第13話
ベルンハルトが帰って一人になったガゼボに座り込んだ。
「怒涛の展開だった…」
まさか今日全てを話す事になるとは思ってなかった。
両想いの恋人。
嬉しくて堪らないのだけど懸念は残る。
「今度ユリアに会ったら色々と話さないと」
彼女には迷惑をかけてしまった。
ベルンハルトと付き合う事になったと話したらきっと呆れた顔で「リーゼ様は無駄に心配し過ぎなのよ」と言われるのだろう。
説教されたら甘んじて受けるしかない。
「それにしてもベルンハルトが主人公を敵認定するとは思わなかったわ…」
主人公が、アンネが転生者じゃないゲーム通りの良い子だったら申し訳ない事になってしまう。
もしそうだったら彼女が過ごしやすい環境を作るしかない。
「リーゼ様…」
名前を呼ばれて振り向けば泣いた形跡があるフィーネが立っていた。
どうして泣いていたのでしょう…?
「リーゼ様が、私の天使が汚されたぁ!」
「え?」
天使が汚されたって何?
フィーネの言っている意味が分からず戸惑う。
「あのクソ…ではなく、性悪王子にあんな、あんなベタベタと…」
これは…。
もしかしてキスの話をしているのでしょうか?
戸惑っていると両肩を掴まれる。
「リーゼ様、すぐに消毒しましょう!ね?」
「ちょっと落ち着いて!」
「今ならまだ間に合います!」
何が間に合うのかよく分からないが何回もキスしたのだ。もう遅いだろう。
「フィーネ、落ち着いて」
「分かりました…」
しょんぼりしながら言わないでください。
私とベルンハルトがキスしてるところを見せてしまったのが悪いのだけどここまで騒がれると思っていなかった。
「あの性悪と何があったんですか?まさか無理やり…」
「話をする前に一つだけ聞かせて」
「はい、何でしょうか?」
「貴女、ベルンに敵意を出すのはやめてたはずでしょう?何故また悪態を…」
先に聞いておかないとベルンハルトと私の関係について話せないと本能が察したのだ。
「どうして呼び捨てになってるのですか…?」
しまったと口を塞ぐ。
自分から人前では呼び捨てにしないと言ったのに破ってどうするのだ。
「その話も後でするから」
「あの婚約者様に悪態をやめていた理由はリーゼ様の様子がおかしい理由を知るためです」
どういう事なのだろうと首を傾げる。
「私、リーゼ様が心配で…。でも、私には話話さなくても殿下に話してるのかと思って…。あの人が何か知っていないかと探るために愛想良くしてただけです」
驚きましたし、申し訳ない気持ちでいっぱいにもなります。
私はフィーネを苦しませていたのですね。
「ごめんなさい」
「どうしてリーゼ様が謝るのですか」
「私の身勝手な理由で貴女を悩ませて苦しませてしまったから」
ごめんなさい。
そう言って頭を下げる。
「謝らないでください。私はリーゼ様の侍女です。リーゼ様が悩んでいる事を心配するのは当然の事なのです」
「フィーネ…」
「生意気な話ですが私はリーゼ様がお嬢様じゃなくても勝手に心配してましたよ。大好きで大切な人ですから」
フィーネは優しい。
もっと私を責めても許されるのに。
「フィーネ、私の傍に居てくれてありがとう。私も大好き」
「これからもお傍に居ますよ。リーゼ様の侍女は私なのですから」
にっこりと笑うフィーネ。
こんなに嬉しそうに笑う彼女を見たのは久しぶりかもしれない。いつもどこか悲しそうに笑っていた。それは私のせいだ。
でも、これからあんな風に笑わせない。
「ところでそろそろ先程の件について聞きたいのですが、よろしいですか?」
逃しませんよって笑顔で言われてしまった。
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