第2話


「ほんまにつらみです~。」


お昼休み、サブウェイのサンドウィッチを食べながら後輩の真奈美が嘆いていた。

どうやら、最近インスタで話題のカフェに最近できた彼氏とデートする予定であったが、コロナで行けなくなったらしい。


「彼氏、看護師で~、濃厚接触濃厚接触うるさいんです。」


私がサラダを咀嚼している間に、真奈美は話す。

後15分で休憩が終わるのに、サンドウィッチ、さっきから全然減ってない。

私は真奈美の事の顛末よりも、少しだけ玉ねぎが落ちそうになっているサンドウィッチの顛末が気になっていた。


真奈美は今時の子で、「うん」「そうなんだ」「そんなことあるの?」「大変だね」を繰り返すと次から次へと話題が湧き出てくる。


「もー!優紀さんちゃんと聞いてくださいよ!濃厚接触濃厚接触言うてたら、全然距離縮まらへんくないですか?!」


語尾が上がってる。

彼女…、いや女子の話の語尾があがると大抵この返答を待ってる。


「そうだよねー。」


松尾優紀、29歳。

いつの間にか、浅い浅い息を吸って相手の心地よい言葉を探し発するようになっていた。


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