第7章 



鬼族の家に招待されて大宴会


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二日後ジンから連絡があったのでキャプテンのところへ行き、


「鬼族に招待されたので土産物を持って行きたいのだけれど」


「何がほしいのかな?」


「アルコールが強くて美味しい酒」


「そうかじゃあホープに相談してみよう、ホープアルコールが強くて美味しい酒を造ってくれるかな?」


「任せてください早速作ります」


五分くらいすると、


「お待たせしました」


そういうと、壁が開いて中から2リットル入りで、太陽の描かれたラベルつきの酒二本が出てきた。


「三十年熟成したかの様な味と香り、アルコール度数90度の酒です」


イアンは両手でボトルを持ち、


「うわーこれは凄いなジンたちはきっと喜ぶよ、ホープは何でも出来るんだね」


キャプテンは笑いながら、

「喜んでもらえてよかったな、ホープお前の格言を教えてやれ」


「私に出来ない物はない、不可能はない、です」


「ありがとうまた何かあったらお願いするかも」


「わかりましたいつでもどうぞ」


友人二人調査隊のケンジ、科学技術部のトム、ロビン、ニコルの五人で、

ホープに作ってもらった酒を手土産にして、遊びに行くことにした、

次の日中型の飛行船に乗って指示された場所に向った。


緊張した顔でトムが、

「鬼って角が生えて怖い顔をしているんだよねイアン」


「そうだよ」するとケンジが「人を食べるって聞いたことがあるよ」


「そうかもね」

というとニコルが、

「そんな悪い冗談言わないの」


今度はロビンが「だんだん緊張してきたよにぃちゃん」


「ジンは顔は怖いけど、正しい心を持った優しい人だよ」


目的地に着き飛行船から降りてみると、大型の宇宙船があり手前に立派な建物【屋敷のような感じ】があった、

近づくとドアが開きジンが出て来て。


「やぁよくきてくれた。イアン、ニコル久しぶりに会えてうれしいよ、皆さんもどうぞ中に入ってください」


ロビン、トム、ケンジは緊張しながら三人の後についていくと、

ジンは大広間に案内した、大きなテーブルの上には美味しそうな料理がたくさん並んでいる。 


―豚の丸焼き、ローストチキン、ハムのスライス、チーズの盛り合わせ、フルーツの盛り合わせ、サラダの盛り合わせ、デコレーションケーキ、その他― 


見たことのない様な料理がたくさん並んでいる。


思わずニコルは、

「凄いなー美味しそう」と声を上げたあと、恥ずかしそうに口を押さえた。


イアンが周りを見渡すと重厚な家具や、高級そうな調度品が並んでいる、

そして大きく長いソファーに鬼が二人座っていて、その周りには誘拐されていた子ども達が仲良く話しながら遊んでいた、


鬼の一人が立ち上がり近づいてきた、ロビン、トム、ケンジはびびりまくっている、


「俺は長男のギランだ。イアンはどの方かな?」

と、たずねてきたので、


ジンより大きなギランの前にいき「私がイアンです。初めまして」


というと両手を前に出し手の平を上にして、


「あなたですか弟のジンと互角に戦った人は、大した者だ感動しました、よく来てくれました、今日は遠慮なく食べてゆっくりして行ってください」


そしてイアンの前に右手を差し出して席に案内しながら、


「みなさんもどうぞ席に座ってくつろいでください」


五人が席に座ると、

そこにまるで、天から降りてきたかの様な絶世の美女三人が現れた、

顔立ちよく、気品漂い、お洒落でしかも妖艶、完璧な女性たちだ、


髪はアップにして簪(かんざし)のような物をつけて和服と洋服のコラボした様なファッションをしている。


ケンジ、トムは「フアー」と声を漏らした。


ニコルも思わず、

「とっても綺麗な人達ね」といってイアンをみると、


「本当だね」と言ったので膝の肉を思いっきりつねられると。


「いたーい」と思わず声が出て、顔をみるとほっぺを膨らませて「プイッ」と横を向いる。


