第24話淡い想い出は淡い想い出に過ぎないのか……
落ち着いたカフェへと場所を移した俺と明石先輩。
「「……」」
カランとテーブルに置かれたコップのお冷やの氷が音を立てる。
瞳を彷徨わせ、ひとさし指で頬を掻く明石先輩。
握り拳を太ももに置き、俯いたままの俺はコップに注がれたお冷やを手に取り、喉を潤す。
「声を掛けたの、まずかったよね?ごめん、西條くん……」
「なんつぅか……そのぅ、お元気そうでなによりです。フラッと立ち寄っただけなんで、別にって……感じです」
「うん……西條くんも元気そうで安心した。まだ聴いてるの、ラッドは?」
「ええ、まあ……相変わらずに、ですね。以前のようにカラオケってこともないですね、この歳になると」
「そう……カラオケかぁ、懐かしいねぇ。あの頃は——」
「そうっ、ですね……」
「ごめんっ!傷つけようってことは——」
苦笑を浮かべた俺に気付いた明石先輩が頭を下げ謝り、申し訳なさそうに続けた。
「分かってます、分かってますから先輩。過ぎって、つい……先輩にそんな顔させるつもりはなくて」
俺の脳内に明石先輩との淡い想い出が過ぎって、RADWIMPSの『もしも』という曲が自然と流れる。
淡い想い出は、淡い想い出に過ぎないのだと思い知らされた。
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