第3話
「罪人キャンディ・スイーツと他3人は牢屋に入っていろ。」
看守の男性が言う。たしか柑橘系のスイーツ好きな男性だ。店に来たことある。
4人は牢屋をみる。鉄の柵の扉にむき出しの石の部屋だ。3人が先に入っていく。
「これが牢屋か。初めてみたな。」
「キャンディさんは、こちらです。」
3人が入り俺も入ろうとしたが、看守に止められた。隣の牢屋に入れられるらしい。
鉄の柵をくぐれば、真っ赤な絨毯が敷き詰められ、壁はレンガ作りで絵画まで飾ってある。牢屋の中心に大理石のテーブルでフルーツが入ったかごがある。ソファも5人座れるほどの大きさもある。
ベッドはキングサイズだ。
なんだここは!
隣の牢屋の10倍以上の広さがある。
「こちらで1日過ごしていただきます。」
看守が言う。
「分かりました。ありがとうございます。」
思わずお礼言っちゃったよ!
牢屋だよね?最後の思い出にならないよね!
看守の男性は、離れて行った。
「申し訳ありません!」
隣にいる男達が謝ってくる。
「私は大丈夫ですよ。あなた達は、自分の心配をしてください。敵対しなくても、未遂では罪になるでしょうから。」
王国を攻めようとした罪は消えないだろう。
隣の男達は、静かになってしまった。
俺はソファに座り、テーブルの上にあるオレンジを食べる。
うん、旨いな。
牢屋でフルーツを食べていると、外に来客が来た。
「どうもキャンディさん。昼食の準備が出来ました。」
白い制服の王宮料理長がやってきた。【ギルティー】に来るときとは違って、料理人らしい服装が新鮮だ。
「料理長様がわざわざ持ってきてくれるのか。ありがとうございます。」
大理石のテーブルに料理が並んでいく。
前菜からメイン料理までフルコースが一気に並んでいる。料理長が料理について説明しているが、とにかく旨い料理と言うことは分かった。
「美味しいですよ。デザートのプリンは、負けませんけどね。」
料理では勝てないが、デザートだけは物足りないな。
「ですよね。キャンディさんのプリンには、とても敵いませんね。材料が同じでも全く違うプリンになってますからね。」
料理長とは、プリンについて5時間議論したものだ。トッピングでさらに3時間議論したのは、良い思い出だ。
「王様からスペシャルメニューの材料を用意するように言われました。」
キャンディが材料を言い、王宮料理長が紙に記入していく。材料は特別な物はないし、店にも材料があるので急ぐ必要もない、雑談しながら、楽しく過ごしている。
「それでマシュマロン女王国ってどんな国なんですかね?」
「マシュマロン女王国は、隣国で果物が特産品の国ですね。なんでも、女王が国を納めるため、他国から狙われるので、争いが激しい国ですよ。」
王宮料理長が答える。
「そうなんですよ。他国から狙われるので、私達がこの国の調査に来たんですよ。今となっては無駄な事をしました。」
隣の男達が話しにまざる。
「同盟は結べないのか?」
「そうですね。先代の女王様は、争いが大好きでしたが、今の女王様は、友好的ですよ。ただ他の国からすれば、支配したい土地なのでしょうね。」
他の強国からしたら、支配出来るなら支配したい場所らしい。領地は広く、果物や野菜などが豊富な場所みたいだ。
「なら王様に頼んで同盟を結べは、問題ないだろうね。」
俺は気楽に話す。
「同盟を結べは、よろしいですか?」
料理長が真剣に紙に書いている。
「良いんじゃないの?果物や野菜が美味しいなら買い取ってスイーツにしたいし。」
「分かりました。私はそろそろ戻ります。夕飯にまた来ます。」
料理長はテーブルの食器を下げて帰っていった。
一人広い牢屋に居てもやることはない。
「ベッドに横になって、のんびり昼寝でもするか。」
キングサイズのベッドに横になると、すぐに寝息を立てて眠りについた。
「キャンディさんを投獄するとは国を滅ぼすのか!」
「これだから人間は、すぐにキャンディ様を我が国に連れて行くぞ!」
「こんな脆い城なんてぶっ壊してやるぞ!」
「今すぐ処刑しろ!この剣で斬れば綺麗なゾンビが出来る!手伝ってやるぞ!」
王城の外では、キャンディ投獄に対する抗議の声?が上がっていた。
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