第40話 俺の親友
アリスはちょっと可哀想だったが、お好み焼きの試作も無事にできて、うまい具合にケーキの事も隠せた!
お好み焼きの評判はかなり良く、材料も出汁の元となるチチナキとソースさえ持っていけば、あとは向こうで手に入るものばかり!
王都で屋台をやることは決めているので、お好み焼きと炭酸ジュースを出すことに決めた!
それとアリスの件については、お好み焼きは、簡単、安い、美味い!の三拍子揃った食べ物だから、使用人たちのご飯にもたぶん出ると思うので、どうせお昼には口に入ると思う!
それはさておき、本題はケーキの方!
スポンジは焼きあがっており、今は粗熱を取っている最中だが
指で軽く押した感じでは、結構上手くできたと思う!
まあ食べてみないと分からないけどね!
そして次はホイップとベリーの飾り付けだ!
今回は試作ではあるが、父さんから母さんへの結婚記念の贈り物の試作なので、真面目にやらなければいけない!
別に普通のショートケーキでいいんじゃないの?
そう言いたいのも分かるが、イチゴは冬の食べ物なので、今の時期にはない!
代わりにブルーベリーやラズベリーなどの、今の時期でも取れる物を使うのだが、そうすると見た目も少しアレンジしないといけなくなってくる!
こうゆうのは女性の方が得意そうなので、メルーともう1人、女性の料理人に意見を聞いて飾り付けを考える!
まあ、結果的には無難な感じになった!
ホイップクリームで周りを囲み、中にベリーのジャムと果肉を置いて彩りを出す!
とゆうものだ!
まぁ、無難が一番だよね!
ん?さっきと言ってることが違う?
なんの事?
とまあ冗談はさておき、後で父さんに確認しないといけないので、飾り付けしたケーキは俺が氷魔法で冷やした箱に入れ、周にも氷を置いて食料庫に保管しておく!
ーーーーーーーーーーーー
昼食後、ハリーとチコが魔法の練習に来る前に父さんを呼んで、ケーキの確認をしてもらう!
「これはすごい! ノア!良くやってくれたね!!」
父さんにそう言われながら頭をぐしゃぐしゃにされる!
「ちょ、ちょっと、やめてよ!」
普段の父さんは爽やかで落ち着いているので、こんな母さんみたいに頭を撫でだりぐしゃぐしゃしてくるのは滅多にない!
それだけ気に入ってくれたとゆうことだろう!
「あ、ごめんごめん!完成度が高くてついね。 それにしても、このベリーケーキ?とゆうやつは本当に綺麗な見た目だね!」
「うん、まあメルー達にも協力してもらったけどね!ささ、見た目も大事だけど問題は味だよ! はい」
俺はそう言ってフォークを渡す!
父さんは綺麗なケーキにフォークを入れて、1口大にしてからゆっくりと口に運んだ!
「んんっ!」
ケーキを口に入れた瞬間、父さんがうなる!
感想は言葉にはなっていないが、その様子を見ればどうなのかがわかる!
大満足らしい!
普段は爽やかな笑顔がかっこいい父さんの顔が、まるで生まれてきた赤ちゃんを抱き抱えるときのような、幸せいっぱいの顔になっているからな!
そんな反応を見たら、こっちだって待ってはいられない!
俺も直ぐに食べるのだが、これは美味いは!
父さんがあんな顔する気持ちもわかったよ!
スポンジは少しゴワゴワしているものの、ベリーのドロっとしたジャムが染みて、そこにホイップのふわふわな甘みも足され、これはもう言葉が出ない!
それに、久しぶりに砂糖がたっぷり使われた焼き菓子を食べたので、もう目に涙が溜まっちゃったよ!
「これは成功だね父さん!」
「ああ、ノア!本当にありがとね! テスナも絶対に喜ぶよ!」
うちの両親は必ず感謝の気持ちを言葉にしてくれるので、両親に「ありがとう」と言われると、めちゃめちゃ嬉しい!
「別にいいよ! スパイスもいっぱい買ってもらったしね!」
「ふふっ!ノア、これからも美味しい料理期待してるよ?」
そんなことを言いながら、食料庫の入口前で男2人がケーキをむさぼってる画は、なかなかにシュールだろうな!
