第17話飛び込んできてよ

俺は古清水と帰宅し、玄関扉を開け、彼女に上がるよう促した。

「ただいまぁー。夏美ぃ~帰ったぞぅっ」

「お邪魔しまぁ~すぅ。なっつぅ~ん」


俺と彼女の声だけがむなしく響くだけで、シーンと静まり返って物音一つ聞こえてこない。

「......ほんとに会いたいって言ってましたか?なっつんが」

ひそひそと小声で訊ねてきた彼女。

「確かに言ってたけど......おぉーいぃっ夏美ー返事しろよぉー」


「......」


「ほんとにウチが来て良かったんですか?おにいさん......」

プルプルと小鹿のように震えだした彼女が俺の服を引っ張りだした。


今ドキのギャルってこんなか弱い生物だったか?

出で立ちは夏美と違い派手めではあるが、幼い頃の夏美を思わせる泣き顔で胸が締め付けられた。


リビングに足を踏み入れると、ソファで膝を抱えた夏美がいた。

「いるなら返事くらい──」

「なっつん......」


夏美は啜り泣いていた。



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