そして女たちは笑顔を振りまきながら料理を皿に取り分けて、甲斐甲斐しくお世話をしてくれたのだ。


料理を目の前にしたロビンは、

「美味しいそう、食べて良いのかな⌋


「間だ駄目よ、皆が席に着いてからよ⌋と、ニコルに釘を刺されて、

ペロッと舌を出して、苦笑いをしている、


トムとケンジは目にハートのマークが出てデレデレとしっぱなしだ。

ロビンは二人の顔を見て、

「ふたりとも顔に締りがないよ、でもきれいな女達だよね」


イアンが席から立ち上がって、


「今日はお招きくださいましてありがとうございます。ジンはお酒が好きなようなので持って来ましたどうぞ皆さんで飲んでみてください」

といってジンの席に行き手渡した。


そして子どもたちや、鬼たちも全員席に座ったところでギランが立ち上がり、


「今日はお忙しい中ジンの友人たちが来てくれました。


ありがとうございます先日の誘拐事件の中、ジンとイアンさんが悪者と戦い、見事敵を撃退して子どもたちを救い出してくれました、


また二人も相手の策略にはまり戦うことになり、本気の勝負をしたと聞きました、我々鬼族は戦闘民族、熟練した技と力が自慢です、それがジンと互角に闘う人が居たとは驚きました、また二人は闘いが終わり友情が出来たそうです、


あとこの星で誘拐された子ども五人は、親元へ返しましたご安心ください、話が長くなりました本日は遠慮なく食べて飲んで楽しんでください」


挨拶の後、みんなで乾杯をして宴会が始まると、早速ジンは貰った酒の品評を兄弟で始めた。


ジンがボトルを手に取りじっと見つめながら「これは楽しみだな」と言ってキャップを開けて。


「兄者、どうぞ」と言って両手で大事そうに持ち、注ぎ口をギランの方に向けると、満面の笑みを浮かべている、


「そうかじゃぁ頂こうか」


トクトクと音を立てながら琥珀色の液体が手に持ったグラスに注がれた、グラスを鼻先に近づけて香りを確かめていて。


「ほぅとても芳醇な良い香りだ」


二人が生唾を飲み喉を鳴らしながら見つめていると、一口酒を含んだ。口の中で転がして味を確かめてゆっくり飲み込んだあと、


「ほぅパンチが効いて、とても奥深く豊かな味だ」


突然弟のザックが「にぃさん俺にもついでくれ」


「おぅ、待たせたな、兄者のお墨付きだきっとうまいぞ」


と言って酒をグラスに注いだ、三人は大喜びで呑みながら大絶賛をした。


「イアンこの酒はどんな人物が造ったんだ?」


「それはホープが作ったんだ」


「そうか熟練の名人が居るんだな」


美味しそうに飲んでいるジン達を笑顔で見ながら、ホープのことを説明しようと思ったがジンはてっきり人間が作っていると思っているのでそれ以上はいわなかった。


一方ニコルや、ロビンたちは美味しそうに料理を食べている、


トムとケンジは肉が気にいったようだ、

「この肉にかかっているタレは最高だよ⌋


ニコルはケーキを食べながら、

「ふわふわで上品な甘さ絶品だわ、どうやって作るのかしら⌋


皆ご満悦のようだ。


イアンがジンに話しかけた、


「ちょっと聞くけど強い兄弟がいるのに何故一人で子どもを助けに行ったんだ?」


「鬼族の男はプライドが高くて自分の闘いは一人でやる、闘う事が生きる証なんだ、イアンも一人で行ったじゃないか」


「なるほど分った」


そして宴会が続く中、美女たち三人が微笑みながらニコルに近づいてきた、


驚いて「え?なに?」とつぶやくと、ミラーが耳元で「とってもいい事をしてあげるから一緒においで」


イアンの方を一度見たあと両手を二人に取られ席を立ち、戸惑いながらも連れて行かれた。


目でニコルを見送った後、

「ジンの奥さんたちは角がないの?」


「あるよ、興奮したり怒ると角が出るコワイぞ」


と言って大声で笑った、家族の話を聞くと、ジンには男と女の子どもが居て、男の子は自分達の星でジン達の両親に面倒を見てもらっている、弟ザックは新婚でまだ子どもはいない。


※鬼族の紹介 長男ギラン、次男ジン、三男ザック、三人とも父親の厳しい修行と訓練を乗り越えた強者である、

鬼の女こちらも偶然なのか定かではないが三姉妹なのだ、長女ミラー、次女ソフィア、三女ルビー、それぞれ兄弟、姉妹の順に夫婦なのだ、

ちなみにギランには男の子二人が居て、親元で見てもらっている、


鬼族の恋愛関係は女性の方が積極的で情熱的、男性を選ぶのも女性からである、

男性は元より同姓や周りの人達にも気配りをして、相手が喜ぶ姿を見るのが大好きで、いつも自分磨きをしている、

夫婦になると一生別れることはない、また正義感が強く怒ると男同様額から角が生え体も大きくなり力も強くなる、敵に回すと大変なことになるのでご注意を※


 そして美女たちが帰ってきた。一番後ろからニコルが照れながら姿を見せた、


ロビンは変身したニコルを見て、

「ニコルさん綺麗だね」


トムも思わず「中々のものだな」ケンジも目を丸くしている、


イアンは生唾を飲んだ、

お洒落な服を着せてもらい髪形も変わり三人にも負けないくらいの女ぷりだ、

長女ミラーはニコルの手を取り微笑みながらイアンの横の元の席に座らせると、


「二人ともとってもお似合いよ」

といって微笑んだ。


二人は緊張してカチカチになっている、イアンは目の前にある度数の強い酒の入ったグラスを手に取り、一気に飲み干した、


おもむろにジンが立ち上がって、


「そろそろ始めようか」


といいながらリモコンのスイッチを押すと、奥の壁が開いてステージが現れて、鬼たちはステージに上がり自分達の持ち場に着いた、


ステージの後ろには大きな太鼓が五つ、輪の様になって並んでいる、


ドラムはギラン、骨のようなデザインのギターをジン、キーボードはザック、背景がスクリーンになっていてプロジェクターがあり、音楽に合わせて映像が出る仕組みになっているのだ。


ドラムの合図で演奏が始まると音に合わせて太鼓が光り、雷の映像が壁に走っている、

美女達は、上着を脱いでアップにした髪を解いてセクシーな姿になり、ステージに上がった、

ジンがギターを弾きながら歌い、美女達は体全体でリズムを取りながらコーラスを始めると、


トムとケンジは大喜びでワーッと声を出して、手拍子をしながら歓声を上げた、


二曲目に入り、女三人のボーカルでダンスミュージックのメドレーを歌って踊っていると、

子供たちも参加してきて、この日の為に練習したであろう歌やダンスを披露した、

曲の途中でジンが全員の名前を紹介して、大いに盛り上がり大宴会が終わった。


そして帰る時が近づいてきたので美女達は、ニコルを部屋に連れて行き着替え始めると、

その光景に驚いた、美女達の髪の毛がまるで生きているかの様に、手も使わずあっという間にセットされたのだ。


ビックリしているニコルを見てミラーは、


「驚いているようね、私達は髪の毛一本一本に神経が通っているの、だから伸縮自在なのよ」


「だから綺麗なのね」


「触ってみて」手を伸ばして触ってみると髪が波打っている。


元の姿に戻してもらうと、化粧道具一式をミラーが持って来て、


「女は磨けば綺麗になる者よ、

それともう一つ、このカードには万単位の料理のレシピが、映像と解説付きで入っているわ」

と言って手渡してくれた。


真剣な顔をして、

「私頑張ります、貴重な体験でした、ありがとうございます。」

と言って頭を下げた。


 そして美女達は、

「今度は坊や達の番ね」


と言って荷物を持って早足で、

トム・ケンジ・ロビンの居る方へ行った。

それぞれが三人の前に立ち、


「これは私達が手作りしたお菓子よ、帰ったら食べてね」

と言って手渡すと、


三人とも顔が真っ赤になってすっかり舞い上がりながら、

「ありがとうございます」と照れながら言った。


一方ギランが手に細かな彫刻入りの、小刀を持ってイアンの元に行き、

「これは勇者の証しだ、受け取ってくれ」

と言って右手で差し出した。


ギランの目をまっすぐ見た後、


「そうですか、ありがたく頂きます」と言って両手で受け取った。


それから鬼と子ども達全員で飛行船の所まで見送りに来てくれた、ジンがイアンの前に行き、


「俺達は明日自分達の星に帰る、この間も言ったけど子ども達は責任を持ってそれぞれの家に送り届けるから安心してくれ」


「今日は本当に楽しかった、お土産まで貰ってありがとう」


「また縁があったらどこかで会えるだろう」と言って右手を差し出したので、二人はがっちりと握手をしたあと皆に見送られながら飛行船に乗って帰路についた。


 飛行船の中でトムが、

「楽しかったな」と言った後ケンジが、


「お前最初はビビッていたくせに」


「お前だって」

二人がいびりあっていると、


「まぁまぁやめなってでも、綺麗なお姉さんたちだったね」

とロビンが言うと、三人ともにんまり笑っている、


「いろいろあったけどいい経験になったわ」

とニコルが言うとイアンが、


「終わりよければ全てよし、なーんてね」


五人はご機嫌で帰っていったのだ。




つづく

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人類の始まり(ホモサピエンス) 尊伝義光(ソンデンギコウ) @sunrise_murata

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