転生したので好き勝手に田舎でまったりしたい

お餅サンド

第1話 転生って、マジか。。。


その日、俺、田中武雄(34)は命を散らした。



ーーーーーーーーーーーー


「部長、お先に失礼します!」


「はい、おつかれー!」


はぁ、今日も一日疲れたなぁ~



だが今日は木曜日! あと1日頑張れば三連休、富士山のほとりでキャンプだ!


あぁ~楽しみだなぁ~、夜の星空と月明かりに照らされる富士山


そういえば新しく買ったローチェアの使い心地を試さないとな!



俺はそんなことを考えながら、一人暮らしのマンションへ向け、歩きなれた道を歩いていた。


だが、家まで5分程の場所だろうか、何の変哲もない交差点で青信号を渡っていたら、左から猛スピードの軽自動車が突っ込んでくる


「うわぁっ、マジかっ!」


人はあまりにも唐突の事が起きると、どうも体が反応しないらしい


俺も必死に避けようと体を動かそうとするが、まるで何かにその場所に縛られているかのように、一切動かすことができない


俺の体は言う事を聞かずにそのまま7メートルほど吹き飛んだ


「クソ、俺の最後があんな禿げ上がったジジイに轢かれるとか、何の冗談だよ!」


時間感覚が伸びた世界で体が宙を舞う中、運転席でうつらうつらと寝ぼけた顔をするジジイがくっきりと認識出来た


そんなジジイに向かって心の中で罵詈雑言を浴びせかけるが、直ぐに意識を失った。


ーーーーーー



目を覚ますと、俺は1人で意味がわからない場所にいた


辺り一面真っ白な空間で、まるで雲の中に床があるような変な場所なのだが、ピンクがかった光が差し込んでいる


「どこだ? ここ。」


一人暮らしの弊害だろうか、癖でついつい思った事を言ってしまう


すると、突然に謎の声が聞こえる…


聞こえると言うよりも、分かる、頭に直接入ってくるような感覚だ


「おいおい珍しいな、どこぞの神の領域から魂だけ彷徨って来たのか? こんな事初めてかもしれんな」


俺の頭の中に響く声は、そんな事を言っていたがよく理解できない


「あ、あんたは誰だ? どこにいるんだ?」


かなりビックリしたが、まず現状の把握を優先する


それと同時になんとなくだが状況が理解できてきた


まぁこうゆう感じのアニメを見た事があるので察した。


すると返事が帰ってきた



「ハッハッハ!俺は神、そしてそこはどこでもない、ただの空間だ」


どうやら神様が話しかけてきたらしい、ここで大体の展開はわかったので、俺は準備のため、色々と考え出す


「お?自分の状況は把握出来てるみたいだな! そう、お前はこれから俺が作った適当な惑星へ行く事になる、面白そうだから次の人生をどんな風にスタートしたいか言え! 特別だ、叶えてやるぞ!」


と神は言ってきた、どうやら頭の中を読まれているらしい


「それならば、あまり生活に苦労はしない田舎にお願いしたいのですが」


咄嗟に考えてみたが、やっぱり仕事ばかりしてきたので、キャンプとかでまったりする時間を設けていたからか、この答えが最初に出てきた


「ほぉ、そんなんでいいのか? 」


「ええ、前世では仕事が忙しくそればかりでしたから、夢とかあまりないんですよね、田舎でゆっくりしながら考えます」


咄嗟にこの答えが出てきたのだから、多分本心だろう



「面白いやつだな、お前からすれば異世界で自分探しをするんだ、そんな奴いるか?お前は面白い」


は、確かに考えてみるどそうなるのか


「よし、ではその希望を叶えてやる! お前は神の力の一端に今こうして触れているから魔法の適性は全魔法になるぞ!喜べ!」


お、やっぱり魔法があるのか? それは結構楽しみだな!


部屋の片付けとか、手を使わずにやってみたかったんだよな!


それにしても「適性ってなんですか?」


「なんだ、知らんのか? 適性とはその魔法を行使できるか否かを左右するものだ、適性が無いと魔力があってもその魔法は使えん」


なんだそれ、なら全魔法への適性って…


結構やばそうだな


「詳しい使い方は向こうで習え!」


「はい、そうします!」


「よし、なら飛ばすぞ! 」


神がそう言ったとたん、目の前にカーテンのように歪む空間が現れ、それは俺の方へ近づいてくる


「あそうだった、魔力は使い切ると少しずつ増えていくからな!覚えとけよ!」


最後に神がそういうのと同時に、俺は謎の空間に吸い込まれた。



ーーーーーーーーーーーー


神との遭遇からどれ程経っただろうか、俺は永遠真っ暗な場所にいるのだが、多分母親のお腹の中だ


だがそれももうすぐ終わると思う、さっきから壁が広がったり縮んだりを繰り返しているからな


母体では今頃陣痛が起こっているだろうな



ーーー


「テスナ様、まだリラックスです、深呼吸して~、はいっ!いきんでっ!」


「フンッ!!」


「良いですよ!その調子です!頭が見えてきましたよ!」


「ではもう一度リラックスして~、今!」


「フンッ!!」


「降りてきました、まだ続けて!赤ちゃんでますよ!」


ズズズズ、ギュルッ!


「ギャハハハハ」


「テスナ様!産まれましたよ!! 立派な男の子です!」


ーーー


聖光暦472年7月、俺はこの世界に生まれた


長い間真っ暗な場所にいたので、閉じた目に入る光でさえ眩しくて、でもそれが無性に嬉しくて、つい笑ってしまった


そんな俺を見て、テスナと呼ばれていた俺の母親は、めちゃくちゃ嬉しそうに俺を抱き抱え言う


「無事に生まれてきてくれてありがとう! 可愛い子ね」


ものすごく優しいその声は、すんなりと俺の心に入ってきた



その後に父親と姉弟達が入ってきて、俺の出産を喜んでいた


目は開かないが耳は聞こえるので、家族の会話を聞いてわかったのが、この家の家族構成だ


父デイリス

母テスナ

長女エルーナ

長男ダリル

次女シア

そして俺、ノアール


家族の仲も良いようで、俺の話をずっとしている


次女のシアは特にやる気に満ちているらしい、まあ初めての弟とか妹って、何となく上らしくお世話したいと思うもんだからな


俺も妹がいたのでその気持ちは凄くわかる


その日は結局、皆で一緒に寝る事なり、ずっと家族全員でお話していた



雰囲気だけしか分からないが、どうやら良い家族に恵まれたらしい、あの神には感謝しないとな。

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