第27話忘れたい記憶を呼び起こさせるなよ
「あのときのさぁ、いーちゃんの慌てふためいた様子がさ……ふぷっ、ふふっふぅっふうぅ〜……今でもふとした瞬間に蘇るんだよぅ〜」
「アレは希咲先輩のせいだから……あぁーもうぅーっ、笑いすぎですってばっ!」
笑いを吹き出し、腹を抱える明石先輩に呻いて片手で顔を覆い隠してから声を荒らげた俺。
「ごめんごめんって。そんな怖い顔しないでよ、いーちゃん。自然と笑いが込み上げてくるんだもん、仕方ないじゃん」
涙を片手の甲で拭いながら謝る彼女。
「もう希咲先輩ってばぁ……」
彼女のせいで忘れたい想い出が記憶の底から浮かび上がってくる。
あれは——
※※※
俺が彼女——明石希咲と関わり始めて間もない頃のこと。
俺が彼女に抱いた第一印象は、真面目だな、だった。
可愛いや美しい、といった印象を抱くより、真面目という印象が強かった。
期末考査が控える五日前の放課後に、意外な場所で彼女と遭遇した。
その日以降、彼女が俺をいーちゃんとからかい呼ぶようになった。
彼女に振り回され、からかわれたのを挙げればキリがない。
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