159.神という存在
「うむ。まず、何故我が貴様を襲ったのか。そこから話すとしようか」
俺達からすれば何故今見逃されたのか、という方が気になるが、まぁそれを聞けば俺達の疑問も自ずと解決するか。
「それは……そういうものだからだ」
「説明になってないぞ、神様」
「意外と口下手?」
「冗談だ」
ジョークまで織り交ぜてきやがった。マジでどうしてここまで態度が変わったんだか。
「冗談だが、全てが全て偽りというわけでもない。我は他の神々と敵対関係、と言うほどでもないが、出会えば殺し合いをする程度には仲が悪い」
「それは十分敵対関係だろ」
それを敵対関係じゃないと言うなら、何を指すんだその言葉は。
「つまり、俺もアンタと敵対する神だと勘違いした、ってことで良いのか?」
「その通りだ」
「……はた迷惑」
「手厳しい娘だな。だが、返す言葉もない」
リーゼの言葉に、申し訳なさそうな表情をする
それにしても、仲良しこよしだとは思っていなかったが、思っていたよりも神様同士は殺伐としているらしい。いや、もしかしたら目の前の
「基本的に神が会った時は敵だと思うことだ、特に
「勘弁してくれ」
「そんな何回も神に出くわしたら、エイムはともかく私達の身が持たないわよ」
「ん、無理」
「いや、俺も無理だから」
【
エールスの信仰者に続き、神とも敵対が確定してしまった。一方的に俺を嫌う存在がどんどん増えていく、勘弁してくれ。
「まぁ、
「そういう理由で嫌う神もいないわけではないが、我と他の神とでは考えが合わんのだよ。そして奴らは、異なる考えを持つ者を弊害として捉える。特に衝突したわけではなくとも、そういった考えを持つ存在が自らと同格にいる。その事実だけで、奴らにとっては殺害対象だ」
「神様、血気盛ん過ぎるだろ」
他の思想を持つ者を除外する、やってることは人間と大して変わらないぞそれ。神様なんだからもっと大らかに生きて欲しい。
「なんでまたそこまで……参考までに、アンタと他の神とではどういった所が肌が合わないんだ?」
この質問の答え次第では、まだ他の神達と敵対する未来は避けられるかもしれない。その場合、今度はまた目の前の神様と戦うことになりそうだけど。
「そうだな。質問に質問で返すようだが、貴様は自分を信じるものをどのように捉える?」
「自分を信じるもの?」
「ああ、我らにとっての信仰者、貴様にとっては…そうだな、そこの二人のことをどう思っている?」
随分攻め込んだ質問をするな。二人は別に俺の信仰者ではないと思うが……。
「言葉にするのが難しいが…一言で表すなら、俺の背中を任せられる相手、かな」
「ほう」
「他人を信用するってのはかなり難しい。そんでもって背中ってのは、人間という存在である限りどうしても無防備にならざるを得ない場所だ。そんな場所を任せられる存在、俺としてはそんな認識だな」
「中々嬉しいことを言ってくれるじゃない」
「ちょっと恥ずかしいんだから茶化すな」
暗闇でバレないとでも思ってるんだろうが、顔が若干赤くなってるの見えてるからな。
「いい考えだな。その思考を捨てぬことだ」
「ああ、勿論。で、なんでそんなことを?」
「では、他の神はどう思っていると思う?」
「他の神って言うと……アンタみたいな?」
「いや……まぁ、我を指標にしても構わぬが。人族には宗教があっただろう?」
「それって、エールス教のこと?」
「確かそんな名前だったな」
うーん。エールス教については、そこまで詳しく調べてないんだよな。俺が【
「よく分からないが……そういう神様は信仰者も多いだろうし、一人一人を認識する余裕なんてないだろ。特にどうとも思っていないんじゃないか?」
「そういう神もいる、我はそういった考えに近しい」
確かに、こんな場所で体を休めているくらいだしな。「狼を司る」なんて言っていたが、特にそういった行動をしているようには見えない。
「だが多くの神、それこそエールスのような奴は……信徒のことを、駒としか思っていない」
「……は?」
「手足の延長・奴隷・道具……捉え方は微妙に異なるが、多くが都合の良い駒だと思っている。信徒を洗脳し、争いを誘発したり、試練を与えていたぶったり……自我を奪って、本当に駒のようにしてしまうものまでいるのだ」
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