第11話

「話が進まないな」

「そうですね…」


主人公の話をそっちのけで二人の話になってしまうのが原因だ。バカップルっぽい気がする。

外ではやらないようにしましょう。


「お気に入りの場所は置いておいて。攻略対象者と主人公には出会いイベントがあるの」

「出会いイベント?」

「主人公と一番最初に出会う攻略対象者はベルンなのよ」


物凄く嫌そうな顔をするベルンハルト。


「どこで会うんだ?」

「入学式の日の朝よ。校門を潜ってすぐのところで主人公がベルンハルトにぶつかって出会うの」

「どんな出会いだよ。後どうしてベルンハルト呼びになっているのかな?」

「私の恋人のベルンとゲームのベルンハルトは別人だから」


恋人のベルンハルトが主人公と会うって考えると苛つく。

今以上に狭量な女だと思われたくないので言わないけどこれが本心だ。


「そうか…。というか私の恋人って…」

「話を続けるけど」


蒸し返されると恥ずかしいのでベルンハルトの反応は無視だ。


「転んで怪我をした主人公をベルンハルトは医務室まで連れて行ってあげるの。お姫様抱っこで」

「ちょっと待って。どうしてゲームの僕はそんな非常識な奴を運んだの?」

「可愛いからじゃないですか?最後の方に一目惚れしたって言ってましたし」

「顔で判断したのか…。最低だな」


ぶつかって転んだ主人公を見て、運命を感じたって告白するのだ。

今思えば馬鹿じゃないの?って感じだけどゲームをやっていた時は自分が主人公だったのでときめいてましたよ。


「ちなみに主人公と出会う時ベルンハルトの隣には悪役令嬢のトルデリーゼが居たわ。仲良くなかったので形式的に一緒に登校したのでしょうけど」

「婚約者を放置して主人公を助けたのか…」

「ゲームのベルンハルトの話だけどね」


目の前にいるベルンハルトが気にする必要はないのだ。


「分かっているけど僕そっくりの奴だったのだろう?」

「そうですね」

「僕はそんな屑男に成り下がらないからな」


そんなに必死に言わなくても分かっている。

おそらく私を安心させようとしてくれているのだろう。


「分かっているから…。二人で仲良く初登校しましょうね」

「勿論だ。その変な女が来ても助けない」

「はい」


ただ電波系ヒロインによくある魅了の力なるものがあったら厄介な事になってくる。

対策しようがないのだ。


「ベルン、ヒロインに魅了の力があったらどうしましょう」

「魅了?禁忌とされている魔法だよ。過去にそれが元で内乱が起こった事があるから」

「そうですよね」

「学園には魔法が使えないように魔道具が作動されているから不安になる事はない」


そういえば、そんな事をアードリアンが言っていた気がする。

今度ちゃんと聞いてみる事にしましょう。


「そんなに心配ならシェーン伯爵の娘を調べさせよう」

「そこまでしなくても…」

「僕が知りたいんだ。敵は知っておく必要がある」


主人公がすっかり敵認定されている。

私のせいですけどね。


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