第21話 鬼神族の魔法
さて、次はコウとチヨだな
鬼神族は亜人、人とは体の造りが違い、身体能力は人とはかけ離れているが、魔法はどうだろう。
「じゃあ次は2人だね、2人は適性は?」
そう聞いてはみたが、2人はポカーンとした顔をさせながら言う
「適正って、何?」
・・・・・・・・・・・・え?
「え?適正って、え?」
突然の告白に、俺はだいぶ混乱している
あれ?さっきからハリーとチコへの説明聞いてたよね?
分からないならもっと早く聞けばいいのに
なぜ今聞いた?
ーーー
整理するまでちょっと時間はかかったが、ようやく頭が追いついてきた
「あれ?さっき魔法使えるって言ってたよね?」
「ええ、使えるわよ?」
そう言って、コウは魔法を使うが・・・
「凄いな、これは」
コウが使ったのは魔法、厳密に言うと少し違うが、身体強化魔法。
それも、恐ろしいくらい膨大な魔力を流している
身体強化は魔法のように発現させるものではなく、ねった魔力を体に流すことで、筋力を強化する魔法だ
コウが使っているのも同じなのだが、異様なほど魔力を流している
「るほどね、それはこっちで言う身体強化の魔法だよ、ハリーやチコ、俺が使ってる魔法とは、少し違うものかな」
そう言って、俺は6種類、火、水、土、風、氷、雷、の属性魔法を発動する
「人の間では、これを魔法って言うんだ、身体強化との違いは、めちゃくちゃ簡単に言うと現象に引き起こすかどうか、かな?」
2人はまたポカーンとしてが、説明を続ける
「まず、コウが今使った身体強化は、魔力を練り、体の中を高速で循環させるんだ、自分がそれをしてることは自覚してる?」
「うん、なんかよく分からないものを体の中で回してるわよ?」
「そう、そのよく分からないものが魔力だよ、そして、その魔力を鍛冶師が鉄塊から刀を打つみたいに加工して形にしたもの、それが魔法かな?」
この説明なら2人にも伝わるだろう
「なるほどね、なら適性は?」
「適性とはね、魔法を使える資質のことだよ
今の人たちが使う魔法は属性が存在するんだ、
俺がさっき出した6個と、チコが今練習してる無属性のやつね」
これはどうしてこの区切りになったのか、よくわかって無いんだよね、古代魔法はこの属性理論とは完全に異なったものだったし
まあそれは今はいいか
「それで、この各属性に適性がないと、その魔法は使えないんだ、どれだけ頑張ってもね」
「なるほどね、それで? 属性はどうやって見分けるの?」
これについては完全に力技になるんだよな。
「それは簡単、初級魔法を片っ端から使ってみるしかないよ」
2人に説明していると、突然後ろから声をかけられた
「やっているようね、ノア」
声をかけてきたのはテスナ母さんだった
「おはよう母さん」
「「「「おはようございますテスナ様」」」」
「ふふふっ、おはよう! みんなもノアみたいに崩した言葉で構わないのよ?」
と、母さんは言うが、それは無理だろう。
ハリーとチコは、親の直属の雇い主であり、自分が住む領の領主
コウとチヨにとっては、舐めても舐められてもいけない相手
うちの人間を見て聞いて、一緒に過ごしているので、センバート家の事は信用しているだろうが、それでも親しき仲にも礼儀ありと思っているだろうからな
「それより聞いたわよ? ノアが魔法の先生をしてるんですってね!」
え?まさか怒りに来たのか?
俺は少し身構えるが、別にそういうことではないらしい
「ノアは努力家だし、能力も頭もいいからお母さんは気にしてないわよ? それに、人に教えることでしか気づけないこともあるしね?」
母さんはそう言ってくれた
本当にいい家族に恵まれたよ俺は
「少し見ていたけど、チヨは魔法を知らないのね」
「はい、私たちの言う魔法は、こっちでは身体強化と言うらしいです」
母さんはニコニコと機嫌が良さそうだ
「そうなんだよね、あ、2人とも、母さんに教わればいいんじゃない? 俺に魔法を教えたのは母さんだし」
俺は良かれと思って言ってみたが、母さんに断られた
「ダメよノア、その子たちの先生をやると決めたなら、悩みながらでも自分でやらないとノア自身の成長にならないでしょう?」
ぬ、確かに、それにそれは無責任というものか、
やはりまだまだ親には叶わないな。
俺たちは再び魔法の練習に戻り、母さんは庭にある椅子に腰をかけて、俺たちのことをニコニコしながら眺める
だが、ほんの数分後、デイリス父さんが庭に来た
「はぁ、こんなことだと思ったよ、テスナ、なんで君は子供たちの魔法の練習を眺めているんだい?」
父さんは少し呆れながら母さんに聞く
「あら、そういえば朝食ができるからと、呼びに来たんだったわね、頑張る子供たちが可愛くて、ついつい見守ってしまったわ!」
これがテスナ母さんだ
ホワホワと基本超絶天然でありながら、しっかりと芯は通った女性で、人を和ませる能力を持つ
そんな母さんに、父さんはもう諦めているのだろう、優しく母さんの手を取り、エスコートしながら俺たちを連れてダイニングへ移動する
ふ、いつまでもラブラブな夫婦め!見せつけてくれる!
俺は前世は独身だった
別に結婚したくないわけではなかったし、むしろしたいと思う方だった、彼女ができないわけでもなかったが、まあ縁がなかったんだよな。
なので、このラブラブ夫婦を見てると少しだけ羨ましく思うよ
少しだけだけどね
ーーーーー
手を洗ってダイニングへつくと、メイド達が料理を運んできてくれる
朝早くにきたハリーとチコの分も、メイドたちが話を通してくれたらしく、用意されていた
普通は家臣の息子と宅を囲む貴族なんていないが、そこは新興の田舎貴族の特権だろう、一般の人との距離が近いのは、俺は好きだ
貴族らしく振舞えと言われても、俺には無理だろうな
ーーー
美味しい朝ごはんを食べ、朝食後のティータイムはやはり魔法の話になった。
「へー、ノアが魔法を教えてるの?ノアの魔法なら俺も少し興味あるなぁ〜」
ダリル兄さんがそんな事を言ってきたが、別に特殊なことをしてるわけじゃ無いんだけど
「母さんに教わったことを、俺の体験と考察も交えて教えてるだけだよ、別に変わったことはしてない」
「ノア、それが凄いことなのよ! ノアはよく魔法の研究をしてるじゃない? その考察を聞けるだけでも相当な価値があるのよ?」
エルーナ姉さんも話に入ってきたが、ただ俺なりに魔法についてまとめただけなんだけど、それに価値があるのか?よくわからん
そんな話をしていると、父さんがある提案をしてきた
「ノアは本当に魔法が好きだね」
「うん、便利だし楽しいからね」
「そうかい、なら将来は魔道学院に行ってみるかい?」
「・・・・・魔道学院?何それ」
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