息を吐く

@ohagigasuki

第1話

息を吸う。


色で現すならば、灰色の空気をたっぷりと。

コホンとむせる音さえも、その機械音に消されてしまう。


もう慣れてしまって、何もおもわなくなってしまった。


ここに来て、もう10年。

いや、もっとか。

よく言うスーツケース一台でとは程遠いほどの荷物を抱えて大阪にやって来た。

来たときは、きらびやかで遊ぶには時間が足りないくらい場所も物も、人でさえも溢れていた。

テレビでしか聞いたことないような独特なフレーズやイントネーションも、今では生活の一部である。


-この10年、私はここで何を得てきたんだろうか。

そして、私はこのまま何だろうか。-



少し。

いや、ひとりで居ると頭の80%は占める考えがここ数ヶ月私を支配していた。




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