第5話 相談
「最初に、マーガレットさんってなんであんなに強いんですか…?」
私はロゼッタに色々聞きたい事があったが、最初に何を聞こうか分からなかった。
そこで、すぐに思いついたマーガレットの事を聞く事にした。
「あー、マーガレット?理由は簡単だよ。住んでいた環境がそうじゃないと生きていけないような場所だったから」
「生きていけない…場所…?」
「うん。マーガレットの住んでた「アレゲニー」っていう町はかなり治安の悪い大きな町でね。そこで生きていく為に自然とああなったんだと思うよ」
「なるほど…」
「彼女、あんな感じだけど…本当は優しいから困ったら色々聞いてみたりするといいよ」
「分かりました…」
「…けど、ユイちゃんには本当に聞きたい…いや、気になってる事があるんじゃない?」
私はロゼッタの言葉を聞きビクッと驚いた。
私がこの世界に来てからずっと気になっていた事。それは、「この世界は何なのか」だ。
夢?現実?どれなのかがさっぱりわからない。
今、私の身の回りで起きている事はアクション映画のような戦闘場面、アニメやファンタジー映画のような魔法と言った現実ではまずあり得ない事ばかりだ。
この世界が夢なら、今まで見ている場面はある言葉で片付けられる。
それは「夢の世界」だ。
突然空が飛べる様になったり、魔法が使えるようになったり… 突然よく分からない展開になったりと「夢の世界」なら当然あり得る。
だが、この世界で一つだけ違う事がある。
それは「現実味」だ。
マーガレットと敵の銃撃の時、「夢の世界」なら銃声や臭いなど様々な事がへっちゃらなはずだが、この世界は違った。
銃声が鳴り止んだ後の耳鳴りを立てながら聞こえなくなる感覚、暖かい様な外気、臭いなどがその場で、この世界が現実であるかの様に感じた。
私がマーガレットと帰ってきてすぐにベッドの上に座り、暗い顔で呆然とその事を考えていたのをロゼッタは知っていたようだ。
ロゼッタに隠し事は出来ないな…と思った私はロゼッタに全てを話した。
ロゼッタは所々分からない単語 (アニメとか)があるみたいだが親身に私の話を聞いてくれた。
「…なるほど…。ユイちゃんはこの世界とは全く違う世界から来たかもしれないと…。へー、本当にあるんだ…」
「え…?」
「たまにね、「転移」って現象があるらしいの。本人の意思関係なく、何らかの原因で他の世界に来ちゃう事があるんだって」
「そうなんですか…」
「うん…。でも、転移ってたまにって言っても何千年かに一度レベルの話だったり作り話だったりとかで本当かどうかはまだよく分かってないの…。でもユイちゃんの話聞く感じ、嘘ではないようだね」
「信じてくれるんですか…?」
「うん、信じる。でも、これが夢なのかどうかの確認もしなきゃね」
ロゼッタは立ち上がり、体を伸ばしながらそう言った。
「確認方法ってどうすればいいんですか?」
「それは簡単!今から寝る!それだけ!」
ロゼッタは私にそう言った。
おそらくだが、一旦寝てみて目が覚めた先が私の寝室なら今までのは夢、変わらずこの部屋でロゼッタ達がいるのなら何らかの理由で転生したという事なんだろう。
私もその確認方法は賛成だが、一つ問題があった。
「でもロゼッタさん、ベッドが二つしか空いてませんけど…」
それは、ベッドの個数だ。
この部屋にはベッドが四つあるが、そのうちの二つはサーニャとミーナが使っており空いているのは残り二つ。
「大丈夫だよ。マーガレットは朝に帰ってくるし、明日は何も用事ないから私達がこの町を散策してる間に寝ててもらえばいいから」
「そ…そうですか…」
私はそれでいいのだろうか…と少し疑問に思ったが、私より関わりの長いロゼッタが言うのなら大丈夫なんだろう。
ロゼッタは、私がベッドで横になったのを確認すると「おやすみ」と優しい声で言い、部屋を灯していたランプの灯を消した。
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