第2話 夢日記をはじめる①
これは、俺が夢日記を始める前の話だ。
「おい、ゆうと!最近何か面白いことしてる?」
「うーん、特にないな。」
「そうか。俺は最近習い事始めたんだぜ。ギターを習ってるんだ。めっちゃ楽しいぞ!」
「へー、それはいいな。俺も何か始めたいと思ってるんだけど、何がいいかわからないんだよな。」
「そんなら、一緒に探そうぜ!」
こいつは高橋っていう俺の友達。本当に良いやつで頼れるやつだ。そんな良いやつだからこそあまり迷惑をかけたくないと思っていた。
「いや、なんか悪いからやりたいことは自分で探すよ」
「そうか。まあ困ったことがあったら気軽に頼ってくれよな!」
俺にはやりたいことが全くなかった。何かを始めるためのお金もなく、こんなくだらない現実に心底飽き飽きしていた。なんかこう、向こうから面白いことが勝手にやってきてくれたらいいのにと、毎日そう思っていた。
今の俺には将来の夢もなく、高校での進路届も白紙のままだった。俺にはやりたいことが見つからなかった。俺はやりたいことがある友達のことを少し羨ましく思っていたんだ。そして後日のことだった。
「おいゆうと、お前まだ進路決まらないのか。」
「すいません。」
先生に怒られた。
「はぁ...。お前には宿題を課すぞ。とりあえずなんでもいいから今度の休みに図書館にでも行って、興味のありそうな本でも読んで、将来のやりたいことを探すんだぞ。」
「分かりました。」
めんどくさい面談を終え、下駄箱で靴を履き替え、外に出た。一瞬眩しさに視界が奪われ、カンカンに日差しが照りつける。
「しっかし今日もあちぃーな。気がつけばもうセミも鳴いてる。そういえば、そろそろ夏休みか。一夏の大冒険でもどっかに転がってねぇーかな。想像もつかないようなどこか遠くへ行けたらな。」
数日後、私は図書館で本を探していた。ある本を手にとった時、胸が高鳴った。
「これだ!」と感じたのは、現実逃避ができるという本だった。俺はこんな本を待っていた。手に取った本は何気なく選んだものだったが、その瞬間に俺の進むべき道が確実に変わった。
後日、友人の高橋に呼び止められた。「お前先生に怒られて図書館で本を借りに行ったんだろ? 何の本だ?」と尋ねられた。俺は答えた。「現実逃避をする方法について書かれた本だ」とね。
高橋のやつは大笑いした。「ギャハハハ! なんて傑作なんだ! お前は本当に面白いやつだよ!」と。
「まあこれだけじゃあれだからな、カモフラージュのために海外のガイドブックも借りてきたぜ。先生がうるさいから海外で働きたいとでも進路届には書いとくよ。」
「海外か、面白そうだな。ゆうと、本当に海外に行っちまえよ。意外とお前の性に合ってるかもな」
「バカバカ、俺は英語できねぇーつの。」
「ちげぇーね! ギャハハハ!」
バカ話をしてたらあっという間に時間は過ぎた。
「わり、そろそろ帰るわ。一応ちゃんと読んでみるわ。」
「おう、じゃーな!」
俺は現実逃避の本を早く読もうと思い、家へと帰っていった。
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