第3章 十四歳
第1話
王妃様主催のお茶会の日から三年が経過した。
時間の流れは早いものだ。
私はベルンハルトに対して気不味い雰囲気を残しながら過ごしています。
出会った頃から大分成長した彼はすっかりゲームで見た姿そのものになっている。
格好良いと思う反面で断罪の事を思って怖くなった。それは他の攻略対象者に対しても同じように感じている。彼らもすっかりゲームで見ていた容姿となっているのだ。
中身がゲームと同じかどうかは別として姿が同じだとやはり萎縮してしまう。
ただユリアーナだけは違う。
まるで騎士のように、凛とした佇まいになった。ゲームで着ていた無駄に派手なドレスを身に纏う事を嫌い、髪も高いところに一つに纏めている。
ゲームの姿とは全く違うユリアーナと違って私の容姿はすっかり悪役令嬢らしくなった。
だから私は自分の容姿が好きになれない。
周囲は私を美人だ、綺麗だと褒める。
それでも好きになれない。
「リーゼお嬢様、髪はどうしますか?」
「フィーネに任せるわ」
「畏まりました、リーゼお嬢様…」
彼女に心配そうな表情を向けられるのは何度目になるだろう。
申し訳ないと思いつつ彼女の前では気分をあげられない。
フィーネに甘えているのだろうなって自分でも感じます。
「リーゼ様」
「何?」
「……私はリーゼ様のお傍に居ますからね」
「ありがとう、フィーネ」
私も傍に居て欲しいと思っていますよ。
時間が許してくれる限りは。
「それにしてもリーゼ様の髪は綺麗ですね。整えるのが楽しいですよ」
「そう?たまには私もフィーネの髪を整えてみたいわ」
「それは侍女頭が怒りそうですね」
にっこりと笑うフィーネにつられて私も笑った。すると彼女は泣きそうな表情をこちらに向けてくる。
「ようやく笑ってくれましたね」
「……ごめんなさい」
「いえ、嬉しいですよ。私はリーゼ様の笑顔が好きですから」
フィーネは決して私の顔は褒めない。
髪とか表情は褒めてくれるけど美人とは言わない。私が嫌っているのを知っているから。
私が少しでも自分の容姿を好きになれるように気を遣ってくれているのでしょう。
本当にフィーネは優しくて出来た私の侍女ですね。
「お嬢様が何を考えているのか想像出来ますが、私のお嬢様に言う言葉は全て本物ですよ」
「フィーネ…」
「あまりご自身を嫌わないであげてください」
悲しそうに笑うフィーネ。
彼女からそう言われるのは初めてだった。
「生意気ですよね」
「……そんな事ない。フィーネの言葉は嬉しいからね」
「ありがとうございます」
フィーネのおかげか今日の自分はあまり嫌いじゃなかったです。
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