第47話 仲直り
僕は今、家に来てくれた
「ここ入るの久しぶりだ〜。えへへ〜」
笑顔は可愛い。癒やされる。しかし残念なのが、僕のベッドで枕の匂いを嗅いで悶ていた。
麦茶を持ってきた僕は、ドアの隙間から彼女の行動を目にする。前の面影はさっぱり無くなっており、代わりに残念な子へと進化しているのを確認する。
「麦茶持ってきたよ〜」
「あ、ありがとう!」
何事も無かったかのように彼女はテーブルの向かい側に素早く座る。積極的で大胆な行動力とアピールは見たことがあったが、変態的な行動まではいい意味で捉えることはできそうにない。
僕はジト目になりながらも、お茶を持ってきた二人分のコップにつぐ。
「来てくれたのはいいけど、何する? ゲームとかだと僕はあまり遊べないんだけど」
「じゃあ、隣に来て」
何をする気かは分からないが、とりあえず言われたとおり隣に座ってみる。
「えへへ〜、えい!」
隣に座ると同時に、僕の腕に抱きついてきた。腕が胸の谷間に沈む。彼女は恥ずかしいのか嬉しいのかほんのりと頬が赤い気がする。
「あのさ、当たってるんだけど……」
「ねぇ、感じてる? 腕に胸の鼓動」
こちらは今にも自身の胸の鼓動が早くなるのを感じる。危険な状態にならないよう平常心を保つので精一杯だった。
流石に返事をしないとずっとこのままなので、目を閉じて腕から彼女の胸の感触じゃなかった! 胸の鼓動を感じる。
「う……ん。感じてる」
腕から伝わる鼓動は、彼女も緊張しているのか音が早い。
「私は腕から伝わるよ。ゆっ君の温もりが。もしかして緊張してくれてたり?」
一応僕も男子ですからね。緊張しないわけが無いのですよ。
「そ、そりゃあね。緊張しないほうがおかしいよ」
「えへへ〜。でも、心臓の音って落ち着くよね。こうしてるだけでも、私はとても幸せ」
幸せを噛み締めている
さらに、彼女は僕の胸部分に耳をあて心音を聞いている。恐らくいつもより大きく音が聞こえるだろうと恥ずかしがりながら思った。
「そういえば、
唐突な言葉に反応する。
「今日はそれを聞くために来たんだね」
「私は、ゆっ君が好きだから来たんだよ〜。えへへ〜」
どうやら本人は本当に僕に会いたい為に来てくれたらしい。それは、彼女の笑顔から分かった。
「まぁ、気まずくて相談してきたのも事実だけどね」
「そう……だったんだ。あの二人には悪いことしちゃったな」
この問題を解決する為の方法はもう知っている。僕から話しかけ、あの時どうしてあんなことをしたのか。それを聞いて、話してくれれば済む。
個人的には、相手から説明してくれると嬉しいんだけど。幼稚園の頃からもし、僕の事を知っていたならどのように写っていたのだろう。
「なんで喧嘩してるのか理由が分からないから、二人共余計に心配してたよ。それにゆっ君も元気無さそうだったから。だから、なるべく早く解決してあげてね」
「うん、分かったよ。伝えてくれて……ありがとう」
話をした後、彼女は帰っていった。
もしかしたら
今度、何かお礼をしようと思った。
彼女の優しさの温もりがまだ右腕に残っている。
僕は携帯で
「
「あ、あぁ」
「また……話さないか?」
「え?」
「正直に言うけど、あの時のこと全然じゃないけど怒る気はないよ。俺が怒っているのは、話す機会はいくらでもあったのにずっと話してくれなかったこと。話さないままいる事に怒ってるんだ」
「……。分かった話すよ」
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