第20話 魔法教練を始める!



俺たちは庭の小鳥亭で、魔法についての話していた


「魔法には努力が必要か、刀と同じなのね?」


「そうなるね!」


そんな簡単に魔法を使われちゃ、たまったもんじゃないし、今頃各国戦争だらけだろうね


悲しいかな、魔法使いは戦力なわけだし。



「そっか、でも教わる先生が良ければ、それだけ早く習得できそうね!でしょ?ノアくん?」


な、何が言いたいんだこの女狐は・・・


コウが目を細くして、「私は魔法を覚えたいから先生してくれるよね?」と訴えかけてきた


「つまり、魔法を教えろって事?」


尋ねると、コウは満面の作り笑いをしながら頷く


まあ、正直魔法を教えるくらいどうってことでは無いし、普段から特にやることがない現状、暇潰しにもなるから別にいいんだけど…


「お?なんだ?ノアはコウ様に魔法教えんのか?」


「え?それなら私たちにも教えなさいよ!」


やっぱりこう来たか


話の流れ的にこうなる事は予測してたよ。


ってか、ハリーのやつ、俺には呼び捨てのくせに、コウには様つけやがった!


くそ、そう思ったらこんな奴には教えたくなくなってきたな!


「んー、コウ嬢には教えてもいいけど、2人はな〜、俺の言うこと聞かなそうだし」


俺は少し意味深に、間をたっぷりとって言ってみた


「なんだよそれ、俺達だって真剣に魔法覚えたいんだよ!」


と、ハリーは真面目な顔してお願いしてきた


チコも同じく


「そーだぞ!魔法があれば冒険もかなり楽になるからな!」


だとさ、俺の試すような聞き方への返答は、何とも意外なものだったな


こんな真剣な目の2人は見たことがない


それにチコの言う通り、2人は将来絶対に冒険者になって色々な場所を冒険すると決めている


(その計画には、なぜか俺も入っているのだが…)


そして、色んな場所を旅する冒険者にとって、魔法があると無いとでは、生と死と言っても大袈裟じゃないくらいに、必要不可欠になるだろう


野営の準備、魔物たちとの戦闘、何がどこで役立つかなんて、分かるものじゃない。


こいつら、いつもはバカばっかりしてるけど、意外と先のことも考えてるんだな!


「そうか、そこまでま真剣ならまあいいだろう、俺のできる事を3人には教えるよ」


俺はいつになく真剣なこいつらの事を、純粋に応援してやりたくなってついつい首を盾に降ってしまった。


それに、今教えとかないと将来、冒険に行くから!とか言って魔法係として、無理やりにでも連れていかれそうだしな


これは将来に対する投資だ!



ーーーーーーーー



とゆうわけで、俺は3人に魔法を教えることになったのだが・・・


「お前ら、今何時だと思ってやがるんだよ、アホか! 明日からは練習はお昼からだからな! 良いな!」


顔を洗って少しはスッキリしたが、だからといって機嫌が良くなる訳でもない


「ごめんって、私たちだって楽しみだったのよ!」


「そーそー、ノアは何かあればいつも魔法でちょちょいのちょいで解決するじゃん、俺もああゆう事出来ると思うとな!」


まあ、魔法は楽しいし生活には欠かせないから気持ちはわかる


それに楽しみだったと言われて悪い気はしない、でもさすがに限度があるでしょ、まだ空が白んでるよ?



そんな事を言っている間に、コウとチヨも準備を済ませ、庭に来た


「おはよ!毎日こんな早くから稽古するの?」


「するわけないでしょ! 今日はこの2人が暴走したんだよ! 明日からはお昼食べてからだからね!」


「わかった、これからよろしくね!ノア先生!!」



ーーー


「じゃあ、まずは3人がどの程度魔法を使えるのかからだけど、魔法が全く使えない人はいるの?」


ノアが聞くが、幸い、全く使えない人はいなかった!


全く使えないと魔力の知覚から始めないとダメなので、かなり時間がかかるのだ



「じゃあまずはハリーから、適正は?」


「俺は土と風だ! 」


「じゃあ土からお願い!」


そう言うと、ハリーが詠唱を始める


「地精よ、大地の祝福もって、集え!」


すると、ゆっくりだが、ハリーが突き出した右手の前に、土の塊が出来ていく


「うんうん、ならあの的に当ててみて!」


俺は10メートル程先に、土魔法で簡単な的を作る


「わかった!」


ハリーは集めた土の塊が壊れないように操作しながら、ゆっくりと的の方へ動かしていく


これがどれくらい難しいかと言うと、太鼓の達人の激ムズレベルをクリアするくらい、が一番近いかも


収束を意識しながらも、的に当てるための座標移動も行う


慣れれば普通にできることだけど、それまでは努力が必要かになる


「よし!当たった!」


1分ほどかかったが、ハリーの土魔法は無事に的に当たった


「おぉー、それくらいできるなら、普段から使えばいいのに、まあハリーの練習方法は決まったよ」


そう言って、俺はさらに 20メートル、30メートル地点にも的を作る


「説明するね、まず一回の詠唱で大きな塊を出す、次にその土塊を3等分にする、最後に、あのそれぞれ距離の違う的に3つを同時にぶつける」


まあ、最初は3つに分けるところで苦労するだろうけどね


「ノア、そんなのまだ俺には無理だぞ!」


ハリーの自己分析では、そんな神業今はできない!と結論が出た


だがノアの考えは違った


「別に最初から出来なくていいよ、これは魔力の操作を簡単に分かりやすく上達させるための特訓、少しづつでもいいから、一連の工程をやってみなよ、最初は2つからでも良いけどさ!」


そう言うと、ハリーは頷き、的に向かって詠唱をし始める


「よし、次はチコのだね、適性は?」


「私は水と無よ!」


「なら、無属性からやっていった方が公立良さそうだね! サイコキネシスは使える?」


「やったことないけどそんなの」


これは魔法の中でもかなり使える魔法なのに、勿体ない


俺はチコに、サイコキネシスの詠唱を教えた



「英霊よ、現象もって、我の命に応えたまえ」


チコは教わったばかりの詠唱を試すが、用意した土製のスプーンは、ビクともしない


「ノア、何も起こらないんだけど」


「うん、サイコキネシスにはコツがあるんだよ」


普通の初級魔法は、体内で練った魔力を詠唱とイメージによって加工して、それを体のそばで発現させる


だが、サイコキネシスは性質上、体内でねった魔力を加工せずにそのままの移動させ、対象を包み込む、それから詠唱をして操作することになる


なぜ最初に教えなかったかと言うと、普通のとは違い、特別感を出すためだ!


チコの性格上、何か特別だと言っておく方が、真剣に取り組む確率は高いだろうからね。



サイコキネシスは魔力操作を身につける上で、かなり効率化できる


ハリーのように、属性の魔法を数個同時に操るには、相応のイメージと集中力、そして、魔力量が必要になる


これがサイコキネシスになると魔法の性質なのか、小魔力量でイメージが多少脆くても、最初に動かせさえすれば、あとは感覚的に操れる


これは魔力操作を感覚的に捉えることが容易になるので、是非最初に習得させておきたいのだ


チコの方はほっといても自分で何とかするだろうな



次は鬼神族の2人か、簡単に教えると言ったけど、人と同じなのかな?




少しワクワクしながら、俺はコウとチヨの方へ行く。

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