第16話アイツがねぇ

「なっつんのおにいさんだとは知らず、失礼な態度とってしまいごめんなさいっっ......」

再び深々と頭を下げ、謝るギャル。

「もういいって!頭、上げてっっ......ダチって言ってたけど、キミに迷惑ばかり掛けてないか?アイツって」

「あっはいぃ......って、いえいえっっウチがなっつんに迷惑ばっか掛けてて。ウチのこと、いっつも気に掛けてくれて......頼りになるかけがえない親友だちです。なっつんは」

申し訳なさそうに頭を上げ、落ち込んだ声音で返事してから、顔の前で慌てて手を振り、否定した彼女だった。

「へぇー、アイツがねぇー......高校でのアイツのこと、聞かせてくれないかな?良ければ、だけど......」

「良いですよ。そうですね、じゃあ──」

快く返事して、語りだした彼女。


──一時間後。


語りの合間にキャラメルマキアートを啜る彼女の表情を見ていて、夏美が愛されているんだと解った。

夏美は上手く素を隠せているんだな......

それにしても、アイツが頼りになるだなんて言われてるとは。

「──あのっ!なっつんに会わせてもらえませんか?」

「まあ......俺は別に良いけど。聞いてみないと......」

「そう、ですよね......」

俯く彼女。

スマホを手に取り、夏美に連絡する俺。

「あっ、俺だけど。古清水さんに──そうか、わったよぅーあぁい~」

俺は通話を切り、彼女に視線を向け、声を掛けた。

「古清水さん。夏美、会いたいって」

「ほんと、ですか?じゃあ......」

「うん。弁当屋に寄ってからだけど、良いかな?」

「はい。なっつんに会えるなら」


席を立ち、カフェを後にした俺ら。



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