第2話 魔法って、ムズい。
「ノア、起きちゃったの?おはよう!」
テスナ母さんは朝の挨拶をしながら、朝の授乳をしてくれる
1ヶ月くらい経ったが、これは毎日の日課だけど、やはり授乳は恥ずかしい所がある
離乳食すら食べられない体なので仕方が無いが、34歳の知識があるとね…
目がほとんどの見えないのがせめてもの救いか?
ーーー
「よし、やるか」
皆が朝食に向かったので、その隙に魔法の練習をする
生まれた時からやっている事だが、魔法は思っていたより100倍くらい難しかった
練習し始めて1ヶ月だけど、体の中で魔力を動かすことが今の精一杯
もっとこう、散らかった部屋がひとりでに整理整頓を始めたり、今は歩けないから宙を浮いて行動したりできると思ってた
まぁ、努力は嫌いでは無いし、見た事ない超常現象を発動できると思うとワクワクする
なので今は、魔力を体の1部に集める練習をしている
目を閉じて意識を集中させ、ゆっくりと魔力を感じたら、それを少しずつ動かしていく
手のひらに集め、30秒キープしたら今度は顔に集めを繰り返す
そんな事をしていると、朝食を終えた姉弟達が俺の元へ来る
「ノア~、遊ぼ~!」
「こらこら、いきなりそんな大声で話しかけたら、ノアがびっくりしちゃうわよ?」
「そうか、ごめんねノア」
次女のシア姉さんは、初めての年下である俺とずっと一緒にいて、お世話をしてくれる
多分だけど、長女のエルーナ姉さんに憧れのようなものを抱いてると思う。 なんとなくだけどね
遊ぶと言っても、この世界の童話を聞かせてくれたり、日々の魔法の訓練の成果を教えてくれるだけなんだけど、かなり有用な情報だ
特に魔法に関する話は、結構参考になる
俺はそんな日々を毎日送っている
ーーー
半年後
「はぁ、ぬくいぬくい」
2月の強烈な寒さの中、薪ストーブという、何ともいい雰囲気の暖房で温まった部屋で、4姉弟全員で、母さんから魔法の講義を受けている
ここ最近、拙いが話を出来るようになってきて、ハイハイでの移動も覚えたので、皆と一緒に魔法講義に参加させてもらうのだ
「じゃあシア、昨日のお更いよ、魔法の属性について言って貰えるかしら」
「ハイ!」
「あらっ、いいお返事ね! 」
「ノアにいい所を見せたいんでしょう?」
「ち、違うもん!お兄のアホ!」
何ともホッとするやり取りだな。
「魔法は大きなくくりの属性に別れていて、その属性の魔法適性が無いと使えない!でしょ?」
「ええ、よく出来ました!」
胸を張ってドヤ顔で答えるシア姉さんを、テスナ母さんがなでなでする
シア姉さんは嬉しそうに、表情が緩みまくっている
「3人ともおさらいだけど、魔法は主に5属性 火、水、土、風、無、があって、その発展系の氷、雷があるわね」
母さんがそう言うと、上3人は頷く
「エルーナとダリルは今の調子で頑張れば大丈夫よ! 」
その言葉を聞いて、エルーナ姉さんとダリル兄さんはホッとしたようだ
ちなみにだが、家の姉弟は上から、エルーナ姉さん7歳、ダリル兄さん5歳、シア姉さん3歳、そして俺ノアールが0歳だ
「次にシア、あなたはまだ魔力操作が出来てないから、少しずつ魔法を使いながら、魔力操作の練習ね」
「ちぇ~、はーーい」
シア姉さんは、上の2人程魔法を使えないのが少し悔しそうだ。
「じゃあ2人は魔法の練習にいって来なさい!」
その言葉を合図に、エルーナ姉さんとダリル兄さんは、庭の方へ歩いていく
「シアとノアは、もう少しお勉強よ、さっきも言ったけど適性が無いと魔法は使えない、でも、適性あるからと言って、その魔法を使えるわじゃないの」
「えー、どういう事?」
「ふふ、そうね、魔法を発動するには、強いイメージが必要なの、でもそれはかなり難しいから、魔法詠唱をして、イメージを言葉で補強するのよ」
俺はこの話をなるほどなと聞いていた
多分実際にイメージだけで魔法が使えた人が人に教える際、イメージの共有は難しいので、言葉と現象をセットで覚えさせたんだろうな
「そうなの? なら私はまずそれを覚えないといけないの?」
「そういう事ね」
そう言って、母さんは魔法入門の本を俺たちにくれた
「あれ?ノアはまだ字も読めないのにあげるの?」
シア姐さんは少し驚いているが、俺にとっては嬉しい!
「ええ、ノアはまだ生後半年だけど、よく布団の中で魔力操作をしているもの、字が読めるようになれば、直ぐに魔法を使えるようになるわよ」
え、結構内緒でやってたのにバレてたのか?布団でやる時は 少ししか魔力を練ってないよ?
「え、ノアがそんなことしてるの? どうやって?」
「ふふ、魔法の素養が高い子は、幼いうちから魔法を使うのよ、多分ノアもそうね」
そうなんだ、ならまぁ大丈夫そうかな?
「えーー!ノア!お姉ちゃんの私よりできるなんてダメよ!絶対にダメ!」
シア姉さんが、駄々を捏ねてくる
まったく、どっちが年下なのかわかったものじゃないな
「あい!」
一応返事をすると、シア姉さんは少しニコッとして、俺の頭を撫でてきた
まあ、赤ちゃんは可愛いから、つい撫でたくなるのは分かるけどね
ーーーーーーーーーーー
そんなこともありつつ、魔法の本を引きずりながら、ハイハイで部屋へ行くと
途中でメイドのミサーナに拾われ、部屋に戻る
寝る時は母さん達と一緒だが、昼間は自分の部屋で過ごしているのだ
そしてこれはつい最近知ったことだが、この家は貴族の家らしい
メイドや騎士風の男をちらほら見るので、お金持ちの家だとは思っていたが、どうやらここドリス王国の男爵家らしい
詳しくは聞いたことがないから分からないが、初めて知った時は目がとび出そうになるほどビックリした
現代日本では考えられないことだからね
なので昼間は、メイドさんが俺の面倒を見る
と言っても、そんなに多くのメイドがいる訳では無いけどね
そんな訳で、だいぶ前からメイドさんに字を教えてもらっていたので、多少の文は読めるようになっているため、早速魔法の本を読む
さすが初心者用と言うべきか、簡潔に分かりやすく魔法を使うための詠唱と、その効果が書かれていた
これはいよいよ俺も魔法を使えるな!
魔法への期待が高まるばかりだ
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