ーーーーーーーーーーーー
ケーキの試食も無事に終わり、部屋でまったりしていると、庭の方から俺を呼ぶ声が聞こえてきた!
「待ってて!今行く!」
俺はそうとだけ言い、急いで庭に出た!
するとそこにいたハリー、チコ、コウが
「よ!ノア先生!」
「遅いわよ!ノア先生!」
「待ったよ!ノア先生!」
なんてふざけながら煽ってきた!
まあもうこの2人のこのノリには慣れたんだけど、コウまでしなくても・・・
いや、コウはふざけ無しで普通に先生!って呼んでくるか!
と、それはいいんだ!
この3人が庭に集まったとゆうことは、そう!
魔法の練習だ!
コウは、鬼は身体能力が高いから、それでカバー出来ることも多いけど、俺の魔法の使い方を見てたら、使えた方がなにかと便利だと思い、今練習している!
ハールとチコチーニは、ノアと共に、2年後から王都の魔道学院に入るために、日々魔法の練習をこしうしてしているのだ!
「そういえば2人とも、来週から行く王都への遠征も着いてくるんだよね?」
「あぁ!2年後、何がなんでも絶対に魔道学院に通うから! って説得したんだ! 父ちゃんからもデイリス様に頼んでもらた! 」
「そーそー! 私は母さんを説得するのが大変だったけど、2年後に魔道学院に行くから、その下見で!って事でOKが出たのよ!」
は、なるほどな
こいつらは誰かさんに似て(ノアール)口だけは上手いので、親をけむにまく様子が見て取れる!
「お前らどうせ下見とかどうでも良くて、ただ冒険がしたいだけだろ!」
「ふっ!当たり前だろ!」
「王都まで行くのも冒険! 王都に着いてからも冒険! ワクワクするでしょ?」
と、2人は俺の問いかけに悪びれる素振りもなく、さも当たり前の事のように冒険について語りだした!
そんな二人を見て、コウは楽しそうに笑っている!
「2人とも、立派な夢があるんだね!」
コウさんや、そこは無視で良いんだよ…
数分後…
ダラダラと冒険のことばかり話すハリーとチコを止め、3人に今日の本題を話す!
「今日はお知らせがあります! 3人とも無事に魔力操作のノルマをクリアしたよね?」
「「「はい先生!」」」
「うん、なのでもうみんなに教えることが有りません!」
「「「ッ??」」」
俺の言葉には、3人ともさぞ驚いたことだろうな!
数週間で魔法の練習は終わりだと言われたんだから、それに3人はまだ魔法自体の強化とかについては何も知らないしね。
「まあ混乱するのは分かる、分かるけど、魔法は魔力操作さえ出来ればどうにでもなる! あとは常日頃から色々使ってみて、自分で試行錯誤するしか無いよ!」
どうせこの3人は俺と会うことが多い、聞きたいことがあればその時でいいだろう
「なんだよ、俺らにも魔法バカになれってか?」
「うん!その通り! 魔法は自分で磨かないとあまり意味がないと思うからね!」
俺がそういうと3人は考えるが、こいつら基本頭がいい
俺の言わんとすることは何となく理解したんだろうな
3人でお互いを見て頷きあい、最後に俺の方見て
「「「ありがとうございました、先生」」」
と、小学生みたいな挨拶をしてきやがった!!
ハリーとチコの性格上、半分本気、半分照れ隠しなんだろうな、なんか中途半端に頬っぺ赤いし!
そしてコウはそれに巻き込まれたんだろうな
こいつらが打ち合わせしてるところが浮かんでくるよ
多分2人は、俺がそろそろ魔法教えんのに飽きてくる頃合だとよんで、打ち合わせしてたんだろと思う!
そう、今日魔法練習を終わりにすると言ったのは、3人が十分な基礎を身につけたことも大きいが、俺が教えるのに飽きたからでもある!
だって毎日基礎ばっか同じこと教えるんだよ?
俺は教師には向かないらしい、ま、知ってたけどさ。
でもこうゆう、お互いのことを見透かせるくらい仲のいい友達って、人生においてはめちゃめちゃ大事だよな!
俺はこの2人の気持ちが何となく透けて見えたのと、考えをこいつらに読まれてたことに少し照れくさくなったと同時に、この2人の親友はこれからも大事にしよう!
そう強く思ったりもする。
恥ずかしいから絶対に言わないけどね!
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