第12話
「あ、ごめんなさい。私の話になっちゃって…。エリーアスの話に戻りましょう」
当面の目標が定まって落ち着いたのかユリアーナは話題をエリーアスに戻した。
「エリーアスってこの後どうなるのかしら」
「流石に分からないわ。今度お父様に聞いてみる」
「そうね。それが良いわ」
エリーアスの義母は捕まるだろうが父親であるシュタルカー侯爵がどうなるかは分からない。
人身売買や闇オークションに関わりを持っているわけではなさそうだから捕まる事はないだろう。しかし貴族で居られなくなる可能性はある。
それも心配だけどそれ以上にエリーアスと話をして欲しいと強く思う。
「とりあえずエリーアスとはあまり仲良くしない方が良いわよ。ベルンハルトが面倒だから」
ぼんやりとエリーアスの事を考えていると前に座るユリアーナから忠告が入る。
「そうね……。でも、友人なのよ。普通に話すくらいは大丈夫でしょ?」
「ベルンハルトの目が届くところで話した方が良いわ」
何それ、凄く面倒です。
いくら婚約者だからといって友人関係に制限をかけられるのは厄介ですよ。
ただエリーアスは攻略対象者だ。深く関わり過ぎるのも良くないだろう。
「それにしても女好きじゃないエリーアスになるのよね。新鮮だわ」
「どんな風に攻略されるのか見てみたい気持ちはあるかも」
ぜひ画面越しで見たい光景ではあるが無理なので目の前で攻略してもらえたらゲームファンとして大喜びだ。
「もう既に攻略されているような気がするけど…」
「何か言った?」
「ううん、何でもない。確かに主人公との絡みは見てみたいわね」
ただエリーアスは女好きという設定があるからこその攻略対象者だ。
主人公が惹かれるかどうかは分からない。
ベルンハルトとアードリアンルートの悪役令嬢としては彼を攻略してもらうのが一番良いのだけど現段階では主人公が誰を選ぶか分からないので何とも言えない。
「これで四人の攻略対象者と会ったけど全員ゲームと違うわね」
ユリアーナの言葉に大きく頷く。
エリーアスに関しては私が変えてしまったので仕方ないにしても他の攻略対象者が異なって見えるのは意外だった。
これがゲームと現実の差なのだろうか。
それとも幼少期と呼べる時期だからなのだろうか。
「成長してもみんな仲良く居られると良いな」
「しみじみ言わないでよ、フラグに聞こえるから」
「確かに」
呆れるように睨まれて苦笑で返す。
純粋に思った事を口に出したけど本当にみんな仲良く居る事が出来たら幸せなのだろうと思う。
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