第35話 メイド喫茶(後編)
話しながらも目的地であるメイド喫茶に着いた僕達は、席でどれを注文するか迷っていた。
「これは、本当にメニューなのか?」
一番初めに問うているのは、
「何を言っているんですか? メイド喫茶とはこういう所です!」
「じゃあ私は、このくまさんハンバーグで」
「じゃあ私とゆっ君は萌萌オムライス!」
「ちょっと! なんで僕のまで?」
「いいでしょ! ここに来たからにはせめて好きなゆっ君にこういう店の良い所と楽しいって所理解してほしいの!」
好きかどうかは今は関係無いと思う。しかし、まぁ初めての事を体験してみるって決めたんだ。ここは引けない!
「
「あ、ああ。じゃあ、先に喉乾いたからコーラ」
何か考え事をしていたのか、間をおいて
「先に注文していたお嬢様お待たせしましたー!」
「お、お嬢様!?」
「はい〜。お嬢様、こちらくまさんハンバーグになります」
「わー、じゃあさ、」
「ちょっと待ってください。このオリジナルソースにおまじないをしておかけしますので」
「あ、はい」
「では、いきますよ〜。美味しくな〜れ美味しくなーれ。はい。ごゆっくりお寛ぎください」
こういう仕様とメニュー表をよく見ていなかったのか、
続いて、注文した僕と
「文字を書くことが可能となっているんですけど、どう書きますか?」
「文字ですか?」
文字ってマジで何書けばいいの? こっちは素人ですよ。助けて〜
「はい。ゆっ君大好きですね。かしこまりました」
「ありがとうございます!」
「あの〜、何にいたしましょう?」
僕は
「……
「え?
「へ?」
僕は思考を続けていただけなのだが、気がついた時には名前が書かれていた。
「ふくぐろ、大好き?」
僕が口にして読み上げると、1人の店員さんがこちらへと向かってくる。
「あ! 来てくれたんですね〜!」
こちらに来た店員さんは、割引券をくれ文化祭では執事メイド喫茶を担当していたクラスにいた人だった。
「あ、はい。せっかくなので、割引券ありがとうございました」
「い〜え! 注文はもうし、て、いるけど」
この時、僕のオムライスを見て彼女の言葉が止まった。
「あの……。どうかなさいましたか?」
「私の事思い出したのか?」
「な、え?」
「大好きってよ、そう受け取っていいのか!」
「話が見えないんですけど!」
僕はまた何かやらかしたのだろうか。いや、やらかしているのは間違いない。だって、僕の事を好きだと言っている2人が鬼の形相でこちらを見ているのだから。
「ちょっと、どういう事ゆっ君!」
「ちゃんと説明してもらうわよ! あたし達に返事するとか言って、オムライスでこの女に告白ってどういう事よ!」
おかしいな〜心臓が弱い筈なのに最近こういうの慣れてきたのかな。不安はあれど、心臓に負荷が掛かるほどではもう無くなってきてるな〜。辛いな〜。倒れたいな〜。
「だいたい誰よあんた!」
「うん? あっ!よく見たら〜、
「え。あ、えと。何で急に最初のぎこちないぶりっ子やってるんですか?」
誰かに見られたくないのか、話し方を戻しぎこちないぶりっ子口調になる。
「待って、私達のこと知ってるって、まさか……幼稚園の時の? 覚えてるの?」
「うん! 覚えてるよ〜。久しぶりだね! 私だよ。
また色の名前である事から、幼稚園の時のメンバーであることが分かる。
「皆落ち着けって、ここ店内だぞ。他のお客に失礼だ。他の日に話し合えよ。俺にはなんの事か分かんないけどな」
最後に止めたのは
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