第15話
今日は王妃様主催のお茶会当日です。
具合悪くなりませんでしたね。
分かっていましたよ。体調管理はしっかりしてますからね。
特にフィーネが気遣ってくれてますから、ここ三年はほとんど体調を崩したことがないんです。健康優良児ですよ。
「リーゼ様?折角のお茶会なのに楽しみではないのですか?」
ベルンハルトから送られてきた菫色のドレスに着替えた後、髪を整えてくれているフィーネに聞かれます。
彼女、最近は女性って雰囲気になってきましたね。この世界の人間は成長早いです。
それなのに歳を重ねても若々しく見えるのですから全くもって恐ろしい世界ですよ。
「楽しみ、だったのよ…」
「そうですか?」
「ベルン様が来なければ楽しいお茶会になったでしょうね」
決してベルンハルトが嫌いってわけじゃない。優しくしてもらっているし、大切にしてもらっているのが分かるのでどちらかと言えば好きな方。だから仲の良い友人だけで集まったり、二人きりで会うのは良い。
ただ社交の場になると多くの貴族令嬢に敵意剥き出しにされるのだ。
それが悲しいのです。私としては色んな子と仲良くしたいのに、出来た女の子の友達はユリアーナだけ。男の子もディルク、エリーアスだけだ。
ベルンハルトは婚約者なので含めません。
ちなみに親の命令や自身の下心で近づいてくる子は居ましたけど、本能的に警戒してしまうので友達にはなれませんでした。
「あの性悪王子も来るのですか…」
「不敬罪よ」
「申し訳ありません、つい」
ついって…。
明らかに敵意ただ漏れって感じだ。
私がベルンハルトを警戒しているのは攻略対象者だからって明白な理由があるけどフィーネは違う。それなのに彼が嫌い。
どうしてなのでしょうか。
「フィーネ、どうしてベルンハルト殿下が嫌いなの?」
「リーゼ様に付き纏っているからです」
つまり私のせいって事だろうか。
彼は付き纏っているわけじゃなく婚約者としての義務を果たそうとしているだけだと思いますよ。
「さぁ、出来ましたよ」
「ありがとう」
記憶を取り戻してからの三年間で腰まで伸びた銀髪をふんわりと巻いて、ハーフアップにしてもらいました。自分を褒めてるみたいであれですが美少女ですね。
出来る事なら前世の世界の服をたくさん着せてみたいです。いっその事この世界で流行らせるのもありですね。
「リーゼ様?」
やっぱり考え方が違い過ぎるので流行らせるのは無理でしょう。
こちらを見つめてくるフィーネに首を横に振った。
「何でもないわ。下に行きましょう」
そろそろベルンハルトが迎えに来てくれる時間ですからね。
王城で催されるお茶会なのだから迎えに来なくても良いのに。どうして来るのでしょうね。
招かれてる他の貴族に見られたら大騒ぎだ。
「はぁ…」
「元気出してください。きっと美味しいチョコレートもありますよ!」
「ありがとう、フィーネ」
チョコレートで釣られやすくなってる気がするのですが大好きなので仕方ないです。
ほらご褒美があれば人間って頑張れる生き物ですから。
「今日の夕食はお嬢様の好きなものばかりにしてもらいましょう」
「私が好きな野菜のスープはお母様が嫌がりそうだけどね」
母の好き嫌いをなくそうとしてるのですが相変わらず野菜は苦手みたいです。
健康のためにも食べさせていますけどね。その甲斐あって母も健康的な身体になりつつある。良い事だ。
「今日くらいは許してくれますよ。料理長に言っておきましょう」
フィーネは良い子ですね。幸せですよ。
家を追い出されなければ、ずっと一緒にいられますね。
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