第34話 母親
「これが2人が言っていた石像なのね」
「ノア、よくこんな所見つけたね」
「まあ、歩いてたら偶然ね!」
「それにしても、なんか少し不気味に感じるわ!」
「皆さん、まずは私とチヨが向こうへ行きます! 里の人達も私たちが人の国に行っていることは知っているので、前回のようなことにはなりません! 任せてください!」
俺たちは今、テルヌスの街と鬼神族の里の狭間、鬼の石像がある裏路地へ来ている
そこで、鬼の里へどう入るのかをコウに指示された!
「じゃあ2人とも、よろしくたのむよ!」
「はい!」
「お任せを!」
父さんの激励を聞き、8人は里の方へ歩き出す。
ーーーーーーーー
「ルイ様ー! ルイ様はいらっしゃいますか!」
里長の住む御殿の敷地に一人の男が大慌てで飛び込んできて、大声でそう叫ぶもんだから、建物中にその声が響き渡る!
「おい、シュカク、そんな急いでどうしたんだ! ルイ様は今執務中、あまり騒がしくしては仕事の邪魔になるではないか!」
門番の男は慌てて走ってきた男、シュカクにそう告げるが、シュカクの勢いは収まらない
「これが落ち着いていられるか! コウ様とチヨが帰って来たのだぞ!」
「何?本当か! 」
「ああ! 今直々にお会いし、こうして伝令に走ってきたのだ! 急いでルイ様にお伝えしなくては!」
「まぁシュカクよ、落ちついても大丈夫だと思うぞ!
そんだけ大声で叫べばルイ様だけでなく、館中の者にまでちゃんと届いてるぞ!」
「そうか! ハッハッ」
[ドッシーーーンッ!]
「「ッ!!」」
門番とシュカクがそんな話をしていると、突然に館の扉が吹き飛んだ
そして、2階の窓が勢いよく空き、ルイが顔を出して叫ぶ!
「なっ、しまった! 待て、待つんだエン!」
顔を青ざめさせながらそう叫ぶルイの視線の先には、鬼の面を被っり、自ら蹴破った扉だった木の板の上で一人の女性がルイの方をチラッと見るために足を止め、直後、えげつない速度で走り出した!
「くそ! おいシュカク! 何でもいい!何でもいいからエンを止めろ! 」
「えっ、私に言いますか?」
「コウ達が帰ってきたとゆう事は、デイリス殿やノアール坊主もいるだろう! エンが行っては何をしでかすか分かったものではない!」
「で、ですが! 」
「いいからやれ!! 私も直ぐに着替える! ノアール坊主がいる限り、いくら結界を貼っても無駄!彼らとは友誼を結ばねばならんのだ!」
シュカクはその話を聞き、覚悟を決める!
さすがはルイ様、私たちよりもはるか先を深くお見えになられている。
ならば私もルイ様のため、里の未来のために、今ここで散ったとしてもやらなければならん!
「ぎょいに! 精一杯食らいついてみせます!」
「頼む!」
「だとよススケ、もちろんお前もやるだろ?」
「当たり前だ! 里の未来がかかっちゃやらん訳にはいかんからな!」
そう言ってシュカク、そして門番のススケは、物凄い迫力と速度で迫ってくる、エンとゆう女性の前に立ちはだかった。
ーーーーーーーーーー
一方ノアール達は、里の警ら隊の人たちに先導され、長の住む御殿へと向かっていた。
「こんな建物初めて見るよ! 全部土なの?」
ダリル兄さんは初めての場所に興味津々らしく、珍しくテンションが上がっている!
その兄さんの肩の上でピョンピョン飛び跳ねている精霊のホロも、めちゃめちゃ可愛らしい!
「いいえ、あれは粘土と干し草と水、そして
そう答えたのはチヨだった
なるほど、日本の土壁とか漆喰に似た物なのか。
やっぱりこの鬼の里、服装といい建築といい、どこか日本と近い雰囲気があるが何故だ?
ノアールは少し疑問に思った。
「さすがは大工の娘ねチヨ!」
「いいえコウ様、それほどのことでもありません! 皆知ってる事ですよ!」
「へぇー、チヨは大工の娘さんなのかい?」
「はい! うちは代々この里の建築を任せていただいてる大工です!」
チヨの説明では、この里には大工はチヨの家しかないらしい
前にコウに聞いたが、この里の人口は3000人程
この規模だと引越しや建て替えなんかは少なそうなので、新築に力を入れれるとゆうのもあるのだろうが、それにしても、里の全ての家を手がける大工一家って、凄すぎだろ!
それでも3000人で豊かな暮らしをするには、各々が決まった役割を果たさなければいけない
この里はそうやって回っているらしい!
俺たち一行は、すれ違う鬼神族の人達にひそひそ話をされながらも、雑談をしながら、御殿と呼ばれる里長の家へ向かうのだが
「「「「 ッ! 」」」」
途中、かなり大きな魔力を、戦闘や魔法に優れたデイリス父さん、テスナ母さん、精霊のホロ、そして俺 の4人は感じた!
なんだ?今の
俺はそんな顔をしているが、父さんと母さんは俺たち子供には伝えず、だが父さんは腰の剣に手を置き、母さんは水の防御魔法の展開を準備している!
そして魔力を感じてから1分ほどが経ったと時!
突然どこからともなく1本の矢が飛んできた!
しかもその矢には魔力が宿っており、威力も速度も高い!
「なっ!」
俺は慌ててバリアを出すが、ギリギリで間に合わなかった
放たれた矢は、母さんの水の防御壁に当たり、威力を落としそこら辺にコロコロと転がった!
「「キャアーー!!」」
矢が母さんの魔法に当たって、ようやく攻撃に気づいたエルーナ姉さんとシア姉さんが悲鳴をあげると、周りにいた鬼神族の人たちも少し離れていく!
そしてその矢を見たコウは、かなり苦い顔をさせているのを俺は見た
なんだ?コウはこの攻撃をされている理由を知ってるのか?
俺は少し不安になるが、今はそれどころではない!
矢が次々と降ってきているのだ!
母さんの水の防御壁と俺のバリア、そしてホロの魔法、植物魔法で防いでいるが、気を抜くとヤバそうだ!
だからといって、今こちらから攻撃をするわけにもいかず耐えていると、コウが大声で叫んだ!
「お母様ーーー!! 私は大丈夫です! 今すぐ攻撃をやめてくださーーーい!」
コウの声は里中に響き渡り、矢の攻撃もピタリと止まった。
一体何だったのかと矢の飛んできた方向を見ると、一人の鬼の面を被った女性が誰かの家の屋根に立っている!
そしてその手には、かなり大きな長弓が握られていた
あの女性は一体・・・
「「「「「「 え、お母さん? 」」」」」」
俺たちセンバート家の6人は、仰天しながらも、ピッタリと口を揃えて聞き直した!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます