第40話 不思議な女性①
それから三時間が経ち、私は仙台へとたどり着いた。
東北だと言っても気温は33度。すごく暑い。
初めての一人旅で不安だが、それよりも、仙台に来て夢の事が解決するのかどうかの方が不安だった。
「えっと…確かこれに乗り換えればいいんだよね…?」
私は突発的に来てしまった初めての場所にあたふたしながらも、目的地の「東照宮」へと電車を乗り換え、向かった。
目的地は思ったよりも近く、電車で5分も掛からなかった。
そこから同じぐらいの時間を歩き、第二の目的地である「東照宮」へとたどり着いた。
(ここ…か…)
目の前には夢の中で見た光景「大きな神社のような建物」と完全に合致するものがあるが、結衣は次にどうすればいいのか分からなかった。
夢の中で見た「倒れている四人」を見つけなければならないが、そんなものが普通に落ちていたら警察などが来ているだろうし、そもそも夢の中で見たものの背景は何もない場所だったので手がかりが全くない。
結衣は広い敷地内を何度も歩いて手がかりになりそうなものを探すが、全く見つからない。
それどころか、東照宮の周りは住宅街な為、何もないだだっ広い場所なんてあるわけない。
ジリジリと蝉の鳴き声が嫌というほど聞こえてくる。
東北だが、嫌というほど暑く、敷地内を何度も歩いた為汗がダラダラ流れ、体力は残り少ない。
自販機で買った飲み物が温く感じる。
寝不足なのもあってか、熱中症になりそうだ。
「…はあ……はあ…うそ……。ここまで来て……何も……」
結衣は木陰のベンチに座りながら、手がかりを掴めなかった事に絶望する。
「あ…あの…大丈夫ですか…?」
無駄足だったか…と思っていると、目の前に女性が私の事を心配して声をかけた。
女性はロングヘアで少しつり目で背が高くてスラッとしており、モデルのようだ。
気のせいだと思うが、私は女性をどこかで見た事あるような気がするのだ。
もし女性が芸能人とかならテレビや街頭広告で見た事があってもおかしくはないが、それらではない気がする。
おそらく暑さで頭が正常に回っていないのだろう。
「はい…大丈夫です…」
「…って…結衣さん…?」
私は大丈夫だと伝えると、女性は私の顔を見て突然私の名前を言い始めた。
どこかに名前の分かるもの付けていただろうかと思うが、全く身に覚えがなく、なぜ知っているのか気になった。
「…え?なんで私の名前を知ってるんですか?」
「それは…ってここだと熱中症になっちゃうんでどこか涼しいとこに行きましょ?」
女性は何か言いたそうだったが、私の体調を優先し、近くの彼女が経営している占い屋へと移動した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます