17.不動の石巨人 前編
別にシルヴィアの事を信用していないわけではない。だが常識的に考えて、【
もしかすると忌み嫌われている職業だったり、最悪の場合【
そして銃の所持に対して厳しい規制が課せられ、事実上禁止されていると言っていい日本でわざわざ【
ちなみにもし【
「まぁ、やるだけやってみるか」
ちょっと試してみたいことがあるので、ラルとフェスカの両方を構え、二丁持ちスタイルでゴーレムに接近する。三年前は反動がキツ過ぎて二丁持つなんて不可能だったが、流石に扱えるようになった。
「──」
俺の接近に気付いたゴーレムは腕を大きく上げ、こちらに振り下ろす。
(シルヴィアの時は無抵抗だったが、単純に反応出来なかったのか?)
考えてる最中に腕が肉薄していたので右に体を反らして回避、その流れのままに壁を蹴って腕に飛び乗る。
「喰らっとけ」
ドゥパァン!ドゥパァン!ドゥパァン!ドゥパァン!
バシュ!バシュ!バシュ!バシュン!
そのままゴーレムの体に銃弾の雨を降らせ、ゴーレムの体を粉々に砕いていく。
「───」
ゴーレムは先ほどと同じように体を修復させていくが…
(思った通り、粉々に砕いた方が修復が遅い)
わずかな差ではあるが、シルヴィアが綺麗に切断した時よりも修復速度が遅い。恐らく、分裂した部分が多ければ多いほど修復に時間がかかるんだろう。
ただ、このロジックに気が付いても完全に倒す算段がついたわけではない。一旦シルヴィアの所まで下がる。
「ちょっと知恵を貸してほしい」
「………」
「…シルヴィア?どうかしたのか?」
シルヴィアは目の前のゴーレムのようにその場に立ち尽くし、目をパチクリさせている。
「シルヴィア!」
「!?……ご、ごめんなさい」
「いや、別に謝らなくてもいいが……どうした?」
「あはは……あんな威力で銃を連射するのは始めて見たから、ちょっとビックリしちゃった」
……もしかしてやらかしたか?劣化ケルベロスを爆散させた所を見てるだろうから大丈夫だと思っていたが、もしかするとこの銃の威力はシルヴィア達の基準で見ても規格外なのかもしれない。
「確かにな。こいつがなければ、何回ここで殺されたか分からない」
「いや、勿論その銃もすごいけど……よくガス欠しないわね。右手のそれ、魔法銃でしょ?」
「……なんだ?それ」
「……え?」
魔法なのに銃ってどういうことだ?というより、やっぱりあるんだな、魔法。シルヴィアは使っていないが、何か理由があるのか、それとも単純に使えないのか。
「……あとで教えるわ。今説明すると確実に長くなるし」
「……んじゃ、とりあえず銃については棚上げしとくとして。ちょっと知恵を借りたいんだが」
「ええ、何?」
正直気になりはするが、話が逸れるのはこちらとしても助かるのでシルヴィアに従う。
「ああいう奴って、体のどっかにコア的なものがあったりするのか?」
例えばだが、身体の中心にコアのようなものがあり、そこを壊されると機能を停止する。そんな設定のファンタジー小説を読んだことがあった気がする。
「確かに、そういうタイプもいるわ。ただ、それは人工的に造られたゴーレムの場合。こいつがそれに該当するかはちょっと分からないわね」
「……あれ、人の技術で造れるのか?」
「技術的な面でも素材的な面でも今は無理ね。だけど、古代文明にはそういう文献が見つかっているらしいわよ?私も詳しい話は知らないけど」
古代文明。なんだかワクワクするワードだな、俺が会話した光る球体も「古ノ時代」とか言ってた気がするが、それと何か関係があったりするんだろうか。
「───」
ゴーレムはこちらに敵意を向けているにもかかわらず、自発的に攻撃してこようとはしない。まるで俺達が先の道に用があるのを知っているかのように、その場から動かずに不動を貫いている。
ん?待てよ……
「…なぁ、シルヴィア」
「何?」
「もしかしてだけどさ、前回遭遇した場所も、同じ場所だったりしねぇか?」
「……全く同じかどうかは流石に分からないけど、この辺りだったのは間違いないわ」
前回と同じ場所に鎮座する石の巨人、そして戦闘が始まってもその位置から動くことはない。……なるほどな。
「お前のコアはそこか」
俺はフェスカの銃口を、巨人の足元へと向けた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます