

「……勉強しときます」

「ああ。その方がいい」


すると、渓谷の終わりが見えた

1人の断末魔が響く。それによって私達は辺りを見渡す

すると崖の上に敵軍がいることに気づく

私は思いっきり叫ぶ。その声は渓谷を響かせる

『崖に敵がいる!!!!!』

その声を聞いた自軍は上を見る

敵はバレたから松明を付け始めた



ああ。もう終わりね。崖上がいるということは下の道からも敵が来る可能性が高いもの

まさかこんな道を行くとは。あいつらはよほど使えないみたい。早い方がいいという安全性にも読みもできていない愚かなヤツら


父ないない軍とはここまでも脆いものなの?

そりゃぁいくらローガン卿が頑張っても無駄なわけよ。きっと私が領主になるか譲位を受ければきっと避けられたのにね……


こうなったら足掻くしかない。ほんの少しの可能性を求めるしかない

単純。頭が死ねば軍は統率を失う

だから、ヒメラルギー国王に単独で奇襲をかける。そして無理そうだったら逃げられる時間を稼ぐ


「エドワード」

「なんですか?リゼル様」

「俺は単独でヒメラルギー国王に奇襲を仕掛ける。その間になるべく統率をとって逃げろ」

「ですが……」

「私以外に奇襲をかけられるやつはいない。だからこそ。奇襲を仕掛ける」

「……わかりました。ご武運を」

「ん。また、会おう」



そう言って私は剣を抜き、バレないために馬上から空間支配魔法を使って引き寄せる形で単独で右の崖へと登った

すると驚いた敵軍が斬りかかりに行く。それを魔法で上手く避けながら素早く殺していく

断末魔がいくつも上がる


足は早く、空間支配魔法を進行方向に重力を引っ張る形で使っている。その上、三本のタガーナイフを空間魔法でミサイルのように追い詰め、死角の敵をも屠っている


私はあらかた片付いたのを見て森の中に入いり、恐らくそこにいるであろう奥へと目指す

理由は単純。私なら細い方の森に軍営を立てる方が逃げづらいから居ないだろうと思うから。だから裏をついて建てているはず


目指しているその間にも敵兵がいる。それらを蹴散らしながらものすごいスピードで向かっていく

走っていると5人ほどの騎士が厳重に守られている1人の白い甲冑を着て馬に乗っている男がいた


どうやらヒットみたいね

顔は分からないけど気配でわかる明らかに上の人の気配がするし


私はそのまま走り魔法を使って前にいる騎士を踏み台にする

そして高く飛び跳ね、斬り掛かる


っ!?!?、?重い攻撃を防いだ?!防御魔法?いや、違う。ただの防御魔法ではない

……多分、聖魔法の防御魔法?

防御魔法にしては魔法形式が違っていたし

あまりにもそれでは分が悪い。こうなったら、時間稼ぎするしかないね


私は地面に着くと伏せて馬の足を足で引っかける

すると男は綺麗に馬から飛び降りた

その風のように早い一環の流れをただ護衛の騎士は見るだけしかできないみたいだ

私は再び、例の騎士にタガーナイフを駆使しながら斬りかかりに行く。何度も防御されようとも


ん?様子がおかしい。剣の構え方も変えているし

明らかに変。嫌な予感がする


私は耳を澄ませる

そこには戦っている音も何も無い。ただ、歩いて近づいてくる音がするだけ……


逃げるにしてもあまりにも早すぎるし

……もしかして自軍が全滅した?

有り得る。エドワードが裏切るか殺されれば……

……こうなったらあの力を使ってまででも逃げるしかないかもしれない


私は兜と右手のガントレット手を守る防具を取り、顔を前に向けた

そして空間を漂うタガーナイフの1つを左手に持ち手首に傷をつけた

赤黒い血が滴る手で剣を握る


空虚な空間に声をかける。自分でも思うけど変人だよね……。でも、こうしないと力は使えない


※ヒメラルギー国王がびっくりして焦っていることについては気が付いてない



「ねぇ。おじいちゃん。力を使ってもいい?」

「……」

「使って欲しくないからってさ。無視しないで欲しいんだけど」

「……」

「そんなにお父様が死んだこと悲しいの?」

「グヒッ!うるしゃい!!」

(ひゃっくりをした。あっ。あと、周りは唖然しております)

うわぁ。ガチ泣きしてらぁ…。子供みたいにわんわん泣いてるわ

というか私の方が泣きたいんですけど?この状況な上にお父様が死んで

全く。はぁ……


「はぁ…ー。子供かよ……」

「泣いたっていいだろ?リゼル」

「あのさー。あんた周り見えてるの?この状況みて泣ける?」

「ん?………。頑張れ。孫よ」


はあぁぁ!?!!?

なんなのこいつ。孫の方は可愛くねぇのか?

よく見てみろって。あたし今、四面楚歌状態なんですけどぉ?!?

それに封印を解くことが出来るのはおじいちゃんだけなんですけど??!


「頑張れって……。俺の力の半分封印してあること知ってるよね?おじいちゃん」

「しょうがないなぁ。10分だけだぞ?」

「ん。わかってる」


すると私から赤と黒の光が発光し始めた

パキパキパキという音を立てながら角や顔に鱗が生える

剣の色は代わり青黒い光を放つ剣から赤黒い光を放つ剣へと変わった

右目も光っておりさながら魔人にしか見えないほど


これを最初、鏡で見た時もびっくりしたさ。そりゃぁ、化け物になってるんだもの。その上、力が強すぎるなんて……。脅威だよ……

まぁ、体感はなんくるないさーなんだけど


そして私は剣をかまえ、例の騎士へと斬りかかりに行く

でも、どうやらおかしいんだよね

なんかあの男、戸惑っているというかなんというか……。攻撃は防御魔法を砕いても、受け止めているから普通に強いんだろうけど。全く攻撃しないどころか目力で何かを訴えているんだよね……

まぁ、そんなのどうでもいいけど


私は再び斬りかかりに行くため走った

剣を高く上げ斬ろうとした時、足に石が引っかかって剣がポロリと後ろに落ちて何故か男が剣を捨てて下敷きになろうとしていて……


うそおぉぉーー!!?!!?

なんでここに石がぁー?!!!!


「うわぁぁー!?!」

ギシャンゴシャンガチャン。コロコロという感じで私が押し倒す形になってしまった

「いててて。なんであんな所に石が……。へっ???!」

そう言って前を向けばあらまぁ、イケメン!それも見覚えがあるというか大あり!

大きく息を吸って……

(私が叫ぶと分かったのか彼が口を手で押えた)

んーんんーんなぜアサシズんーんんんーんクロウがいるの!?!」

するとアサシンズクロウことイヴァンは顔をブンブンと横に振る

それを見た私は冷静になりこくこくと頷いた

「……って。逃げなきゃ」

そう言って体を起こそうとするとイヴァンは雁字搦めをしてきた


私は目線で『離して』て訴えるけど。彼いわく『嫌だ。殺さないから』て言ってる

それを私が『嘘つけお前は敵だ!』というとイヴァンが『その前に同じ転生者だろ?』という感じで会話をしているのだが、どうやら私の訴えは虚しく捕まってしまったのだった(泣)

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