優勝への大きな一策。代走

青キング(Aoking)

優勝への大きな一策。代走。

 時は2016年プロ野球セリーグのクライマックスシリーズの第三戦。

 読売巨人対DeNAベイスターズの試合で、攻撃側の巨人が内野安打で出塁した村田修一選手に代走鈴木尚広をコールした。


 DeNAの投手は左の田中。

 バッターボックスに立っているのは阿部。

 DeNA側はもちろんランナーの盗塁は警戒している。対して巨人側の心理は?



 ここで先に結末を書いてしまうと、鈴木選手の牽制死だ。

 左投手ゆえに走りにくくギャンブル盗塁を仕掛けたのが仇となったのだが、もしも成功していたとなると勝ち越しに大きく近づき、巨人の勝利は鈴木選手の功績になっていただろう。



 代走というのはあまり目立たない役割である。

 代走一人で本塁まで還られるのならまだしも、バッターが安打しないと本塁に還るのは難しい。

 いくら盗塁という手段があるとしたって、代走が起用されるのはほとんどがどうしても一点が欲しい場面だ。

 ペナントレース全体通して代走が使用される機会はおそらく少ないだろう。

 それでも僕は思う。


 代走のスペシャリストはペ優勝への重要な一ピースだよね、と。



 代走一人が優秀か否かだけで、何試合を引き分けへ持ち込み、または勝利へ導くだろうか?

 

 それは所詮、ほんの数試合に過ぎないかもしれない。

 けれど、長いペナントレースの優勝にはその数試合が大事な気がする。


 

 昨年のセリーグでは、巨人の増田選手が代走で多く起用されていた。

 坂本選手や丸選手や岡本選手のように、増田選手にはスタメンの主軸を担う力はないかもしれない。

 それでも、僕は増田選手がすごい憎かった。

 一点差または同点で迎えた試合の終盤に、先頭打者が出塁すれば増田選手が登場する。

 そこで増田選手が盗塁を成功させれば、あら不思議あっという間にノーアウト二塁の好機到来。

 二塁ならばダブルプレーになるリスクも大幅に減り、さらには三人の打者の内一人でも単打を放てば増田選手の脚力なら本塁を狙える。


 なんだぁ。守備側のチームが左投手にスイッチすればいいではないか、と思うかもしれないが、そう簡単でもないのだろう。

 確かに左投手を準備させているかもしれないが、一点差や同点の場面で登板させている投手は大体が失点ゼロで抑えられる見込みのある中継ぎ、のケースが多い。

 そんな中継ぎエースとも言うべき投手を降板させ、ランナー警戒だけに重点を置いて左投手をマウンドに上げても、相手バッターが左投手を得意にしているかもしれないし、送りバントで堅実にランナーを進めて来るかもしれない。


 まあ、要するにどう転んでも厄介なのである。


 相手チームに厄介だ、と思わせられる代走がいるかいないかだけで、チームの優勝に左右するかもしれない。

 現にソフトバンクの周東選手を代走要員として招集した稲葉ジャパンは、見事に国際大会を優勝してみせた。

 やはり、代走に特化した選手がいるチームは強いのかもしれない。


 以上、ペナント優勝の大きな一策。代走。でした。

 あと半月でプロ野球が開幕しますから、今年はもっと代走に注目したいです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

優勝への大きな一策。代走 青キング(Aoking) @112428

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