第20話からかえない

私は古清水と揃って、リビングに足を踏み入れると、起床した兄が後頭部に手をやり掻きながら苦情を言い放った。

「抑えてくれないか、ああいうの……聞こえんだよ」

「うっ……いやぁーそれは」

古清水に視線を向けるとモジモジしながら俯いていた彼女。

「……なさぁい」

聞こえるか聞こえないかという声量で謝る彼女。

「まあ……良いけど。朝食出来てるから食べてって」

朝食を食べるように促す兄に従い、ダイニングチェアに腰をおろす私たち。


流石に古清水の前で普段の兄へのからかいは無理だ。

兄に視線を向けると、からかわれるのを構えていたような表情だったが、すぐに表情が緩んでいた。


昨夜は二人で裸になって——流れで、という感じだった。

詳しくは、察して。

喘いでしまった、二人して。


帰り支度を済ませた古清水を駅まで送る私と兄。

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