第25話振ったのって……

「西條くんって、同棲してたりする?」

「ぶふっ、けほけほッ……どっ同棲ぃー!?」

明石先輩の唐突な質問に口に含んでいた冷水を吹き出し、むせてしまった俺。

「大丈夫、西條くん?してないんだ……てっきり恋人がいて、同棲してるのかなぁって」

「う、うん大丈夫。あれ以来、恋人なんて出来てない……です。そんなに同棲してる雰囲気って纏ってます、俺?」

「そんなに?……上手く言えないんだけど、あの頃より若々しい感じ?悩み事、か何か吹っ切れて余裕が出来た、みたいな?」

「あの頃って若々しくなかったですか、俺って?えっと……妹にも恋人いるんじゃないかって——」

「西條くんに妹って居たっけ?えぇーっと、まあ……あれだよ、フレッシュさっていうの?そういうのが、ねぇー……」

「別れたのって、それが理由っすか?……高一です、妹」

「あぁ〜っとぉ……そそっ、そうで、もあると言えなくもないかもっ……えぇっと——」

瞳が左右に泳ぎ、動揺を見せる元恋人あかしせんぱいだった。

彼女は、高校の一学年上の先輩で、三ヶ月交際していた元恋人——の明石希咲である。

「何ですか、後ろめたいことって?」

「うっ……後ろめたいことなんて……ない、よぅ」

短く呻き声を漏らし、片手の甲で口もとを隠しながら否定する彼女。


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