第2章学園編 第二部野外授業

第四十八話 二週間

 あの一件から二週間が経った。


 この二週間で大きく変わったことが一つある。それは、俺が、と言うよりも、俺達三人が生徒や教師陣から注目を浴び始めたのだ。


 そのきっかけはあの事件である。


 あの事件の翌日、学園長より発表があった。


 この学園に襲撃者が来たこと。その襲撃者に対してゼルドリスが生徒を守るために戦ったこと。ただ、力及ばず負けてしまったこと。そこで俺やミリアリアが奮闘し襲撃者を追い払ったことが話された。


 悪魔族の名前は出せないため伏せている。


 それに、ゼルドリスは何もできずに負けたが、勇者としての立場もあるため、事実とは少し違う内容で話された。


 そして最後の話だが、流石に勇者が勝てない相手に勝ったと言うのはまずいので、追い払ったと言うことにした。倒したわけではないため、大丈夫かと思ったのだが、大間違いだった。


 学園長からの発表後、俺達のクラスには毎日のように同学年の生徒や二年、三年の生徒が休み時間になるたびにやってくる。目当ては俺とミリアリア。そこで聞かれるのは闘技場でのことであった。ただ、そのことで話せることがないためはぐらかしていたが、それにも疲れた。


 最近では、休み時間になるたびに教室から出て、学園長室へと退避している。学園長からはよく「またか~、ここは隠れ家ではないんだぞ」と言われるが、「学園長の発表のせいでしょ」と言うと、その後何も言わなくなる。


 ただ、この発表に関してはあの時話し合って決めたことだったのだが、ここは学園長のせいにしておくことにする。それですべて収まるならそれでいいのだ。


 そして、ゼルドリス達はと言うと、あの一件依頼生徒達や教師陣からも信用を失っている。なぜ勇者でもある者が襲撃者すら追い払えなかったのかと。それに対して何も答える事が出来なかった。ぞれに、俺達の編入初日の一件も学園中に広がり、信用を落とすのにより拍車をかけた。今ではかなり肩身の狭い思いをしているようだ。


 そして、ゼルドリス達を独断で呼んだ副学園長もかなり肩身の狭い思いをしているとか。これが学園長から聞いた話では、降格の話まで出ているらしい。


 学園長は、俺達の掴んだ悪魔族の情報を元に学園の生徒のことを調べてくれたが、成果は特になし。たぶんレイクは偽名を使ってこの学園に忍び込んでいたのだろう。でないと、あんなところでまともに名前を呼ばすはずもないしな。それに、その生徒を今さら見つけても何の意味もないだろう。あの時のレイクの放った一言、「いい情報も手に入った」つまり集めていた情報は集め終わったということだろうからな。


 そんな感じに過ぎた二週間であった。


 そして、今日から新たなイベントが開始されようとしていたが、俺には嫌な予感しかしなかったのである。

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