第48話 準備は満タン!



とある馬車の中



「それでねー! ドラゴンがバァーーーン!! ってなって、勇者様がシャキーンって切って、精霊さんはピューンって飛んでっちゃってね!」


ルミーリアはウォーターショーで何を見たのかを、アレクロットとメイドのサリーに事細かに、そして興奮しながら教えるように喋り倒していた!



「ふふふっ、その劇が楽しかったのはわかったけど、ルミーリア、帰ったらとりあえずは明後日の準備だよ? ただでさえワチャワチャしてるのに、城を抜け出したんだからきっとお父様とお母様にはおこられるね」


アレクがそうルミーリアに伝えると、今の今まで楽しそうに話していたルミーリアの表情が、何とも言えない不安と緊張と焦りが混ざったような顔になった。


その表情を見て、いらない一言を言ってしまったと思ったアレクは、黙って、ただルミーリアの頭を撫でてやるだけだった。



そんな一瞬の静寂の間を無くすように、メイドのサリーが喋る。


「あの、アレクロット様、あの少年への対処はあれでよかったのですか? 無礼すぎると思いましたけど!」


サリーはノアールがアレクに向かって言った「てか、あんた誰?」とゆう発言に対して、未だに怒りを覚えている!


だが、アレクロットはそんな事は微塵も気にしていない様子だ!


「別にいいよ、サリーも見たでしょ?あの魔法の精度! それを操ってたのは俺と同じくらいの歳のやつだった! 面白そうじゃん!」


「確かにあの魔法の練度は異様でした、でも・・・」


アレクロットはそう言うが、サリーの怒りは収まらない。


「それに明日で大丈夫と申されましたが、アレクロット様、明日はフィオナ子爵令嬢のお茶会に出席する予定でしたよね?」


「そうだった? でもまあいいでしょ、どうせ俺を呼んで威張りたいだけでしょ?あそこの家はさ!

そんなくだらないお茶会に行くより、ノアと遊んだ方がよっぽど有意義だと思うんだよね!それにアイツといれば面白そうな事が起きそうだし」


「はぁ、そうですか」


でも遊ぶくらいで済むのか否や、あの少年、顔は隠してましたが、鬼畜のオーラが出てましたから、私は心配ですよ


アレクロットのその言葉に、さすがのサリーもため息を着くことしか出来なかったらしい!


だが、もう1人の同乗者は、そんなアレクロットの言葉が怒りに触れた!


「ちょっとお兄ちゃん! あいつじゃなくてノアだよ! ちゃんと名前で言って!」


「はいはい、ごめんよルミーリア!」


「はいは1回なの!」


「はい!」


ルミーリアの何とも可愛らしいお説教に、車内はすっかり朗らかな雰囲気になってしまった!



それにしてもノアか、あいつ、雷魔法を使ってたよな、国に使える人間は5人しかいないはずなんだが。


それにルミーリアはノアを気に入ってしまったようだし、ふふっ、色々と面白くなりそうだ!




そんなアレクロットたちを乗せた馬車の側面に付いている獅子の刻印


ドリス王家の紋章は、今日も神々と輝いている。



ーーーーーーーーーーーーーーーー



あの後、ひとしきり通りを見た俺は、ルーベッシュ邸の自分たちの部屋に戻って、ウォーターショーで稼いだ金額を勘定している!



うわぁ〜、マジか・・・


銀貨16枚に、銅貨が317枚


かなり多いが、約19万の稼ぎだった!



俺が思っていたよりも、この街は随分と景気がいみたいだな!



この金額と、今日見てきた屋台の値段を参考に、お好み焼きとコーラの値段を決めていく!



まずはコーラから


これは、作業的には手間が少なく


重曹の溶けた水にコーラシロップとレモン汁を入れるだけなので、そこまでま高くはしない


列のできるジュース屋が1杯銅貨5枚だったので、コーラは銅貨8枚にしておく!


そしてお好み焼きの方だが、これも簡単っちゃ簡単だが、熱い鉄板の前で焼き続ける事になる、しかも屋敷で試した時のことを思えば、多少高くてもひっきりなしに注文は来そうなんだよな!


そう考えると、コーラより高い銅貨15枚でやっていこう!


急遽だが、アレクも参戦する事になったし、これで焼きを2人でやれて、俺はレジに集中出来るとゆう事だ!



ふふふっ!この計画で行こう!


お好み焼きの種はだいたい2000食分くらいある!


別に余っても空間コンテナに入れておけば腐ることがないので、多めに作ってきたのだ!



明日がワクワクすぎてやばいな!


「一体いくらになるのやらな! ハッハッハッハ!」


ガチャッ!


「ちょっとノア、どうしたのよ、大丈夫?」



あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!


俺が部屋で1人、大声で笑っていたらエルーナ姉さんが入ってきて、白い目で見られた。



くそ、そんな顔しなくてもいいじゃんか、興奮しちゃったんだからしょうがないじゃない!


俺は、自分では見えないがら恥ずかしすぎて顔が真っ赤になってる!


そして、そんな俺にエルーナ姉さんはトドメの一撃をお見舞していく!


「ノア、夕食の時間だから呼びに来たの、あと、さっきのやつ、気持ち悪いからやめた方がいいわよ!」


だってさ!


言われなくても分かってるよ!



ーーーーーー


・・・・・・・翌朝・・・・・・



「じゃあ今日は、テスナとデイリスは明日の用意、エルーナはお茶会なんじゃな?」


「ええ、そうなるわね!」


「俺も用事あるけどね! 言えないけど!」


「ほぉ〜、ノアもか?それは良い事じゃ! 子供は遊ぶのが一番だからな!」


「本当ね、でもノアちゃん、東区の路地裏はダメよ?」


あ〜、昨日じいちゃんが口に出して、ばあちゃんにボコボコにされた例のやつか…


「って! 俺はじいちゃんとは違うよ!」


「あらそう? 」


ばあちゃんはとぼけながらも、じいちゃんの方を見てそう言った


そして見られたじいちゃんは目が泳ぎまくってる。


なんの漫才だよそれは!


ーーーー


「エルーナは準備はいいの?」


「うんお母さん! 昨日のうちにほとんど済ませたから、後は髪とお化粧をするだけよ!」


「あらそう」


「エルーナ、無理はしなくていいから、楽しんで行ってきなさいね!」


「わかってるわよお父さん! 」


と、こんな感じで、じいちゃんばあちゃんは個性的だけど基本優しく、和気あいあいとした朝食の時間を過ごしたらいよいよだ!



準備は満タン、絶対に成功させてやる!




俺はそう強く意気込み、ハリーとチコを迎えに行く!






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