第六十二話 ゼルドリスサイド ~戦闘~

 ゼルドリス達が悪魔族達と遭遇した。

 後百メートル程で南門へと辿り着ける言うところでの遭遇、無視したいと言う気持ちがあるだろうが、悪魔族がそれを許してくれないだろう。

 実際に悪魔族五人がぜルドリス達の方を見ている。

 これはもう戦闘を避けられない状況。


「どうしますかゼルドリス?」

「戦うしかないだろう。な~に、俺にかかればこんな奴ら余裕さ」


 などと言っているゼルドリスであったが、何処か違和感を覚えていた。

 悪魔族の姿、最近何処かで見たような気がしていたが思い出せないでいる。

 それもそのはず、学園の闘技場で戦った時、ゼルドリスは悪魔族の一撃で意識を失ってしまった。

 その際の記憶など殆ど覚えていないだろう。


「そうですね。私達は最強のパーティーですもんね」


 勇者パーティーのメンバーもやる気のようである。

 数では四対五、不利である。

 その上、相手の力量も推し量れていない。


「行くぞ! 油断だけはするなよ!」

「分かっています」

「はい!」

「やってやります」


 仲間達の返事を聞いたゼルドリスは悪魔族に向かって行く。

 自身の持っているスキル豪剣、これを使えば誰にも負けないと自信満々に剣を抜き斬りかかる。

 だが、その攻撃は簡単に受け止められてします。


「!!」


 豪剣のスキルを持つ自分の剣が止められるはずがないと思っていたゼルドリスは驚きのあまり動きが止まる。

 そんな隙を見逃してくれる悪魔族ではない。

 ゼルドリスの横っ腹に悪魔族の持つ棍棒が当たる。


 バキ!


 嫌な音が聞こえてきたことでゼルドリスは我に返る。


「ゼルドリス! 一度下がってください」


 クリスが叫ぶ。


「回復魔法で治療します」


 クリスの言葉に従いクリスの元へ。

 ゼルドリスが下がっている間、ラミアが結界魔法で魔人族の攻撃を防ぎつつ動きを止める。

 そこへセルカが弓で攻撃。

 大きなダメージにならないものの確実に体力を削っていく。

 このままこれを繰り返していれば勝てる。

 セルカはそう考えていたし、他のメンバーも同じように考えていたが、戦いはそう甘くない。

 悪魔族は結界の一点を狙い棍棒で攻撃することで結界を破り進行してくる。


「やはり破られましたか」


 ラミアは自分の力の足りなさに肩を落としていると、


「十分だ。さっきは突然の事で後れをとってしまったが今度はそうはいか!」


 クリスに傷を治してもらったゼルドリスが再び悪魔族に向かって行く。

 今度は絶対に倒す。

 悪魔族を捉える目には強い思いが籠っていた。


 向かってくるゼルドリスを見て悪魔族達はニヤリとした笑みを浮かべた。


「まだ分からないのかよ」


 一人の悪魔族がそんなことを口走った瞬間、ゼルドリスの腹に激痛が走った。

 それと同時に体が後方へと吹き飛び、壁に激突。


『ゼルドリス!』


 仲間達がゼルドリスの方を向いて叫ぶ。


「お、俺は、また何もできない、のか」


 一撃でかなりのダメージを受けた上に、壁に当たった衝撃で意識を失うゼルドリス。

 そんなゼルドリスへ心配の眼差しを送る三人。

 ただ、悪魔族からしたら隙だらけの三人は、後方から迫って来ている事に気づいていない。

 そして、悪魔族の攻撃が三人へと当たる瞬間、


「お前らは、いつもそうだ」


 一人の男が悪魔族の攻撃を受け止めていた。

 その声に姿を見て、三人は驚いていたのだった。

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