第2話 [evergreen 2 ]


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                *新譜* (?)


[ときめきメモリアルヴォーカルベストコレクションアンコールスペシャル]

(長い....^_^;)  KMCA-40 /1999/12/23


「1」の総集編的なアルバム。


収録曲は、


1. 笑顔いっぱい!

2. 恋はほどほどに

3. 観覧車に乗って

4. 風よ

5. 透明な仮面

6. 彼女のように

7. アンテナ・ライフ

8. てのひらの革命

9. My energy

10.あなたがいるから

11.Sincerely

12.フィフネルの宇宙服

13.女々しい野郎どもの詩

14.二人の時

15.ハートのスタートライン


と、おなじみの名曲揃い。



なのですが、#15のみ、未発表テイクで、今回はこれでいってみよう!と。


                ↓



-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*



              *今週のこの一曲!*


[ハートのスタートライン]


PD :福武 茂

D :流石野 孝

詩  : くまのきよみ

曲 : 村井聖夜

編曲 : 山下 正


(てっきり、岩崎元是氏作品かと思ったら、違ってた....

  1号で、間違いましたね。ごめんなさい)



<美点>



これ、ときめきメモリアルヴォーカルコレクションアンコールで

流石野ディレクターの推薦文と一緒に載せられた、ユニゾン・コーラスver.が

圧倒的な素晴らしさで、なんというか、こう、「学校の卒業コーラス」的

と、いうか、


「おニャン子クラブ/じゃあね」的というか。(ちょっと古いかな^_^;)



楽しさが一杯な、こう、人間の優しさ、かわいらしさが

よく表現されたとても素晴らしい曲だと思います。はい

歌詞の中でも、それは表現されていて、「躓いたら、手を貸して」あげる。

でも、「一秒でも譲れない、誰よりも早く」という風な


フェアであり、優しく、なおかつ強く。という理想的な競争のありかた。


いや、ホントに素晴らしい。

これを、登場した声優さんが全員で歌うわけですから、

僕なんかは、こう、ミュージカルが終わった後のカーテンコールみたいな

気分になってしまいます。


こういう曲を聴くと「生きているって素晴らしい」と思い、

明日も元気に頑張ろう!と思います。僕は。


これこそ、Entertainmentのあるべき姿です。と思ったりする。




<演出企図>


陸上競技の模様を比喩的に「恋のレース」を表現。

従って、“スタートライン”とは、恋のはじまりを意味しているのであろう。

春の訪れ、卒業というイヴェントを前に、揺れる心をイメージ。

恋のライバルに対しても、「相手を尊重」し、フェアに競う。という

このシリーズ独特の民主主義的表現。

これぞ「ときめき」という、愛にあふれた世界観。

少女の持つ、躍動感、思春期の不安定感、恋への憧れ、などを見事に表現。

しかも、抑制のきいた「若さ」であり、よく見かける「幼い」感じではない

ところにディレクションの心意気を感じる。

それは、後述するが、サウンド面でも、よく考慮されている。




<登場人物>



モノローグ形態であるため、ある少女の語り、という表現形態をとるが、

「片想いの相手」と、「ライヴァル」(人数不明)。

相互に相手を思いやり、約束を守る、という好人物たち。





<時代背景/舞台設定>


不明だが、おそらくは昭和後期。1970〜1980的な青春ラヴコメ的世界観。

少女が「優しい強さを持ちたい」と願い、「つまづいたライヴァル」に手を貸す

という価値観、倫理観は相手への信頼あってのことであり、

つまりは、友愛が根底であり、相互に約束を守るという平和社会が背景。

これは、このシリーズを通じて描かれる、いわば“ときメモワールド”の

原基である。




<歌詞イメージ>



春の予感を感じさせる、うららかなある日。

個性的な髪型の少女はひとり。

公園のとめられた噴水、泉に映る自分の顔を見ている....。

風が吹く。

虚像が歪み、泣き顔みたい。

少女の表情が曇る。

寒風は、心をふきぬけたのであろうか?



.....水鏡。

.....いつも、笑顔でいられたら。

.....必ず、想いは叶うって。

.....そう、信じてる。



でも....高校生も、あと少し....。



少女は、揺れる水面に、微笑みを。

.....「あな、た、の、こと...が...。」...


