全10話。ジャンルが全て違うのに、同一の世界観で続く物語。
KAC2021で出されたお題に沿ってつくられたもので、お話はそれぞれ独立しています。
しかし、1話ごとに完結していながら、物語はしっかりと続いているのが面白い!
脇役だと思っていた人物が、重要な役割を持っていることもしばしば――というよりも、私はそもそもこの物語に「脇役」は居ないと捉えました。
出てくる者、モノ、全てにスポットライトが当てられていて……登場人物それぞれのストーリー、バックボーンや裏話などが好きな私は、大満足でした。
全話を通じて登場するのは、スマートウォッチです。
現代のお話から、異国や「勇者」を巻き込んだお話にまで発展していきます。
私も手首に相棒を巻きつけたい!
実はスマートウォッチ、買おうかどうかずっと悩んでいたのです。
このお話を読んで、ますます欲しくなっちゃいましたね(笑)
KAC2021を覚えておいででしょうか?
そうです。運営側が出したお題で、短期間で短編を書くってやつです。
もうね、ウンウン唸ったのを覚えています。(そして途中で挫折した(涙))
このお話は、その時に出されたお題を消化しながら、物語を続きものとして書き、更には終着点まで持っていった物です。
あのお題を全部こなしたってだけでも、私の中では賞賛に値するのに、まさかその裏で、話を繋げていたなんて!!
驚愕以外の何者でもありません……。
という、長い前振りを書かせていただいた上で。
お話の全てに繋がるのは昨今、使用人口がどんどん増えているスマートウォッチです。時計の中の人(AI)を、作者お得意の擬人化してお話が進んでいきます。
何処かの異世界、侵略するためにやってきた「侵攻者」達。失われていく文明と国、民衆。
それに立ち向かう、地球からの勇者達。
一人は、入れ物を失い、一人は中身を失う。それでも、諦めず、無くしたものを取り戻すために、新たな危機を迎え撃つために、努力を重ねるもう一人。
そんな三人のお話です。
全10話で、当然、KACのお題に則って書かれていますので、1話単体でも読めます。
是非、軽い気持ちで構わないので一読を。
最終話まで、読みたくなるはずです。