第26話改竄はいくらなんでも悪趣味ですって
「ひっ、久し振りに再会したんだしぃ……そういうのやめてさ、楽しい話題で盛り上がろうよ?ねっ、いーちゃん」
追及から逃れようと必死で話題を移そうと画策する明石先輩。
冷房の効いた店内だが、彼女の額は汗ばみ、頬に汗が垂れていた。
「希咲先輩が……まあ、それもそうですね。希咲先輩は真面目そうなのに、俺をしょっちゅうからかって楽しんでましたよね……」
「しょっちゅうって、ひとぎきが悪いよ〜ぅいーちゃんっ!私だっていーちゃんにからかわれたよ、いーちゃんだけが被害者みたいに言わないでよっ、もうぅ〜ッッ!」
納得してないようで、頬を膨らませて不貞腐れた彼女。
「被害者みたいって……実際、そうだったよ。俺がからかったのって稀だったじゃん……プール掃除を手伝ったときなんて——」
「プール掃除って……アレはいーちゃんが野生的に大胆なキスを——」
「野生的でも大胆でもなかったからぁーッ、あれはッッ!でっち上げつぅ〜か、改竄だよっっもはやさぁ〜ッッ!希咲先輩の不注意でしょ!?不可抗力だってぇっ、俺はッッ!」
彼女のでっち上げる想い出を、声を荒らげて否定した。
声を荒らげながら席を立ち上がった俺に、店内にいた客とウェイトレスの視線が集まる。
我に返り、再び椅子に腰を下ろした俺だった。
「いーちゃんとのファーストキス、興奮したんだよ。ふふっ」
小悪魔な微笑みを浮かべながら、俺にだけ聞こえる声量で囁く彼女だった。
俺の表情は引き攣っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます