第12話 角を生やした人の街
パッと見、ここはあんまり広い街では無さそうだ
規模で言うと、多分3000人くらいじゃないだろうか
「ハリーとチコに言ったら、絶対に来たいと言うだろうな」
謎原理で来た、人じゃない種族の街、さすがに俺もワクワクしてきた
この世界には、人以外にも、似た姿形で文明、言語を持つ種族がいくつもある
俺でも知っているようなエルフ、ドワーフなんかも存在するらしい
だが、ほとんどの種族は人の目につかないような場所にいるとされている
ここの人たちも角が生えてるから、何かの種族なんだろうね
俺はここを探索することに決めた、
まずは周りに変に思われないよう、土魔法で角を造形し、額とこめかみにサイコキネシスでくっ付けておく
服装もだいぶ違く、俺は洋服、夏なので半袖のシャツに短パンだが、ここの人達は恐らく伝統の刺繍なのだろう、それが施された民族衣装を着ている
その服装は、古い中国、日本の衣装を足して2で割ったような、結構かっこいい感じの服装だ
なので少し歩いたところにあった
服を売っている屋台で、子供用の服を買う事にした
「子供用のやつちょうだい!」
「ん?坊やなんだいその格好は、変な格好ね」
「でしょ?だから服が欲しいんだ!」
俺は切羽詰まった少年の演技をしながら、店頭のおばさんに頼み込む
「あぁ、少し待ちなね、あんたの大きさのはここいらか、赤と青、どっちがいいんだい?」
「赤でお願い!」
そう言うと、屋台の後ろの壁いっぱいに積まれた服の山から赤が基調の子供用の服だけを素早く抜き取る
「おぉ〜!さすがおばさん!」
見事な職人技に感心して、つい褒めてしまった
するとおばさんが
「ふふ、坊や、私のことはお姉さんと呼びな!」
と、ノリノリで言ってきた
意外と気さくな人達らしい
俺は代金を払い、服屋を後にする
ーーー
それから屋台の通りを歩いているのだが、そこまで盛り上がっているわけでもない
でも街では見たことの無いような食べ物や雑貨、道具が売っていて、見ていて面白い
さすがに食べ物を食べる勇気は出ないので買わないが、何かの角に穴を開けて作ったオカリナのような笛が売っていたので、つい買ってしまった
他にも面白そうな木の実、そして街にはあまり種類のない調味料や香辛料も、買っておく
「かき氷も好評だったし、料理の幅を広げるのもいいかもな」
そんなこんなで、この謎の場所を楽しみながらも、ここについてわかっていることをまとめてみる
ここに来たのは、まあ確実にあの像を見たからだと思う
そして路地の裏には角を生やした人達の街がある
ここの人達は、ドリス王国と同じ言語、貨幣制度の元に生活をしている
そして、デイリス父さんが街の西側を俺に勧めたのは、多分ここに俺を来させるためだろう
果たしてそれは何故なのか
父さんは、今の俺の魔力なら…と言いかけて止めた
俺の魔力は他の人に比べ、確かに大きけど、何か関係があるのか?
色々と考えながらも、屋台の道を抜け、比較的人通りの多い道を歩いている
「それにしても、武器を持った若い人が多いな、何かあるのか?」
この街を歩いていると、武器、それも刀や弓矢、槍を持った若い人たちをよく見る
街の雰囲気も少し張り詰めた感じで、もし戦いでもしているのなら、俺も少し危ないかもしれないな
そんなことを思いつつ歩いていると、ポケットに入れていた指輪が、また光りだした
「ん?なんだこれ、また光ってる」
この指輪も本当に謎だ…
でも光ったからと言って何かある訳でもないので、あまり気にすること無く再度歩き出す
すると目の前に、表に看板がある建物がある、そこには魔法とだけ書かれていた
「お?魔法?マジ?」
他種族が使う魔法だ、興味が湧かないはずもなく俺は入ってみた
「いらっしゃいね、珍しいね、魔法祭具が欲しいのかい?」
「まあね、もっと色々と魔法を使いたくてね」
店の店主のおばあさんが、少し不思議そうに聞いてきたので、俺は話を合わせておく
この場所が、排他的な可能性もあるので、俺はあくまでこの街の人間のように振舞っている
店内、と言っても5畳くらいのスペースに、何やら魔法に使うものなのか、見たことも無い不思議な彫り物や装飾品が沢山棚に置いてある
その中には魔法について書かれた本もあった
するとその中に、『古代魔法』とだけ書かれた本があった
「確かさっき街の雑貨屋台で買った本にも、古代と入っていたな、なんか関係があるのか?」
俺は少し気になったので、この本を買ってみることにした
ーーーーーーー
古代魔法という本を買ったところで、さっきまで光ってた指輪の光が、また消えていた
やはり少し張り詰めた空気が怖いし、俺は持ち金がほとんど無くなったので、屋敷に帰ることにする
魔法の店を出て来た道を戻り、屋台のある道を抜けると、俺がここに来た場所あたりに出た
だが、その辺には周りの人とは明らかに違う衣装の人達が、何人も集まっている
「あ〜、あれはやばいな、多分俺の事を探しているのだろう」
その人たちの服装は、正装のようながっちりとした和服に似たもので、顔を変な面で隠している
多分ここの警察機構の者達だと推測出来る。
俺がここに来て数分間、角をつけていなかったから見た人が通報したんだろうな
やばいと思い、俺はもう一度回れ右をし、屋台の方へ歩き出す
だが、気づいたら目の前に、何者かが立っていた
身長はシア姉さんくらい、つまり子供なのだが、鎧を着込み、背中には大きな太刀を背負っている
顔は笠を深く被っているので見えない
「え、」
驚いた俺は、1歩後ずさってしまう
するとその子どもが口を開いた
「お前、人間、敵」
「は?」
やはり人とは敵対してるらしい、女の子の声でそういったその子は、背中の大太刀を俺に突き立ててきた
「うわっ!!」
間一髪で避けることは出来たが、彼女は既に次の攻撃をしてくる
クソっ!まさかの戦闘かよ、今日はまったりするつもりだったのに!!
俺は渋々その子との戦闘に入る
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