ちいさく、つぶやき。


茶色の落ち葉、とばされて。

水面に和げる まあるい波紋....。



「あ....。」



ゆれて、ゆらゆら、水鏡。


「.......!。」



ポケットの、ラッキー・コイン。



.....話して、みようかな....。



公園の、Telephone-vox。


アンティークの、ダイアル。



「....もしもし...あの...ね。」





ゆらぐ水面。

室内の、水泳場。

ショートカットの少女はひとり。

凛々しく、体躯を水鏡に。

スタートラインの、その上で。

水面に映る、自分の顔を,,,,じっと、見ている。


「おまえは、今、何考えてる....。」

「そう、だよ、な。」


後悔だけは、したくない。

できるだけ、思いっきり!


卒業できる、その日まで..。に。


脳裏に宿る、少女の想い..。


降りきるように、スタンディング。

ぐっと、屈んで、水面を見る。



心の中の、スタートライン。


それぞれに、それぞれの....。

 

ゴール目指して、「あした」に向けて....。





.....と、いうような(?)歌詞です。(ほんとかよ。^_^;)




<原案>


タイトルからも解るように、「ハート仕掛けのオレンジ」でしょう。

これを、ややアップテンポにし、スピード感のあるテクノ・ポップ風に。


<演出企図>


春という季節、自然の息吹く感覚と、恋する気持ちをオーヴァーラップさせ、

解放感、躍動感を表現している(ようだ。)

陸上競技を比喩した歌詞などからも、それは伺われる。

また“競技”という世界観は、ある種倫理的な節度感、父権的な世界感を暗喩。

そのような状況下で、ライバルに対してでも「フェア」である。という

理想を演出している。

このあたり、熾烈で卑劣な行為が横行する現代社会への痛烈な皮肉、とも受け取れる。

また、そういった社会でなくては「愛」や「夢」は存在し得ない。という、

製作者のメッセージが読み取れる。

故に、今日性はあまり感じられないのですが、

さて、音楽を聞くときに「現実」を意識する必然性がどこにあるのかと、

自問したくなりますが、僕は。




<曲構成>


2部構成 。原曲に良く似ている。




<サウンド構成>


デジタル・リズムトラック+エレキ・ギター。

リズムそのものを、elp の 音色でオクターブ・カウンターで刻むといった、

YMO的なサウンド。

スピード感を表現している。

打ち込みドラムも、どことなくYMO的で、

フィル・インなどは高橋ユキヒロみたいなパートも。

コードの進行そのものは、“ハートじかけのオレンジ”そっくりなので、

YMOがナイアガラで演ったという感じ。

(まあ、坂本は昔ナイアガラに出入りしてたしね。)



<楽曲の進行>


<イントロ>


明るい音色のelp風リフにはじまる。a-g-a-d-a-g-a-c4-a-g みたいな。

印象的なコード・シーケンスにそれは変化し、

通じて、4小節で循環する。

展開ー収束といったコード感の連続が、不安定で、「期待と不安」といった

揺れる気持ちをよく表している。

この関係は、メインメロディにも継続される。


白玉syn-stringsが、オフ気味に。9小節目から、メロディ・リフに。

同時に、Lead-brassが、pitch-siftの効いた、ダイナミックなメロディを。

16小節で、fill-inし、vocalが入る。

全体を通し、明るいメジャー系で、テンションの効いたハーモニー。

これにより、「春の予感」「希望と期待」的な状況を表現。


<本編>


本来は、3人掛け合いの歌だったようだ。その後、それぞれ3人のソロアルバムに

不足部分を追加録音したソロヴァージョンが収録されている。

(よく聞くと、声の表情が異なるので継ぎ足した部分がわかり、面白い。)

全員斉唱ヴァージョンは、これの練習風景をそのままライヴ録音した、

とのことで、空気感がよく

表現されており、スペクター的な“音の壁”がある。


進行としては、上記、「不安定ー安定」的ハーモニィの連続。

サビでリズムパターンが変化し、盛り上りを見せる。


<定位>



 Lch                         Rch

              Syn-bass  

b-dr

-------------tom sn symbals b-tom (pan)------------------------

Lead-synthe------------------------------- Lead-synthe

Syn-str elg Syn-str

elp

Groken

prec

-----------------------------Vo---------------------------------


まあ、三点定位かな^^;


