第22話
お昼休みになりレオンハルトはクラスの女生徒達によって連行されてしまった。
「レオン様と一緒に居なくて良いのですか?」
ベルンハルトに尋ねると苦笑いで「彼を連れて行ったら女子に恨まれそうだ」と答える。
確かにあの人気っぷりを見せられるとレオンハルトを奪うのは無理だろう。
「久しぶりにリーゼとのんびり…」
「すみません、シアのところに行って来ても良いですか?」
あれ?何か言われた?
ベルンハルトを見ると若干落ち込んでいるように感じられる。私の隣には爆笑しているユリアーナがいた。
何かしてしまったのだろうか。
「最近のリーゼはフィンスターニス公爵令嬢の事を気に掛け過ぎじゃないか?」
「友人として心配しているだけですよ」
特に今日は彼女の初恋の人であるレオンハルトがやって来たばかりなのだ。気にかけるのは普通だろう。
ユリアーナに「ベルン様はヤキモチ妬いているのよ」と言われてから気が付いた。
色々と考える事が多過ぎたせいでベルンハルトの独占欲の強さを忘れかけていたのだ。
「あの、ベルン様…」
「何?」
「今日は無理ですけど明日は一緒にお昼を取りましょう。お、お菓子とか作ってくるので」
前にお菓子を作って渡そうと思っていたけど忙しさのあまり出来ていなかった。
幸いにも今日の夜は暇しているのだ。お菓子作りも出来るだろう。ベルンハルトが私の手作りで喜ぶかどうか分からないけど。
そう思いながら彼を見ると目を輝かせた。
「本当に?」
「えっと、ベルン様が嫌じゃなかったら作って来ますよ」
「嫌じゃない!」
手を握って勢いよく言ってくるベルンハルト。王子相手に思う事じゃないけど犬の耳と尻尾が見える。
言うと怒るので言わないけど可愛いと思った。
「初めてなので上手く出来るか分かりませんが頑張りますね」
「リーゼは何でも出来るだろう、楽しみにしている」
何でも出来るわけじゃないのだけど。公爵令嬢として、王太子の婚約者として出来ないと言うと怒られるので出来るふりを続けて来たのだ。
「お菓子って何を作るの?」
ユリアーナに聞かれて考えるが無難にクッキーが思い浮かんだ。無難過ぎて面白くないけど時間もないし失敗する確率が低い方が良いだろう。
「クッキーでも良いですか?無難な物ですけど」
「リーゼが作ってくれるなら何でも嬉しいよ」
「美味しいと言って貰えるように頑張ります」
ユリアーナが「出来たら私にも食べさせてね」と笑われるので試作品作りに付き合って貰おうと思う。
ベルンハルトと別れてアレクシアのところに向かった。
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