第3話 ビルの上の無能たち
こいつらは何がしたいのだろうか。
目的も理由も何も分からないし、いかんせんムーブが無能だから、状況がカオスになっとる。
ビル1棟つきに未確認飛行物体一個て。
一家に一台みたいなノリじゃんか。
一応「未確認飛行物体」なんだろ?
プライドとかないんか。そんな堂々と、しかも集団で。これじゃあもう「確認飛行物体」だよ。
しかし状況は一転する。
無能のうちの一個が有能となったのだ。
……なってしまったと言うべきだろうか。
個人的には、このまま無能ムーブをかまし続け、オブジェクト的存在になって貰って、 アメリカの一大観光地にでもなってくれたら嬉しかった。
でも、お相手はそんな安い存在では居たくなかったようである。
数あるうちの一つのビルが崩壊し始めた。
数あるビルのうちのもっともデカいやつ。
屋上の方から少しずつ細かくなって、一人一人分ぐらいの穴に吸い込まれていく。
そりゃそうだ。あんな小さな穴では一気に吸い上げることなんて不可能だ。
だが、少しずつなら話しは違う。
回りくどい方法だが、確実に吸い上げられるだろう。
屋上がひとなみ吸い込まれると、次はどんどんそのビルの住民が吸い込まれていく。
俺はその場から離れられなかった。
離れなきゃ、逃げなきゃ、わかっちゃいるのに、恐ろしくて恐ろしくて、腰が抜けてしまって、その様子をただ呆然と見つめるしかなかった。
悲鳴をあげる者。泣き叫んで助けを求める者。子供だけでも救おうと、必死に抗う者。すべてを悟ったように無抵抗な者。
そのすべてが平等に地獄へと登って行く。
地獄へと吸い上げられる。
そして、ビルのすべてが吸い込まれた時
爆 発 し た
未確認飛行物体君。木っ端微塵になった。
風船が割れるみたいに。
バチューンつって。
いやね、ちょっと思ってた。
「機体に対してビルデカくね?」って。
いやでもさ?
ギャグ漫画じゃないんだからさ?
そうなるとは思わないじゃん?
ほら、未確認飛行物体な訳ですよ、腐ってもね?
地球外から来てる訳ですわ。
なんか地球では考えられないような技術持ってるもんじゃん。
それがテンプレって奴じゃんか。
それこそ、西アジア全土焼き払う技術持ってる訳でしょ?
怪しいけども。
だから、空間圧縮技術とか持ってそうじゃん。
でもどんどん膨らんでくのよ。俺の期待を裏切って。
んで、最後にはバチューンて。木っ端微塵。
……は?何で?どうして?どうしてそんなに君たちは無能なの?
顔も知らない地球外生命体に対して激しい怒りを感じたね。
「さて、話せる事は全部話したぞ……。
さあ、さっさと解放してくれ!」
[マアマア、ソウアセラズアセラズ。ジカンハアルンダ、モットキカセテクレヨ。
オマエノハナシカタ、オモシロインダ。]
何が起こっているかわからない?
大丈夫、俺も全然わかんない。
手足を頑丈に拘束され、身動きは全く取れない。
狭くて埃臭い古いガレージのような場所にいるようだ。
部屋は豆電球一つが光っていて、薄暗く不気味な雰囲気だ。
目の前には異形の……男?女?
よく分からないが、これだけはわかる。
こいつは地球外生命体だ。
[オイ、ナンダヨ?ツヅキハナシテクレナイノ?……モシカシテ、カタカナキキトリヅライ?]
「お、おう。そうだな、聞き取りづらいぞ。」
おい、こいつ割とメタいぞ。
いいのか新キャラこんなんで。
[ソウ?ジャア……コンナ【ベキィ!バキバキバキバキ!ゴルルリ!ゴリュゴリュ!バキバキ!ボリィ!ゴキュゴキュ!ゴリュ!バギィ!ディシディシ!ベシベシ!ゴリュベキバシバシバキバキ!ボキボキ!ボッキーン!!】うかしら!」
急にそっぽを向いて変態したようだ。
カタカナ言葉から変わろうとするのにこんなに労力をかけねばならないのか。
しかも、クソうるせぇし。
変態シーンうるさすぎて、途中なんて言ってるか全然わからんかったぞ……。
頼んだの俺だけど。
てかグロすぎるだろ、今の。薄暗いから、はっきりとは分からなかったけど、腰から頭出てきて、肩から足生えてきたのは分かったぞ。
放送コード全力で引っかかるやんか。
厳しい世の中なんだからそこら辺考えて欲しい。
頼んだの俺だけど。
そして、そいつは振り返る。
「さあ、続きを話して貰おうかしら!!」
「おう!まず色々ツッコンでからな!」
フォーチュンネイター 〜運命のサイコロ〜 人外炸裂爆弾 @norimakinorinori5551
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