第37話 俺の時代来たぁ

 試合開始といきますか。あ、恋愛デスマッチ中の、ハモンド、ハンナ、ゴンベはそのままお互いの体力を削り合っててくれ。


 ふられただけのアマンダは大人しいからほっといて。


 三人麻痺で、十人中、俺たちに向かってきたのは、リーダー格の魔術師と男二人。


「さて、次の矢を放ちますか」


 三本。


 バシュ!


 三人が散ってかわす。まあ、そうだよな。Sランクパーティーは、だてじゃないってか。


「貴様、三人になにをした」


 右から向かってきた魔術師がそう問いかけてくる。


 矢に麻痺属性があること、やっぱり気づかない。簡単に気づきそうなんだけどな。


 人間、ステータス画面が自分で見られるようになると頼りきって甘えたくなるもんだ。ダメージを負うと、ちまちまとのぞき込みたくなるもんな。それといっしょ。


 状態異常になってから、今のなんだったんだってステータス画面を見るんだ。


「お前のステータスカードはこちら。なんの状態異常になったのかは、お楽しみ」


 俺はカード化したステータス画面をちらちらとかざして見せたが。文字はない。ただの透明な板に見えるだろう! 


 にっひひ! くはっはははははは! 俺だけ見放題!


斬撃スライスラ飛翔ライド


 右の魔術師が手刀を切る動作をする。飛んでくる斬撃。俺の弓を持つ腕を狙ってきた。


「私に任せて!」


 ステフが俺の前に躍り出る。やっぱ、飛ぶ斬撃には、飛ぶ斬撃だよな。


真裂しんれつり」


 ガキン!


 剣のぶつかるような音。だが、どちらも剣は使っていない。腕と足から放たれたつむじ風がぶつかり合う音だ。


「よーし、そのまま止めといてくれよ。こいつの基本ステータスは? 【弱点】左の膝の皿。過去、骨折の経験あり。倉庫整理中に荷物を膝の上に落とす。うわ、痛そう。お仕事ご苦労様です」


 俺は、ステフの背中を借りて飛ぶ。魔術師の膝の皿! 毒つきスパイクで思いっきり蹴ってやる。


「ぐがあああああああああああああああああ」


 毒がなくても、痛そう。膝の皿にごめんって謝っとく。


 ステフがとどめに、拳を固める。俺の耳に詠唱が聞こえた。


 散った三人の魔術師の一人が左から来ている。詠唱時間が必要ということは、上級魔法が来るな。


 じゃ、それまでに、ステータスを見ておこうか。あと、よろしくステフ。


炎上顎破ファイアアッパー


 ステフの固めた拳が火を吹く。膝を抱えて跳ねまわっていた魔術師が顔をしかめる。


 ステフの固有スキル『炎体術』だ。


 格闘技において、魔力の有無問わず炎をまとわせることができる。魔術師は、これであごを焼き砕かれて死んだなこりゃ。ステフも容赦ないな。


 でも関心している場合じゃなかった! ちょうど、左の魔術師の詠唱が終わる。


上級火炎球ファイヤーボール


「うわー強そうだ! っは! ま、まさか、じゃ、弱点が!」




【名 前】 デイビット

【種 族】 人間

【性 別】 男

【レベル】 700

【体 力】 1200

【攻撃力】 1200

【防御力】 1200

【魔 力】 1500

【速 さ】 900


裏ステータス

【弱 点】 コショウ




 来たぁ。俺の時代来たぁ。ははは! 弱点を制する者は、戦闘を制する!

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