第41話 空間魔法はチェック模様


俺は今、屋敷の裏庭で、ある魔法の実験をしている


「これならどうかな?」


俺は魔力を練り、シア姉さんからもらったマジックワンドを通してイメージをするが、発動しない!


「はぁ、これもダメか…やっぱり古代魔法とゆうだけあるな! 空間魔法は!」



そう!俺が今試しているのは、空間魔法だ!


鬼の里へ行く際の路地裏の石像、あれには空間魔法が仕掛けられているらしく、適性があるものが通ると見えないゲートが繋がる仕組みらしい


はるか昔に先祖が建てた物らしいが、現在鬼神族にも適性があるものはいないとゆうことだ。


これは鬼神族の長、ルイから聞いた!



それから練習はしても、なかなか上手くいっていなかったのだが、つい先日、思いついた事があった!


座標の概念と、いつかやった一定の範囲を魔法で切り取る技術


この2つを使い、何とかならないか試してみてはいるんだが、結果はこの通り。


「さて、どうすればいいものか・・・」


諦めはしないが、軽く挫折はしている。



そんなことを思っていたら、いきなり後ろから声をかけられた!


「ノア、こんな所で何をやっているの?」


「っ!! 母さん!ビックリさせないでよもぉ!」


「ふふふっ!あらごめんなさい!」



母さんは、何故か満足気に謝っている


どうやら俺が裏庭に行くのが見えて、着いてきたらしい



「それで? ノアはこんな所で何をしてるの?」


「魔法の練習、とゆうよりも開発?に近いのかな? まあ、あまり人に見せたくはない魔法のね」


「あらそうなの、ノアは本当に魔法が好きよね! 魔道学院のことを聞いた時も、通うって即答していたものね」


それはそうだ! 今のままでも十分なほど便利、そして田舎生活にはこれ以上魔法が使えても、そこまでの影響はないと思う。


ただ、前世では田舎生活を夢見ていたが、この世界でそれが叶い、今現在、俺には夢と呼べるものが無い。


なのでせめて、俺が今ハマっている魔法について、勉強はしておきたいのだ!



「まあそうだね、魔法は好きだし、魔道具の作り方も気になってるからね!」


「ふふっ!子供たちが好きな事に没頭してくれるのは、私達も嬉しいのよ! でも、魔道学院は13歳まで かかるでしょ? 私はノアに好きなことがあるのは嬉しいけど、ちょっと寂しくもあるのよ」


母さんはいつものようにフワフワな笑顔で、自分の気持ちを教えてくれた。


まあ確かに、母さんたちからしたら俺は1番年下の子供、その俺が自分達の見えないところで成長してるとなると寂しく感じるのも当然か。


でも、確かに中等部を終えるのは13とはなっているが、飛び級なんかの制度もある、俺は元よりそんなに長く通うつもりは無い!


確かに魔法は好きで、もっと知りたいと思うが、田舎生活を捨ててまでしたいかと言われるとそうじゃない!


それにできるかは分からないが、2年後までには絶対に空間魔法を覚えて、この家から王都の学院へ通うつもりだしな!


まあ、今のところ空間魔法ができる気配はないんだけどね・・・



「俺は本当に愛されてるんだね」


「当たり前じゃない、 私はノアのお母さんだもの!」


本当に神様、様々だな!


こんなに恵まれた環境に転生させてくれた事、感謝しかない!



また今度、神を祀る祠でも作るか。



ーーーーー


その後、空間魔法もできる気がしないので、正面の庭に来て母さんとお茶をしながらおしゃべりをしている!


「王都には私の実家があるのよ?」


「え、そうなの?! そういえば父さんのことは聞いたことはあるけど、母さんの昔の話とか全然知らないや」


「うふふっ、私、実は貴族家の長女なの!」


「え、そうなの? 」


今まで、父さんの昔の話は軽くだが聞いたし、英雄譚にもなってるので街で住人たちが言うのをよく耳にしていた。


だが母さんのことは1度も聞いたことは無かったな!


「そうなの! 今回も実家に泊めさせてもらうのよ! ノアもおじいちゃんとおばあちゃんは初めてでしょ?」


「うん!」


俺のおじいちゃんとおばあちゃんか、どんな人なんだろう


こんなゆる〜い感じの母さんが育った家、想像がつかない!


親がめちゃめちゃ放任でも、めちゃめちゃ厳しくても、母さんは、今の母さんに育つような気がするから、どうなんだろうな


そんな事を思っていると、いきなり突風が吹き、俺も母さんも、デッキのテーブルにお茶をこぼしてしまった!


「はービックリした!」


「ええ、本当ね、大丈夫だった?」


「うん」


そう言いながら、母さんが懐からチェック柄のハンカチを取り出し、机を拭いている。


チェック…チェック…格子状…


「あっ!! こんな事に気づかないなんて!」


「ッ!! ノア、どうしたの?」


俺は母さんのハンカチを見て、空間転移の手がかりを思いつき、走って裏庭へ行く!



裏庭に来た俺は、地面に木の枝で、なるべく等間隔に横8本、縦8本の線を引く


俺は今まで、座標の認識が属性魔法のそれだった。


とゆうのも、サイコキネシス以外の魔法は、操るのにかなりのイメージが必要で、点と点を結ぶように魔法が動く、と言えば分かりやすいか?


その点と点の間隔を狭めれば、より滑らかに魔法が動くイメージだったのだ!


なのでそれを空間魔法のイメージに使っていたが、今からやるのはスタートと終点を最初に決める方法だ!


言えば、今までやってきたのは座標とは言えないような事だったな!



そう思いながらも、俺は適当に横軸1本目、縦軸1本目の交点 1:1に土製スプーンを作り出し、イメージする


スプーンを魔力で囲み、1:1から8:5(横:縦)へ移動するイメージして、ワンドを振るう!


すると目の前にあったスプーンは消え、横8本目、縦5本目の交点にスプーンが突如現れたのだ!


「や、やった…やった成功だ、やったぁ!!!」


空間魔法の存在を知って早1ヶ月、練習虚しく全く手応えのない日々が続いたが、やっと成功することが出来た!


「ついに!ついに成功した!空間魔法!」


俺が喜んでいると、後ろから驚愕した母さんが、恐る恐るきいてくる


「も、もしかしてノア、あなた・・・ 古代魔法をも覚えちゃったのぉぉぉ!?」


母さんのこんな叫びを聞くのは初めてだ!


自分でも分かるが、これさ相当にやばい魔法だ!


あまり大声出してほしくないんだけど、母さん!




俺はしばらくの間、めずらく笑顔じゃなく驚愕のまま固まった母さんの表情を眺めるのだった。

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