判りやすい構成。


それぞれの録音によって、結構MIxは違う。

例えば、古式ver.の場合は、syn-strがエコー多く、オン気味。

館林ver.の場合、perc.オン気味、エコー少な目。

全員ver.は、全体にoff、vocalを前に、と

きめこまかく作りこまれている。

このあたり、製作者の心遣いか伺われる。



<参考楽曲>



[ハートのスタートライン〜Lovin'you]/ときめきオールスターズ

Tokimeki Memorial vocal collecion encore special / KMCA-40



[ハートのスタートライン]/ 虹野沙希&館林見晴&古式ゆかり

Tokimeki memorial vocal best collection 2 / KICA-7723



[ハートのスタートライン]/ 館林見晴

My Sweet Days / KICA-7919



[ハートのスタートライン]/ 古式ゆかり

乙女想夢 / KICA-7941



[ハートのスタートライン]/ 虹野沙希(菅原祥子)

Sati's-faction / KICA-7871





<関連楽曲>


[ハートじかけのオレンジ]大瀧詠一

Niagara Triangle Vol.2 / CBS-Sony CSCL-1662



[Who Put The Bomp! / Barry Mann]

[You are the apple of my eye / The Four Seasons]


多分大瀧氏が下敷きの一部に使用した、と思われる。

〜You are the apple of my eye〜 という節の部分と、フィルのパターンが

良く似ている。


[You are the sunshine of my life / Stevie Wonder]


これは、有名なソウルの名曲で、歌詞に "You are the apple of my eye 〜"

という部分があり、当時これを聞いたとき、「目の不自由な彼にとっての

『apple of my eye 』ってどんな存在なのだろう?」と不思議に思ったのですが

.....。後でFour Seasonsを聞いたとき「なるほど!」と思いました、はい。




[待たせてゴメンネ / Tokyo Policewomen Duo ]

作者は、ご存知岩崎元是氏。おそらくは、大瀧氏の影響と思われるが、

上記、"Four Seasons"のフレーズに似ている部分があちこちに。










[ひとくちメモ]

*メロディ・リズム・ハーモニー

なにげなく口にしているこの言葉。

「音楽の三要素」なんて言いますね。実際、これで全て分類できますね。

では、用語の定義。

メロディ =時間の変化に伴って、音の高さが変化する状態。

リズム  =時間の変化に伴って、音の長さが変化する状態。

ハーモニー=時間の変化に伴って、同時に2音以上が存在する状態。


「なーんだ、そんなこと。」ねえ。^^; 




*コード

普通、ポップスでは、この「ハーモニー」を便宜上いくつかに分類して

「コード」といっています。

これは結構便利な代物で、まあ、楽なので普通は使います。

で、たとえば今は12音技法が主流ですから、一つの調性には7個のコードが出来ます。

例えば、ハ調なら、C-Dm7-Em7-F-G7-Am-(Bb)とか。

それぞれ、    ドレ ミファソ ラ シ の上に乗るハーモニーですね。


まあ、普通使わないのもあるのですけど。

で、基本的な決まりごとがあって、「ドミナント進行」とかいいます。

この進行が、一番自然に聞こえる、という慣用則です。

この場合だと、C->G7->Cと行くわけです。これは、幼稚園なんかで、「起立-礼-着席」

をやるときに、オルガンなんかでやるあれです。


これだけだと、一つの調性には、3個しかコードが乗らなくてつまらないので、

「代理コード」なんてものがpopsでは使われます。

それぞれ、


C-Em7-Am

Dm7-F

G7

と、代わりに使えるわけですね。


だから、C-G7-Cを、C-Dm7-F-G7-Cとやると、その中間に違うスケールが載せられて、

複雑な表現ができるわけですね。

まあ、理屈はこのへんにしときましょ。

続きはまた今度。



----[あとがき]--------------------------------------------


と、いうわけで(?)無事、第2回も、おしまい。


ほんとうは、ヴァレンタイン特集とかやろうとおもったんだけど、

間に合いませんでした。はい。(^^;;;;



春遠からじ、ですね。


   みなさんも風邪などに負けないようにお元気で。

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