第19話 日頃からまったりしたい
早朝、午前6時前
ドンドンドンドン!
「ノアー!来たぞー!」
「早く出てきなさーい」
ん〜、何だ?めちゃめちゃドア叩かれてる
俺はいつも寝る前に魔力を使いきる
これは魔力を増やすためなのだが、魔力切れを起こすと高熱を出した時のように気だるくなるのだ
そのため朝は深い眠りについてるため起きれない
寝ぼけたままサイコキネシスでドアを開けると、ハールとチコが入ってきた
「おいノア!まだ寝てんのかよ!」
「今日から魔法の練習に付き合ってくれるんだろ?」
早朝から何を言ってるんだこいつら
「何だよそれ、まだ早いだろ、寝かせてくれよ」
てかまだ空が白んでるじゃんか、この2人はどんだけ早く来てんだよ
俺は2人を適当にあしらって、二度寝につく
だが、そんな簡単に諦めてくれるほど簡単な奴らじゃない
「ウワァハハっ!オイッ!やめろ!ヒハハッ!」
2人は俺に馬乗りになり、身体中をくすぐってくる
「なあチコ 、昨日誰かさんが、俺たちに魔法を教えてくれるって言ってなかったか?」
「言ってた言ってた! でもまさか、当日になってドタキャンなんかする人ではなかった気がするんだけど」
「わ、わかった! わかったから!行くよーー!」
そう告げると、2人は手を止めて俺からおり
「お、良かった!俺の知ってるノアだったぜ」
「じゃ、下で待ってるからね!」
そう言って2人は俺の部屋から出ていってしまった。
クソ、あいつら三文芝居なんかしやがって! こんなことなら約束なんてするんじゃなかった!
俺はそう思いながら外に出る準備をする
ーーーーーーーー
<<< 事の発端は昨日 >>>
シア姉さんに強制され、コウとチヨにこの街を案内すために街へ出てきていた。
「まずおさらい、ここはドリス王国の南西にある田舎領、領民は2万人居るかどうか、まあ大体はそれくらいね」
「に、2万!?」
私たちの里は3000人位しか居なかったのに・・・
コウは規模の大きさに驚いたようだ
「そう!まあ都会にはもっと居るみたいだから、全然少ない方よ!」
全然少なくないと思うんだけど・・・とコウは思う
「今日はセンバート1大きなの街 ここテルヌスをまわるわよ!」
そう言いながら、見慣れた街を4人で歩く
まあ歳が近いこともあってか、コウとチヨはシア姉さんと仲が良く、俺はほとんどついて行くだけだ
街の各方角には、大まかな役割が設定してあり、その説明やお店の紹介などなどをしながらあるく
街の人たちとも普段から普通に接するので、和気あいあいと案内していた
すると聞きなれた声がき聞こえてくる、そう、ハールとチコチー二だ!
「あ!ノアたちだ!」
「お!マジか?って、噂の鬼神族の子もいるじゃねーか!行くぞチコ!」
「おうよ!」
だってさ、来るな来るな!お前らがいると面倒事に巻き込まれそうで嫌だ!
と、俺は神に願うが、残念ながらこの願いを叶えてくれる事はなかった
「よ!ノア!」
「何が、よ!だ!白々しい!」
「私達もご一緒して良いですか?」
チコは姉さんとコウとチヨに尋ねる
ここで俺ではなく、あえて俺より上の立場の人に聞くあたり
こいつらも益々狡賢くなったものだ。
「あら、ハリーとチコじゃない、私わ別にいいわよ! 2人はどう?」
姉さんは簡単にOKをだし、コウとチヨに聞く
「私ちも構わないわよ!ね?チヨ」
「はい」
鬼少女2人も良いようだ
「俺はやだけどな!」
「おいおいノア!いいじゃんかよ!! 俺たちの仲だろ?」
「それにノアには決定権は無いのよ!」
チッ! はぁ、めんどくさいのに捕まったな。
こうして2人も案内に合流した
「俺はノアの友達のハール! ここの騎士団の大隊長の息子!ハリーって呼んでくれ!」
「私もここの騎士団の中隊長の娘のチコチー二!チコでいいわよ!」
と、何とも上から目線で自己紹介をする2人、そんな2人に、鬼少女も挨拶をして、街を歩く
案内をしながらも、シア姉さんは俺たちの3人の説明をしていた。
「そうなのよ、この3人はせっかく頭がいいのに、ろくな事に使わないのよ!」
「そうなの?」
「そう!3歳の時のは酷かったわね、門番に気付かれずに街を抜け出して、山でオークに襲われたのよ?」
「そ、それは大変です! 大丈夫だったんですか?」
「ええ、それがこの3人、オークを討伐して戻ってきたのよ!」
そんな話もあったな、そこから俺たちは街の悪ガキと今でも呼ばれてる
「それは凄い」
「ええ、3歳でオークとは」
この話に、コウとチヨは感心してしまった
オークは中級の冒険者でもソロでの戦闘は控える相手
それを3歳児3人が討伐したのだ、感心するのもむりはない
「あれは楽しい冒険だったよな!」
「本当よね!あれは最高だった!」
鬼少女2人に感心されて、2人が調子に乗り出した
「何言ってんだよ!危うく死にかけたろ! 」
本当にこいつらは、すぐに調子に乗る
その後も俺たちは、鬼少女2人に街を案内しながら喋り倒した
ーーーーーーーー
お昼時になり、俺たちは協議の結果、街で何か食べる事にした。
「こんにちはー!」
「あらシアちゃん!いらっしゃい!おや?その子たちは噂の鬼の少女かい?」
「うん! ほら、挨拶 挨拶!」
「どうも!鬼の里から来ました、コウと申します!」
「コウ様のお付きのチヨです!」
「はいはい、私はここの女将のマーニャよ、よろしくね!」
ここはこの街でも有名なレストラン『庭の小鳥亭』
親子経営の店で、センバート家の屋敷の料理長メルーとダンの古い知り合いという事もあり、屋敷で出でる安価なメニューも置いてある
そんな事もあり、夜はだいぶ賑わう場所だ!
「ユーネル!注文お願い!」
「あら? シアじゃない!それに悪ガキども! と、そちらは?」
「コウと言います」
「私はコウ様のお付のチヨです!」
「鬼の里からこっちの見学に来てるのよ!当分はこっちに居るみたいだからよろしくね!」
「噂の鬼神族の少女か、私はここの娘のユーネルです! よろしくね〜!」
自己紹介をしたユーネルは、注文をとり厨房へ入っていった
ちなみに俺が頼んだのは、鶏肉の香草焼きとブイヨンのスープ、それにココの名物の一つである丸パンにした
丸パンは、もっちりとした食感と、バターの良い香りが鼻に抜けてめちゃめちゃ美味い!
それに他の料理にもよく合う万能パンとして、丸パンだけ持ち帰りで買っていく人も結構多い
俺たちは、空いたお腹を紛らわすように、話に花を咲かせた!
そんな中で出てきたのが、魔法についての話だった
「そういえばノアくんは魔法が得意よね!」
「まあね、生活の必需能力だし、俺は適性も多いしね!」
「私はほとんど使えないんだけど、私も使えるようになるものなの?」
そう聞いてきたのはコウだ。
つい先日は、本気の殺気をぶつけてきた癖に、今では本当の弟のように扱われている
「さあね、魔力量とか適正とかも大事だし、それがあっても、簡単に魔法を使えるようになるためにはそれなりの努力が必要だからね!」
俺だって魔法を使うために、幾度も意味の無いように感じられる、何も起こらない練習を繰り返したんだ!
簡単にされては困る。
その後も、魔法についての話をする。
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