第26話 そうだ!ピクニックに行こうか!



「ノアール様〜!朝ですよ〜!起きてくださ〜い!」


「んー、あと3時間・・・」


「って!何ですかそれ! 5分とか10分なら分かりますけど、3時間ってそれは無いですよ!無い無い!」


今日俺を起こしに来たメイドはアリス


この屋敷には5人のメイドがいるが、後ろから2番目に入ってきたメイド


性格は見たまんまで人懐っこくドジな所はあるが、いつも笑顔で楽しそうな人だ!


「ふふっ、冗談だよ、おはよ〜」


「わかってますよぉ〜!! おはようございます!」


メイドとしての口の利き方としては全くもって論外だが、まあウチはそうゆう所を気にしない家訓なので、楽しく過ごしている



俺はいつもの日課で、上半身を起こし、アリスが開けてくれた窓から外を眺める


「今日もいい天気だね〜!」


「そうですね〜! てゆうかノアール様はそればっかりですね〜!」


うるせっ!いいじゃんか別に!


5年も見ている風景で、別に何かが変わった訳ではないが、こうゆう時間を謳歌できる事が、俺は本当に幸せだ


起こされてから数分、下手したら10数分かもしれないが、アリスが忠告してきた



「ノアール様、早く降りないとご飯食べられますよ〜?」


「・・・ごめん、すぐ行くよ」


5歳の育ち盛りの俺にとって朝食抜きはきつい!




ーーーーー



「おはよう」


「「「「「「おはよう!」」」」」」


「ノア!遅いわよ! もうお腹ペコペコよ!」


ごめんよシア姉さん、でも許してよ!魔力切れ起こすと回復するまで眠いんだよ〜!


それにそんなこと言っていると、母さんになんか言われるよ?


「こらシア!朝っぱらから女性がそんなこと言ってはダメよ?」


「はーーい」


ほらね、言わんこっちゃない!



俺は、朝は基本1番最後に降りてくるので、昔は何回か母さんに注意されたが、もう完全に諦めたらしい


それに、俺の挨拶に対してみんなの返事が返ってくるくるこの感じは、実は毎日の楽しみでもあるったりする



「じゃあ、ノアも来たしお願いね!」


倒産の合図で食事が運ばれてくる


チヨもだいぶ慣れたらしく、最近は何食わぬ顔で屋敷の仕事もこなしてくれている


メイド達もチヨを可愛がってるようで、最近はメイドの休憩室からもよく楽しそうな声が聞こえてくる程だ!


別に聞き耳を立ててるわけじゃ無いからね?



「そんな事より、皆甚平着てるんだね!」


俺が目に付いたのはみんなの服装


注文していた浴衣と甚平が、昨日届いたのだ


シア姉さんも、みんなの分が届くまで我慢してたので、昨日は嬉しそうに着ていた!


それにしても、やっぱり皆美形だけあって、甚平ですらめちゃめちゃ可愛くオシャレに見える


「これ涼しいからね、夏にはバッチリだよ!」


「本当よ!ノアも良くこんなの思いついたわね!」


「さすが私の弟ね!」


エルーナ姉さんもダリル兄さんも、シア姉さんも、浴衣と甚平を気に入ってくれている。


まぁ、別に俺が考えた訳では無いので、少し罪悪感は残るが、まあ嬉しいのに変わりはない!




ーーーーーーーー



「そうだ!今日はピクニックに行こう!」


朝食後のティータイム、父さんが突然そんなことを言ってきた


「デイリス、いきなりどうしたの?」


「いやぁ、家族全員でどこか出かけたことってなかったなと思ってね、夏は仕事が少ないから、行くなら今のうちだと思ってさ!」


今でこそ綺麗な服を着て机仕事をしているが、やはりもと冒険者、アウトドア好きは治まらないらしい



秋は冬の準備、冬は出かける人なんて殆どいない、春は麦の収穫と税集 があり、中々に仕事が多いのだ


それに比べて夏は領主の仕事はかなり落ち着くので、この時期には各貴族がお茶会を開くことが多い!


ここら辺の田舎貴族でもその風潮はあるが、今年は秋に王都での第3王女の誕生祭があるため、お茶会を開く貴族が少ないのだ


そのおかげで時間があるらしい



結局、皆OKを出したので、今日はピクニックに行くことになった!




ーーーーーーーー


「って、なんでみんな浴衣なの?」


皆が各々準備を終え、リビングに集合してきた


「だってせっかくノアが作ってくれたんだもの、ぜひ着ていきたいのよ!」


って言われても


「母さん、浴衣は少し動きにくいし汚れるかもしれないけどいいの?」


「ええ、そう簡単に汚さないし、子どもじゃないんだから走れなくても問題は無いわよ!」


って、それもそうか


それに日本でもお祭りで何時間も着ている物だしな



1人だけ普段着だった俺は、直ぐに部屋に戻って浴衣を着る


俺のは青色の浴衣で、まあ自分で言うのもなんだが、可愛らしい子供って感じになった。


父さんは黒、キラキラと輝くブロンドの髪が黒の浴衣に映えてメチャメチャかっこいい!


ダリル兄さんも紺色で、兄さんの落ち着いた雰囲気とよくあっている!



テスナ母さん、エルーナ姉さん、シア姉さん、コウ


は、それぞれ順に


淡い緑、淡いピンク、鮮やかな赤、オレンジっぽい色の浴衣だれ


それぞれの特徴に良く合っていて、さすがは付き合いの長いベイリー被服店セレクトと言ったところだろうな!




ーーーーーーーー



俺たち一行は、馬車に乗り街の東側、唯一山に囲まれてない方角へと向かった!



こっちの方は唯一他領と街道が繋がってる地域であり、大規模な麦畑が、街道の左右を挟む道


麦が黄金の実をつける4、5月頃は、黄金の絨毯の上を通っている気分になるのだろうな!


俺も1度でいいからそんな光景見てみたいな!



「そういば父さん!なんでこっちに来たの? ピクニックなら山とかでも良さそうだけど」


みんなでボーッと横に動いていく景色を見ていると、姉さんが父さんに聞いた!


「あぁー、シアとノアは初めてだったね」


「この先にピクニックにちょうどいい感じの小さな丘があるのよ!」


「そう!テスナの言う通り、今から行くのはウチのピクニックスポットだよ! 近くの湖で釣りなんかもできるから、今日はいっぱい楽しむといいよ!」



ということらしい!


どんな所かは知らないが、めちゃめちゃテンションが上がってることは分かる!


家族全員でなんて初めてだからね!

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